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ブタは、魔法を知る。

あれから、時は過ぎ2年が経過した。


分かった事はといえば、どうやら生まれ変わったらしい。


何故か前世の記憶が残ってしまったのだ。この2年で、新しい人生に向け前世は割り切っていた。私の女王様達の幸福を祈るだけであった。


彼は、転生という言葉を知らない。


2歳ともなると、ここの言語が分かってきた。しかし、まだ、舌足らずなのか言葉を上手く発声出来ない。


どうやら、ここは日本ではないようだ。生前に比べると、文明が遅れているようだ。それか、ただ単に田舎なのかもしれない。穏やかな村で、私は気に入っている。


彼は、ここが地球でない事は、まだ知らない。


他にも分かった事がある。

ここは、なんと不思議な村なのだろう?

マジシャンの村なのかもしれない。お父さんだと思える男性は、火を手から出したり、水も出す、なんと摩訶不思議な現象。

私も何時かは、マジシャンになるのであろうか。



いや、心が躍った。前世では、このような曲芸は、出来なかった。出来るとしたら、ビールの瓶を手刀で開いたり、素足で刀の上を歩いたりくらいだ。とても、先ほどのようなマジックは真似できん。今後は、習ってみたい事である。


彼は、まだ魔法を知らない。


そういった分野は、前世では無縁だった。彼の知識は偏っている。前世は、武道とエロに費やしたために、他の分野には大した知識はない。


最近、知らない子供達や大人たちが遊びに来る。行動から好意を感じる。前世では、味わったことがない眼差しだ。少し、こそばゆいのである。


彼は、何故皆が、期待の眼差しを向けるかを、まだ知らない。




『ねぇー、クロノス。この子は、あまり話さないけど、平気なのかな。少し、心配で。』


『アイリーンは、心配性だな。少し遅いかもしれないが、他の子より歩くのも早かったし、話してる事も理解していると思うぞ。な、ロー。』


父クロノスは、そう言いながら私を持ち上げるのであった。


クロノスは、まだ若いがイケメンで可愛い笑顔を向けている。おっと、親を可愛いっていうのもなんだな。しかし、前の記憶がある私にとっては、年下であり、とても可愛く見えるのであった。クロノスは、24歳であり、そしてその妻アイリーンは22歳であった。


私の親は、毎日だが、そのような会話をしている。


どうやら、私のせいで心配をかけているようだ。そのため、頑張ってみようではないか。しかし、二人を何て呼ぼうか?パパ、ママは、使ったことがなく、少し恥ずかしいのであった。それも、一興なのだが。


以前は、父上・母上だったが、この国ではあまり使われていないようだ。他の子が話しているのをみると、父さん・母さんと大体は呼んでいるようだ。だが、ここは敢えて、、、、


『パピャ。ミャマ。』


この程度の言葉も、発言できないとは、この羞恥心。やはり、一興であったか。


しかし、私がそんな事を考えてるとは裏腹に、両親はとても喜んでくれるのであった。今後も頑張って、声を出していこう。こんなにも、喜んでくれるのだから。


『クロノス、聞いた?ローは何て、健気で可愛いのかしら。』


『あぁー、なんて可愛い声をしているんだ。』


その後、二人は勝手に盛り上がり、盛り(さか)がついてしまったようだ。フッ。これも、放置プレイというやつか。私も、前世のまま、盛ってしまうぞ。


これは、冗談だ。


ここで、私と両親の説明をしておこう。私の名前は、ヴォルト=ローマイヤだ。通称ローなのだ。そして、父がヴォルト=クロノス。母がヴォルト=アイリーンである。


さらに数か月が経つと、言葉も難なく話せるようになり、行動範囲も増えたのだ。


最近では、クロノスと狩りに付いて行くことが多くなった。初めのうちは、クロノスの後を追っていくので、アイリーンが困り果てていた。

私は付いて行くには意味があった。クロノスは一人で静かに、いや明らかにコソコソとしていたのだ。


これは、怪しい。


私は、前世の記憶を頼りに導きだした答えは、不倫または風俗だ。これは、調査せねば行けないと思うのであった。決して、この村の夜の世界を見たいとか、そんな事ではない。


その後、クロノスが観念して、連れていかれたのが村の外であった。其処には、前世では見た事がない自然豊かな所であった。しかも、見た事がない動物までもいる。これにも、心が躍るのであった。

それから、アイリーンの言う事も聞かず、毎日クロノスへ付いて行った。2人は、その頃になると中場諦めていた。


『お父さん。今日は、何を狩るつもりですか?』


『もうすぐ、冬も控えているから。ツチカラとかムサギがいいかな。出来れば、ヴェマが良いけど、ローもいるから安全のため、止めておこう。そこは、罠があるから、足元に気を付けなさい。』


ツチカラはシカで、ムサギはウサギ、ヴェマはクマと、ここでの動物の呼び名は、日本とは少し違うようだ。



彼は、まだ地球の何処かだと勘違いをしているのであった。


そして、言い忘れていたが、すでにパパと呼ぶ事を止めていた。なぜなら彼は、そのプレイは飽きているのだ。


『お父さん。あそこに、ムサギがいます。』


『へっ?ローは、凄いな。良く気が付いたな。お父さんは、『探知』を使っているのに言われるまで気が付かなかったな。』


『探知を使う??どういう意味ですか?』

彼は、無属性魔法『探知』を知らない。


『ローは、魔法に興味があるのかい?やっぱり、私達の子だね。』


『お父さん、魔法って、何ですか?』


『魔法とは、こういうのを言うんだよ。あのムサギを見てなさい。』

クロノスは、そう言い指を、パチンっと鳴らすのであった。そうすると、ムサギは急に倒れるのであった。


『何をしたんですか?』


『これは、音の魔法だよ。今、使用したのは音魔法『サウンドボム』指を鳴らした音を増幅して、ムサギに届けたんだよ。ムサギの耳には、大きな音が急に聞こえて気絶しちゃったんだ。人より聴覚が良いからね。』


『それは、私でも出来るでしょうか?どんな衝撃が、、、、』


彼は、見たことがない魔法という技に、心が躍っていた。


そして、試してみたいと思うのであった。彼の心は、透けて見えていた。早く、自身の試してみたいようであった。


『んー、まだ駄目だね。この村では、5歳からという決まりがあるからね。魔法は扱い次第で、人も殺せてしまうから、無理に使ってはいけないよ。後2~3年なんて、あっという間さ、急ぐ事はないよ。その間は、狩りの技術や罠の仕掛け方を教えるからさ。』


『分かりました。』


彼は、素直に従うのであった。武道の心得もあり、規律を重んじるのである。そこから、魔法を教わらなかった。代わりに、弓を教わったのである。


前世でも、弓道で腕を鳴らしたため、メキメキと上達するのであった。そして、教わった日でもムサギを二羽狩るのである。


『アイリーン。聞いてくれ。ローは、凄いんだよ。この年で、僕より弓が上手いんだ。』

クロノスは、魔法は得意だが、弓などの武道に関しては、まったくの素人であった。


『そんな事ないでしょ。まだ、2歳よ。』


『本当なんだ。今日のムサギは、ローが取ったんだよ。1羽は、私が魔法で取ったけど。な。ロー。』


『はい。お父さんの教え方が良かったのです。』

私は、師匠であるクロノスを褒める。その方が、世の中は渡りやすいのだ。


この村の弓は、前世とは少し形状は違えど、彼にとっては朝飯前であった。あらゆる武道は極めてきたので、生まれ変わっても感覚は変わらなかった。この身体でも、誤差はあれど、微調整の範囲なのだ。


『凄いねーー。ロー。良い子いい子。お父さんにも教えてあげないとね。』


アイリーンは、ローを褒めると抱き寄せ、豊満な谷間へ引き寄せるのであった。あぁーこれなら、毎日ムサギを狩ってもいいかもしれない。


彼は、クロノスの目線を感じるが、気にしない。それは、子供の特権と思い、この状況を楽しむのであった。


その後、ムサギを処理をクロノスから習い、夕飯の時であった。


『ロー。もうすぐ5歳になれば、魔法を習う事が出来るから、一つ忠告をしておくよ。

いずれ、遅かれ早かれ、この村を出る時が来るだろう。そこでは、自分の名を簡単にあげてはいけないよ。名というのは、大きな力を秘めているからね。』


『はい。分かりました。』


私は、理解していなかった。

いや、意味が分からないので、聞き流して返事をするのであった。どうも、昔から学問?心理?みたいな事は苦手だ。


彼が、その忠告の意味を知るのは、まだ先であった。



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