ブタは、自己紹介をする。
私は、今日も快楽を求め彷徨う。
この界隈で、私の事知らない者は居なかった。私が通れば、誰もが道を空ける。
まるで、十戒のモーゼのように。
さらなる出会いを求めて、いつもの通り行動する。
私の身体には、無数の痣がある。これは、言わば男の勲章のようなものだ。これを、馬鹿にする事は、許されない。
それも次の日になれば、たいていが治癒してしまうのだが、傷は消えても心に刻まれているのだ。
そんな屈強な身体を持つ私だが、店に入れば一人のいや、一匹の変態だ。
今宵も、従順な変態として、声を上げるのであった。
山岡 増達 32歳であり、独身だ。仕事は、土建業だ。私は生まれてから、これまで、後悔したことがない。
彼は空手・柔道・剣道など日本の武道界では、少し名が知られていた。
そして、このまま、順調にいけば、日本だけでなく世界においても最強の名を欲しいままになるはずだったと言われいる。
しかし、そんな事は、大したことがない。私としては、今の生活に満足している。いや、これ以上の幸せを、いまだ知らない。
彼の名声が轟いていたのは、彼が夜の世界に目覚めるまでの話であった。
彼は、先輩に連れていかれ、夜の世界の快楽に目覚めてしまったのだ。もう、彼を止める事は出来なかった。若い時から、修行の毎日により、抑えられてた欲望が解放されたのだ。
その事により、彼は試合の時でも、どれくらいの衝撃が来るのか、どんだけの痛みがあるのか、試す事が多くなる。
総合格闘などの試合以外、得点を求めて勝敗を決めるスポーツは、まるで駄目になってしまった。。
そして、落ちぶれていく。一方、一部の方からは、変態のカリスマや神の子ならぬブタの子など言われるようになるのであった。しかし、その罵声でさえも、彼にとってご褒美であった。
武道の野獣からただの性獣と化し、ブタにまで落ちていってしまった。日本の宝が腫物扱いされるが、そんな小さな事は気にしないのだ。
彼は、精神的・物理的な痛みを感じにくいが、唯一の急所があった。そのおかげか、いや・・・そのせいで彼は、女王の虜になったのだ。それが、自尊心などをくすぐり、彼の心を掴んで離さなかった。
『おい。もう来んじゃねーぞ。この変態が!!!』
バシッバシッ。
『ほほぉーーーー。ありがとうございます。』
『1回死んで来い。』
そして、ハイヒールの角で、グリグリとお尻を押すのであった。
『はぁー、今日の女王も、素晴らしかったな。最後の死んで来いからのアレは......ククク。また、会いに行こう。』
私は、独り言を言いつつ、今日の女王からの指導を思い出し、光悦に浸るのであった。
そのため、彼は気が付かなかったのだ。武道の野獣とも言われた彼が。
彼の後ろでは、現在、抗争が起きていた。
普段であれば、流れ弾や後ろから襲われても上手く対処をしたであろう。運が悪い事に、まだ賢者タイムであった。これも、彼が滅多に見せない弱点であった。
そして残念な事があった。彼は、見た面もガタイも厳つかった。そんな彼を、見間違え銃弾が襲うのであった。
彼の生涯は、呆気なく終わってしまった。
いかに、鋼のような身体を持っていても、銃弾には敵わなかったのだ。幸いにして、彼の死に顔は、とても幸せに見えるのであった。
『んっ、ここは何処だ?視界がぼやけるな。しかし、さっき後ろからの指導は、最高だったな。どこのお店にいけば、また受けられるのであろうか。』
彼は、まだ状況に気が付いてはいなかった。
『おんぎゃーー。おぎゃおぎゃ。』
(夢だったのか。身体が思うように動かないのだが)
そう思った矢先、ぼやけていた視界が徐々に晴れるのであった。視界には、見知らぬ女性が、こちらへ慌てて向かってくるのであった。
(それにしても、綺麗な女性だな。かなりの優良店のようだ。今宵の指導によっては、リピしないとな。)
彼は、いまだに状況を把握していないのであった。
それと、彼のジャンルは、ドMだけではないので、ここで訂正しておこう。
綺麗な女性は、銀髪の艶のある髪をしていた。長い髪を耳にかける仕草も色っぽいのであった。目の色は、エメラルドグリーンを持ち、色白で鼻筋が通り、唇も艶があるのであった。容姿が恐ろしく整っているのだ。それ咥え、スタイルも良く、胸も豊満であった。完璧な女性がそこに居たのであった。
そして、私に対し豊満な胸を押し付け、乳首を咥えさせるのであった。なんとも大胆。エクセレント。
『オギャーオギャー。オギャ、オギャー。』
(それにしても、近くで赤子が泣いてるな。んぐ、なんと、このようなプレイ・・・・僥倖ではないか。)
彼は、まだ気が付かない。そろそろ、気が付いて欲しいのである。
(ん、なんと。甘美な味わい。そして、何故か、安心するな....。)
彼は、いまだ気が付かず、そして知らず知らずに眠りに落ちるのであった。
数時間立つと彼は、目が覚めたのであった。
『オギャーオギャー。オギャギャー。ギャーオギャー』
(また、赤子の声がするな。少し心配である。いかに、独身で子供はいないが、武道を習ってきた精神としては見逃せんな。)
そうして、しばらくすると、またしても先ほどの女性が目の前に来るのであった。
(ん?そんな事より赤子をどうにかしなさい。私への指導は、後で良いから。)
そうして、女性は彼を持ち上げ、おむつを取り替えるのであった。
(なんと、こんな細い腕で私を持ち上げるとは。ふぉぉぉおぉおぉーーー。数あるプレイでも、このような赤ちゃんプレイは初めてだ。何たる屈辱感だ。ふぉぉぉおぉおぉーーーーー、だが、嫌いでないぞぉーーー。)
(あれ?赤子の声がしないぞ。そういえば、さっきから身体が思うように動かん。なんだ、この小さな手は...。)
彼は、鏡に映る自分を凝視するのであった。
『オギャーーーーーーーーーーーーーーー。』
(何が起きたーーーーーーーーーーーーーー。)
彼は、ようやく気が付くのであった。
これは、変態が異世界で生きていく物語である。