ブタは、両親を知る。
今日の出来事に対して、クロノスはアイリーンに伝えるのであった。
私は、簡単な傷が治ったり、熊を倒したなど前世でもやっていたので不思議に思うのだった。
クロノスがやや興奮気味に報告を終えると、アイリーンに叱責を受けるのであった。
そして、クロノスは正座をさせられていた。私は、女王様を思い出し、羨ましい気持ちと感慨にふけるのであった。そんな事を思い、遠い目をしていると、アイリーンは心配し抱き寄せるのであった。熊より断然、気持ちが良いのだ。
『ロー。大丈夫だった。怖かったでしょ。怪我はない?』
『母さん。どこも、痛くないし。怖くもないですよ。』
『まだ、5歳なのだから。無理しては駄目ですよ。』
彼は、アイリーンの叱責が軽めなので、少し悲しくなってしまった。しかし、両親は、反省しているのだと勘違いをしているのであった。
ローとクロノスは、狩ってきた熊を村の広場に取り出した。
そこで、他の村人と総動員して血抜きと解体を進めるのであった。村人は、5歳で熊を狩りするロー見て驚愕していたが、さすがクロノスとアイリーンの子だと、囃し立てるのであった。クロノスは、自分の子供が褒められるのは嬉しいのもあるが、同時に不安にもなるのであった。
彼は、そんな親心は知らないのであった。
『クロノス、お前の倅は、二人に似て、凄いな。この年で、グラトニーヴェマを狩るなんて、あり得ないぞ。』
『私も思います。勇者でさえ、それは難しいかと思います。』
アントニーは、クロノスの肩を叩きながら一言言うのであった。
『親バカは、いらねー。それじゃあ今日は、クロノス、お前の奢りでいいよな。』
『ちょっと、困るよ。それに、この事がアイリーンにバレたら、どうなると思ってるんだ。君達も同罪だからな。』
『・・・・・・・・・。』
クロノスが、そう話すと、皆が一瞬、言葉を失うのであった。
しかし、彼は違った。
その話を聞くと、アイリーンがいかに力を秘めてるかが気になるのであった。あぁー、全力で指導も、近々起こるかもしれない。
彼の未来は、希望に満ちている。
熊の解体をが終わると、熊の胆嚢と熊の手を貴重なので仕留めたローが貰うのであった。
そして、他は全て各家へ分配されるのであった。ローは、先ほどの話が気になったので、クロノスへ質問をするのであった。
『お父さん。グラトニーヴェマって、なんですか?』
『ローが狩ったのは、普通の熊でなく、魔物に値するものなんだよ。グラトニーヴェマは、討伐対象がCランクで、普通の冒険者でも1人で仕留めるのが厄介な魔物なんだ。』
『魔物??それに、冒険者とは、何ですか?』
『魔物とは、普通の動物より強い生命力を持っていて、魔力も保持しているものなんだ。
ローが仕留めたグラトニーヴェマは、強い消化力を持ち、口や爪に自身の消化液を纏わして攻撃してくる魔物だね。そうする事で、攻撃力を高めるんだ。それに、魔力で身体機能向上の魔法を使うから、動きも早く、とても厄介な魔物だよ。
そういう危ない魔物を討伐したり、危ない所から薬の原材料や珍しい物を集めたりする事を仕事にしているのが冒険者かな。ローが仕留めた熊の胆嚢も、良い薬になるんだよ。特に、グラトニーヴェマの胆嚢は、とても高値で取引されるからね。
ここの村では、貴重だからアイリーンに薬にしてもらいなさい。』
『母さんは、これを薬に出来るのですか?』
『アイリーンは、元々聖女様でね。薬や治療に関しては、右に出る人は、なかなかいないんだよ。興味があるなら、今度習うといいよ。生活する上で、その辺の知識は、ある程度あると便利だからね。』
『はい。分かりました。』
(性女だと!?私の母は、どうやら辛い生い立ちがあるのだな。確かに、綺麗であり、豊満だから。人気も出るであろう。)
私は、そんな事で母を偏見の目で見ないのだ。自分自身を育てるために、働いたのかもしれないと思い、深い愛を感じるのであった。
彼は、聖女という言葉をまだ知らない。
クロノスと共に、家路に着くと、もう日が暮れていた。
『『ただいま。』』
『お帰りなさい。やっぱり、服に結構な血が付いてるわよ。お風呂入れておいたから、二人で入ってきなさい。』
『はい。母さん、これを先に渡しておきます。』
ローは、熊の手と胆嚢を、アイリーンへ渡すのだった。
『立派な熊だったのね。そしたら、二つとも処理しておくわね。すぐには、使えないし。』
『あの今度、私にも薬について教えてください。』
『いいわよ。そしたら、胆嚢ついて処理とか使い方を今度一緒に行いましょう。』
私をアイリーンと約束をし、お風呂場へ向かうのであった。私は、ある薬を将来のため知りたかったのだ。
彼は、健康体であるが前世の時に、夜の店で病気を移された事があったのだ。
早急に、対処をしたので問題はなかったが、薬を知っている事は大事なのだと、そこで学んだのだ。
『ローは、偉いな。その年で薬学にも興味があるとは、私の場合は、アイリーンが居たから全て任せてしまってたからね。』
『そんな事がないですよ。そういえば、母さんが性女なら、お父さんは、何だったのですか?』
『私は、冒険者だったんだけど、途中から賢者と呼ばれるようになったのかな。
ちょっと、頑張り過ぎたんだよ。私は、そう呼ばれるのは否定していたんだけど、周りからはそう言われてしまってね。
アイリーンと出会ってからだろうね。聖女に賢者となると、色々言われるのが嫌になってしまってね。それで、この森の奥へ住み着いたんだよ。』
『凄い話ですね。お父さんは、まだ若いのに大変でしたね。賢者だったとは・・・。』
私は、その話を聞き悲しくなり涙を溢すのであった。
クロノスは、あの性欲も何もなくなる賢者とは。確かに、アイリーンは美人で豊満。だからと言って、それで、賢者になるには、年齢的にも早すぎる。
彼の知識の賢者は、偏っていた。
『大丈夫かい?そんなに悲しむ事ではないよ。私は、これで幸せなのだから。』
『私が、薬学を学び、必ず治しますから。』
『・・・・・?? あぁー、皆を治せる人になりたいって事かな。』
『はい。頑張ります。』
(男性全員の悩みだからな。)
彼らは、お互いに食い違いをしている事を今後も知らない。