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神に戦いたいと言われたのだが…心のままに生きる  作者: 只野桜希
別れ…そして旅立ち
3/83

3 神々との対談と旅立ち準備~2~

テンプレ?フラグ?

バッチコーイ( ̄^ ̄)


志可香はゼウスとメティスに先程の二つの願いを伝えた


「そんなことで良いのか?なら一つ目の願い、今の容姿と能力はそのままで転移させてやることを約束しよう。ただ年齢だけは15歳で良いか?」


「3歳くらいなら構わない」


「なら大丈夫だな」

一つ目はゼウスが快諾してくれた


「でしたら私が二つ目の願い、死後の様子を見せましょう」

メティスも快く引き受けてくれた


「今から見せますが良いですか?」

志可香は頷く、

メティスは手を伸ばし志可香の額に軽く触れる。

すると目を開けているにも関わらず視界が葬式の式場に変わった。視点が高い、宙に浮いているような視点で周りを見る。

葬式には友人達も来てくれていた。


(皆泣いている…葬式じゃ当たり前か、笑ってる方が変だしな)

親友の豊が棺の前でなんか言ってる、


「お前…死ぬ時まで格好良すぎだろ……てか里絵の事どうすんだよ!お前あいつの気持ち気付いてたんだろ?なんで答えてやらなかったんだよ!…チクショー…お前がいなくなっちまうとブレーキ壊れちまうだろうが…」

(…豊…だからだよ…お前の気持ちも知ってたから俺は何も言えなかったんだ…)

志可香は里絵の気持ちにも…豊の気持ちにも気付いていた、だからこそ里絵の気持ちにyesもnoも答えなかった。志可香は二人が直接言ってきたら対応しようとは思ってはいたのだが、里絵からの告白も豊からの相談も無かったため動きようが無かった。志可香自身は里絵のことを親しい友人以上の感情は持てなかったからでもある。



次に棺の前に来たのは里絵と里絵の親友の花菜だった。

「志可香…あんたメッチャ罪な奴だな…最後まで皆を振り回しておいて勝手にいっちゃうなんて…」

(花菜…)

志可香は苦笑していた。


「…グス…志可香…ウッ…ウッ…ウァァァァァ!!」

(里絵…ごめんな…)



次に来たのは志可香が助けたあの女の子と両親だった

「志可香さん、有り難う御座いました。貴方のお陰で私は……私は…ウッ…ウッ…ご免なさい…ご免なさい…」

(君が責任感じる必要無いのにな…無事ならもうそれだけで満足だ)


志可香の母親が女の子を抱き締め一緒に泣いていた

女の子の両親はただただひたすら謝っては泣いていた


(見なきゃ良かったなんて言えないな…けど…)

「メティスさん、悪いけど、やっぱりもう一つお願いしても良いか?これが最後だから…」

志可香は自分の葬式を眺めながら懇願する


「えぇ、分かってるわ。あの子達のところにさよならを言いに行きたいのでしょう?」


「あぁ、出来るのか?友人達3人と助けた女の子、後、俺の両親の2人」


「大丈夫ですよ。その人数だと一人辺り1分程しか話せないけど良いかしら?」


「1分もあれば十分だ、頼む」


「では、行きますよ。順番は私が勝手に決めてしまいますよ」

メティスはそう言うと志可香の額に触れた。


意識が一瞬飛び次の瞬間にはまた周りが白一色になっていた、

そして目の前には両親がいた。


(時間は関係ないのか?まぁいいや、時間ないし)

「父さん、母さん…」


「志可香!!」

「志可香!!逢いに来てくれたの!?」

三人は抱き締め会う


「父さん…最近ずっと喧嘩ばっかだったが…本気で嫌ってる訳じゃないから」

「あぁ、わかってるさ、俺もだ」


「母さん、最近あまり話しなくてごめんな、あの日の晩飯…俺の好きなすき焼きにするつもりだったんだろ?買い物の途中で気付いたよ…食べたかったな…」

「私も食べさせたかったよ…三人で昔みたいに話しながら…ウウウ…」


リーン…リーン…

「ごめん、もう時間だ…二人とも今まで育ててくれて有り難う!親孝行してあげられなくてごめん!!」

「気にしなくて良い!これからは母さんと二人で旅行とかして楽しく過ごすからな!!」

「父さんの言う通りだよ、私たちの事は良いから!!自分の幸せを考えてね!!」


「二人共有り難う!!愛してる!!」

「あぁ!!俺もだ!!愛してる!!」

「私もよ!!志可香!!愛してる!!」



視界がだんだん暗くなり…

そしてまた明るくなる


(次は…花菜…)

「花菜…」

「……志可香!!」

お互い抱き締め会う


「花菜、葬式来てくれて有り難うな」

「見てたの!?」


「あぁ、どうしてもお前らが気になって神様にお願いしたんだ」

「そっか、恥ずかしいとこ見られちゃったな…」


「悪かったな、それにしても…俺ってそんなに気ままだったか?」

「声も聞こえてたの!?…うん!もう、滅茶苦茶だよ。里絵の気持ち知ってた癖になんもアクション起こさないし、私が豊を好きだってのも知ってた癖に手伝ってくれないし…」


「ハハハ…仕方ないだろ?俺は4人でいるあの空間が一番心地よくて一番大事にしたかったんだから、三人の内の一人だけなんて選べなかったんだよ」

「本当に酷い男だよね」

花菜は頬をつねってきた


「痛てて……二人の事頼むな…で、どんな形でも良いから三人とも幸せになってくれ…それが俺の最後の我が儘だ」

「ザマァ……ホントに最後の最後まで皆の事振り回すんだから…酷いやつ…」

そう言うと志可香の胸に頭を預けてきた。花菜の表情は見えなかったが小さく震えていた。

志可香は頭を優しく撫でてあげることしか出来なかった。


花菜は震える声を隠すように聞いてきた


「もう豊と里絵にはあったの?」

「いや、まだだ」


「それなら…里絵に会ったら……嘘でも良いから…答えてあげて?それで豊に会ったら…私の代わりに一発殴っておいてよ」

「……嫌だね……」

志可香は花菜の優しく頭を撫でながら…だがハッキリと断った


「ハハハ…ホントに私には厳しいなー…最後のお願いだったのに…ウウ…」

「当たり前だ、お前のその願いを聞いちまったらお前は一生後悔し続けるだろ?」


「っ!!…ウァァァァァ」

(ホッント、俺、最低だ)

志可香は我慢仕切れず声をあげて泣き出した花菜を抱き締めた


リーンリーン


「…時間だ」

「…そうみたいだね。ありがと!結構スッキリしたよ」

志可香から離れて笑顔で答える


「花菜、お前と出会えて幸せだった!!有り難うな!!楽しかった!!」

「志可香!!私もだよ!!メッチャ楽しかった!!でもこれからはうちら三人でもっと楽しんで幸せになるからね!!」




周りがだんだん暗くなる


(よかった、笑顔でいられた。あいつも笑顔でいてくれた)


周りが明るくなる



(あの女の子か)

「やぁ…葬式来てくれて有り難う」

「!!志可香さん!!」

笑顔で近づく


「あっあの!私、ちゃんと志可香さんにお礼を言いたくて…違う、謝らなきゃ!じゃなくてっ、えっ、えっと、えっと…ウウ…ウウ…」

女の子は何から言えば良いのか分からなくなり泣き出した


「良いんだ、無理に言葉にしなくても…」

「…ウウ…ウッ…えっ…と…ウウ…」

「大丈夫だ」

驚かせないように優しく抱き寄せ背中を擦る志可香


「ウァァァァァご免なさーいウァァァァァありがとうー」

「大丈夫、大丈夫だ、大丈夫」

女の子も必死でしがみついてくる



「…ヒッ…ウウ…ウッ……」

「ふふ、だいぶ落ち着いたようだな」

志可香は女の子の肩に手を置き体を離し肩から手を退ける


「はい…あの助けて頂き有り難う御座いました!!私、ドジで良く何も無い道とかでも転ぶんですけど…」

「そうか、運動音痴なのか」


「えっと…はい」

(あっ、落ち込んじゃった)

「ははは、なら今度は学校の窓から落ちるかもな、ふふ」


「…志可香さんて人を苛めるの好きなんですか?」

「あぁ!大好きだぞ!!ドSだからな、人が泣いてるとことか引いてるとこ見るとメッチャ楽しくなってくる」


「そうですか、志可香さんは苛めっ子で変態なんですね!!」

「そうだ!だから俺には近づくんじゃないぞ、襲ってやるからな」


「ふふふ、何ですかこの会話、夢枕に立ってまでする会話じゃないですよ、あはは」

「ふぅー、やっと笑ったな」


「えっ?」

「ん?」


リーンリーン


「あっ、もう時間だわ、えっと、せっかく生きてんだ。思いっきりやりたいことやって悩んで後悔して反省してそれでも思いっきりやりたいようにやりな!で幸せになれ!」

「……ウッ…」


「おい、今、罪悪感持ってるだろ?」

「はい…」

「なら俺を死に追いやった罰をあたえてやる!良く聞けよ、これから何があっても喜怒哀楽を捨てるな!やりたいこと一杯やって、それで幸せになれ!!これは命令だ!!」

「っ!!分かりました!!あっ、あの私、加賀美沙子って言います!命令、絶対に幸せになるからね!ずっと見ててください!」

「加賀美沙子か、美沙子!俺がずっと見てるからな!」


一気に暗くなった

(ギリギリだったか、美沙子すまん、約束は守れない)


そして明るくなると…


「!志可香!!」

里絵が抱き付いてきた、だが志可香は抱き締め返すことも頭を撫でることも背中を擦る事もしない。ただ立って抱き付いてきた里絵を見る。


「……」

「なんで何も言ってくれないの?なんで何もしてくれないの?私の気持ち知ってるんでしょ?」


「……」

「どうして何も言ってくれないの?」


「…里絵…俺は…3人とも大好きだ」

「っ!……ウッ…」

里絵は一度ビクッとなり小さく震え始めた、志可香のその言葉で理解した。


「花菜の事、豊の事、里絵の事、皆一緒のあの空間が一番好きなんだ。我が儘だってのは分かってる、けど俺が好きなあの空間を壊したくない!」

「…ウウ…ウッ…」


「……」

「…ねぇ、志可香…最後に一つだけ私の我が儘、聞いてくれる?」


「事による」

「…ふふ、志可香らしい答え、えっと、目瞑ってくれる?」


「わかった」

志可香は目を閉じる

(キスか?ビンタか?どっちだ?)

「ふん!」


ゴッ!

「グホッ!…おっ、お前みぞお…っ!!」

里絵は志可香の腹に思いっきりパンチした、そのパンチはみぞおちに入っため志可香の体をくの字に曲げさせた。

そして、文句を言おうと志可香が顔を上げた瞬間、里絵の両手が志可香の両頬を抑えキスをしたのだった。ただ軽く触れあうだけの一瞬のキスを

「…これで全部許してあげるね」

志可香から離れ両手も離すと里絵は笑顔で言った、涙をその両目に溜めながら…


「ゴホッゴホッ…はぁ…あぁ、サンキュー!!」

志可香はお返しとばかりにワシャワシャと少しだけ強めに里絵の頭を撫でまくった

「えへへ…志可香に頭撫でて貰うの好き!だから志可香の事は大好きだよ!!」

里絵は気持ち良さそうな笑顔で…だがハッキリと言った


「あぁ、俺も里絵の事、大好きだぞ!!親友としてな」

志可香もそう言うといたずらっ子みたいに、ニッ!と笑顔になった。

「最後の一言言わなければ最高に嬉しかったのになー」

少し残念そうに…だが笑顔で里絵は答えた


リーンリーン


「時間だ、里絵、知ってると思うが花菜は強がりの癖に弱いところ結構あるから頼むな」

「うん!知ってる、私に任せて!」


「豊は…あいつは自分で何とかするだろうから放っておいても大丈夫だろ」

「ふふっ豊君、可哀想」


「じゃぁな、今まで楽しかった!皆と一緒に笑顔でいてくれよ!!」

「うん!志可香が死んだの後悔するくらい皆と笑顔でいるからね!!」


だんだん暗くなってきた


「志可香ー!!ずっとずっと大好きだからー!!」

里絵はずっと笑顔だった。

志可香も無言で頷き笑顔でいた。


真っ暗になり、数秒して明るくなった


「志可香…」

「豊…」

豊と志可香は対峙した


先に動いたのは豊だった

ヒュッ、ゴッ!

「!って…なっ!」

ヒュッ、ゴッ!

「ッグ!…オラッ!」


そこからはお互い無言で殴りあった、顔を…腹を…時には拳と拳がぶつかることも…だが二人とも避けず防御もしなかった。

お互いの拳は血と()で濡れていた。

だが二人は笑っていた…二人は二人と殴り会える楽しさと嬉しさから笑顔になっていた

そして二人は…倒れた

そこにあるかも分からない天井を見ていた


「「ハァ…ハァ…」」



リーンリーン


お互い立ち上がり背を向けた

「…時間だ、もう行く」

「あぁ」


「豊」

「あっ?」


「あいつらの事、頼んだぞ!」

「…あぁ、任せろ!」


「じゃぁな…」

「じゃぁな…」


そして暗くなった



明るくなり目を開けるとそこはあの小屋の中だった

3柱の神々がいた


「メティスさん、有り難う。もう思い残すことはない」

「…志可香さん、もう…良いのではなくて?」


「っ!!」

メティスの言葉に志可香は感情を抑えきれなくなった、みるみる表情は歪んでいき…涙が止めどなく溢れてきた

色んな思い出と感情が泡のように出てきては弾け消えていった。

声は殺せた…だか涙を止めることが出来なかった


「良いのです、貴方は立派にお別れを言えたのですから…」

メティスは志可香の背中を擦っていた


志可香が落ち着くまでずっと…



書いてる自分が泣いてしまうアホな桜希です(;_;)

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