9 ハーレクトの町~宿屋と奴隷商人~
最近、肩の凝りと首の痛みが酷い桜希です。
魔物の襲撃もなく朝になった、志可香とカーラも目を覚ましハクとクロエを見ると朝食の準備をしていた。
肉の焼ける良い匂いがする。
「良い匂いだな」
「後、少しで食べれるぞ」
良い具合に焼けたので皆で食べた。最初、奴隷の二人は手を付けず見ていたが志可香が許可したことで食べ始めた。肉を食べれることに喜んでいた。
後片付けも終わり町に向けて歩き出す四人
(クロエはどうするか聞いてなかったな)
「クロエは町に着いたらどうするんだ?カーラから主人無しの奴隷は処分されると聞いたが…」
「はい、志可香様に主人になって頂きたいです」
「…何故だ?解放は考えなかったのか?クロエの能力なら解放され冒険者になれば生きていけると思うが…」
「それは…志可香様は鑑定スキル持ちなのですか?」
「あぁ、持ってるが…それが?」
「でしたら分かるかと思いますが私は銀狼族です。銀狼族は個体数が少ない上に村が襲われ皆バラバラになりました。殺された者も少くないと思います…」
「…それで?」
「はい、今までは解放されたら同族を探したいと思っていましたが志可香様に出会い初めてこの人に付き従いたいと思いました。ですから私を志可香様の奴隷とさせてください!」
(付き従うなら奴隷でいる必要はないと思うが…まぁいいか)
「…わかった」
「ありがとうございます!」
町への道中、志可香は楽だった。マップで敵を確認しクロエとカーラに戦わせたからだ。ハクは奴隷二人のフォローに入って貰い特に危なげなくすすんだ。
因みに出てきた魔物の種類はオーガとウォーウルフの二種類だけだ。
四人は町の前にいた、外壁があり魔物が簡単に入れないようになっている。門番の所に行くと見張りが立っていて横に窓口がある
(志可香様、町等に入る時は入町税を払わなければなりません)
とカーラが小声で教えてくれた
窓口の所に行くと奥から兵士が出てきた
「初めてか?」
「あぁ、入税はいくらだ?」
「一人5000フォームだ。奴隷は半額だ」
「なら15000フォームだな」
硬貨を渡した
「これは入場許可証だ、効果は最長で1ヶ月だ。延長する場合、期間切れ前に町の役所かここでまた入町税を払えば良い」
窓口の兵士は硬貨を受け取り四枚のカードを出してきた
「1ヶ月以内なら許可証を見せれば出入り自由だが期限切れで見つかれば奴隷落ちか罰金5000フォームだから気を付けな。後、奴隷の分の許可証は出来るなら主人が管理した方が良いぞ。」
(なかなか親切に教えてくれるな…マニュアルか?)
「そうか、わかった。ありがとな」
「後、身分証はあるか?」
「いや、無くした」
「ならこの水晶に触れてくれ犯罪歴があるかどうか調べなきゃならないからな、因みに犯罪歴があると赤くなる」
「わかった」
志可香は躊躇なく水晶に触れ犯罪歴がない事を証明した。他の三人も同様だ
「大丈夫だな、これが身分証だ、名前は後でも構わないが早く書いておきなよ。使用するときに名前が書いてないとかなり怪しまれて厄介なことになるからな」
「そうか、金はいくらだ?」
「一人1200フォームだ」
志可香は4800フォーム渡した
「治安の良い所の宿屋知らないか?」
「治安の良いところだと…平民区と貴族区の間の通り沿いが良い筈だ。通りの出来や周りの建物を見てれば何処が平民区か貴族区か分かるからすぐに見つけられる筈だぞ」
「わかった、世話になったな」
「このくらい構わないさ。じゃ、ようこそハーレクトへ」
窓口の兵士はそう言うと笑顔になった。志可香も笑顔で答えた
四人は門をくぐり抜け町に入った
「まずは宿に部屋を借りに行くぞ」
「「はい」」
「はいよ」
町は分かり安く区切られていた、門から真っ直ぐ馬車も通れる大通りがあり突き当たりの屋敷がこの町を管理している領主の屋敷、そしてその屋敷の両サイドに貴族区、中通りを挟み平民区、また中通りを挟み貧困区となっている。
また門の近くの大通り(貧困区部分)だけは住居区ではなく商店が並んでいた。
そして町中を兵士が巡回(見回り)していたが、これも優先順位があるらしく大通り→貴族区と平民区の中通り→平民区と貧困区の中通りの順らしい、志可香が見た感じ貧困区方面は殆ど放置されているようだった。
中通りの突き当たりの外壁には扉があるが非常用で基本的には施錠されている。
志可香は大通りと貴族区と平民区の中通りの交差する場所の近くの宿屋に入った、中に入ると一階はご飯が食べられる食堂みたいになっていた。入り口のすぐ左側には会計場があり、そこにガタイの良いおじさんが立っていた。おじさんと言っても綺麗な服装に髪も整えた執事風の格好をしていることからここが高級な宿だと言うのが分かる。
「いらっしゃいませ、宿泊で御座いますか?」
「あぁ、二人一部屋を2つか四人一部屋が良いんだが空いてるか?」
「はい、四人一部屋ならすぐにご用意出来ます」
「ならそれで頼む、いくらだ?」
「一人10000フォームになります。奴隷は一人12500フォームで朝食込みの料金です」
「そうか、前払いで良いか?」
「はい、初見の方には前払いでお願いさせて頂いております。」
「わかった、なら取り敢えず1ヶ月分頼む」
「わかりました。…合計1.835.000フォームになります」
「ならこれで」
志可香は1.840.000フォーム渡した
「確かに、此方がお釣になります」
おじさんは5.000フォームを渡してきた
「それでは全員の署名を記載ください、その後、部屋にご案内します」
代筆も可能だと言う事なのでカーラに署名をしてもらい、志可香達はおじさんの後について行くと案内された部屋は三階だった。
「こちらの部屋で御座います。尚、外出される際は鍵をお預けくださいます様お願い致します」
「あぁ、わかった。ありがとう」
志可香はおじさんに20000フォーム渡した
「ありがとうございます、何かご用がありましたらお声掛けください」
そう言うとおっさんは下階に下がっていった
(チップはあるみたいだな)
「荷物を置いたら奴隷商人の所に行くぞ」
「志可香よ、我はここで待ってても良いか?」
「ん?どうした?ハク?」
「少し眠くての…」
「そうか、わかった、休んでて良い」
「すまないな、夜の為に体力温存するわ」
ハクは誘うような笑顔で言う
「男漁りでもしてくるのか?」
「お主だわ!!って言わすな!!」
ハクは赤くなった
「二度ツッコミ頂きましたー」
(こいつのこう言うところは可愛いんだがな)
「…クゥ~いつか負かしてやるからの!さっさと行ってこい!!」
そう言うと4つあるベットのうちの一つにボフッと倒れこんだ
三人が部屋を出て歩いているとカーラが何か言いたそうにしていた
「どうした?」
「志可香様とハク様は…そ、そう言う仲なのですか?」
「そう言う仲とは?」
わざと惚けてみる
「その…夜も共に過ごす…」
「…いや、あいつが俺をからかってくるから、からかい返してるだけだ、抱いたことはない」
「そ、そうですか…」
(何故あからさまにホッとする?)
「それなら、どういった関係なのでしょうか?」
今度はクロエが聞いてきた
「ん~、なら夜にその事についても話すか」
「わかりました、お願いします」
階段を下りて執事おっさんに出かける事と部屋に一人休んでる事を伝えた。後、奴隷商人の店を教えてもらい鍵を預け外に出た
奴隷商人の店は貴族区・平民区の中通りにあったのですぐわかった。
中に入ると中年デブオヤジが声をかけてきた。
「いらっしゃいませ」
中年デブオヤジはクロエとカーラを厭らしい笑みで見てから志可香に話始める
「こちらの二人をお売りになるので?かなりの上物…」
「この二人と奴隷契約を結びたい、出来るな?」
志可香は苛つき軽く睨み付けデブオヤジの言葉を遮った
「は、はい、ただいま!」
デブオヤジは驚き慌てて言う
(チッ!気に食わないな)
案内された部屋に入ると机があり契約書が置かれていた
「では、主人となる方は奴隷の首輪に血を付けて下さい。奴隷となる方は主人に血を飲ませて下さい」
(えっ、飲むの!?俺が!?)
(志可香様、落ち着いてください。通常の奴隷契約方法です)
カーラにフォローされ落ち着きを取り戻す
志可香は親指を軽く噛み千切りクロエの首輪に押し当てる、クロエは人差し指の指先を軽く噛み千切ると志可香の口の中に入れた
(女の子の指をしゃぶるって少しエロいな)
クロエは顔を赤くしていた
「それではいきます、………『奴隷契約』」
=奴隷術を覚えた=
魔法がかかると志可香にクロエの血が体を循環するような感覚があり、クロエには頭と首輪に薄赤い棘の様なものが絡み、消えた。
カーラの場合も同じように契約を済ませる。何故かカーラも顔を赤くしていた。
誓約書の方は内容を志可香が確認して署名(代筆可)するだけで良かったので署名はカーラに任せた
「これで契約完了です。二回分ということで8000フォームになります」
「わかった」
志可香は8000フォーム渡した
「またのご利用をお待ちしております」
「機会があればな」
素っ気なく言い店を出た
ヒロインが増えましたね~、そろそろ男キャラを入れたいところです。