2 神々との対談と旅立ちの準備~1~
書きたいことが多すぎて長くなってしまう(-_-;)
「んっ…眩しい…」
始めに目に映ったのは白
(なんだここは?)
周りを見渡すと白一色、だが一ヵ所小屋みたいな所があった。
その小屋に近づき扉を開けると…そこには壁全体に本棚があり全ての本棚に本が収まっていた。
そして部屋の真ん中にはちゃぶ台と煎餅の入った皿が置かれており、修道服みたいな服を着た中学生位の女の子が座って本を読んでいた。
「あっ、良くいらっしゃいました。如月志可香さん、どうぞ、お座りになってください。」
志可香に気付き本から顔を上げると女の子は笑顔でそう言いちゃぶ台の向かいに案内してきた。
「君は?」
志可香は戸惑いを隠せず質問した。
「私はミネルヴァと言います」
(ミネルヴァ…確かギリシャ神話に出てくる知恵と戦略を司る女神アテナの別名、何故同じ名前…)
「はい!ご存知でしたか。アテナとしてはかなり有名ですが…知っていてくれてとても嬉しいです!」
本当に嬉しいのか凄く良い笑顔で肯定してきた
「思考を読むな!……本当に神なのか?」
警戒しつつ疑問を言わずにはいられなかった。簡単に信じられる方が頭がおかしいとも思っていたからだ。
「本当の神ですよ。今は表だって活動してないので地球の方々からすればあまり信じられないでしょうが…、後、心の件は申し訳ありません。貴方からの心の声をカットしておきます」
そして神と名乗るこの女の子からこの場所のことや志可香がここにいたる経緯、これから志可香が異世界転生される旨を教えられた。
要約すると、女の子を助けることには成功したが庇った際に頭を電柱にぶつけてしまい首が折れ死んでしまった
そして偶然ミネルヴァが気紛れで世界を眺めていたら、その事故を目撃し志可香が悪い魂でも無かったため可哀想に思い、つい魂を呼んでしまったとのこと
そして魂を呼んだは良いがミネルヴァが手を出してしまったため地球の本来の輪廻転生の理から外れてしまい地球には戻せなくなったので異世界転生させようと思っていたとミネルヴァは話した。
「ここまでの経緯とこれからの事は理解した。取り敢えず俺を助けようとしてくれたんだろ?礼を言う、だか異世界に行くにしろ、その前に二つ頼みがある…」
まだ本物の神か疑いつつ礼は欠かさない方が良いだろう。そして要望を伝える。
一つ目は知識があるとはいえ0歳からではなく18歳から、しかも容姿や能力と言った地球での経験もそのまま引き継がせて欲しい事
二つ目は自分の葬式や火葬の様子を見たい、女の子の安否を知りたい…と。
「んー…二つとも叶えてあげたいんだけど…私の力では無理ですねー、私の力は『異世界に魂を連れていく』事だけですから…」
(やはり神とは言え現地人に干渉するには制限があるのか?)
「なんとかならないのか?例えば他の仲の良い神に助力を求めるとか…」
ダメ元でも良いから他の神にも聞いて欲しいと懇願する
「……分かりました、やるだけやってみましょう!」
ミネルヴァはそう言うと上を見つめるようにしながら他の神々とコンタクトを取っているようだった。
しばらくするとミネルヴァは頭を垂れて深い溜め息をついた。
「同格と後輩神々にも聞いたけどダメだったわ、ご免なさい」
「そうか…」
(やはり神とて完全無欠ではないのか)
「後は上の格の神だけど、頼めそうなのは…父上と母上しかいないわね」
(ミネルヴァの両親って確か…全知全能神ゼウスと叡知と思慮と助言の神メティス…だったよな)
「頼む!!」
志可香はもう一度強く頼み込んだ
ミネルヴァはもう一度コンタクトを取り始めた。
……数分後、
「フゥー、取り敢えず直接会って話を聞いてもらえることになったわ」
「オォ~!!ミネルヴァ頼りになるな!!有り難う」
もう警戒心と疑心は無く嬉しくなって手を握っていた。
「まっ、まだ可能かどうかは分からないわよ?」
急に手を握られ戸惑いつつ楽観視しないようにと伝えるミネルヴァ
「っ!!そうだったな、悪い」
冷静になり手を離して2柱が来るのを待つ
……待つこと10分、ノックもなしに扉が開かれ男女が現れた
「ミネルヴァよ、この者か、話を聞いてあげろと言う者は?」
全知全能神ゼウスは見下すような視線で志可香を見る
(オォー、流石世界を統べる神!神々しいとはこう言うことか!…だが何故甲冑を来ているのか?戦の途中だったのか?)
「はい、お父様、お母様、私では格と制約の関係でこの者の願いを叶えてあげられなかったもので…どうか願いを聞き叶えてあげられないものかと…」
ミネルヴァは申し訳なさそうに言いながらも志可香の願いを叶えてあげたい一心で頭を下げていた。
「頭を上げて構わないわよ、ミネルヴァ、私は貴女の為に力を使うのに躊躇いはしないわよ」
叡知と思慮と助言の神メティスは慈愛の表情でミネルヴァと志可香に微笑んだ。
「して、志可香よ、ミネルヴァの話だと汝は中々の知恵を持っていると言うが…話を聞く前に一つ質問に答えて貰おうか」
力を貸すに値するものか試すゼウス
「この格好を見て分かると思うが戦の途中だ、して今、我は何と戦っているか分かるか?」
普通に考えると人間に分かる筈もないことを聞く
(ギリシャ神話は一通り読んだが…それは過去の事、今現在と言うことは憶測で構わないと言うことだな。ゼウス自ら出ると言うことはテュポーン復活が濃厚だが…だとしたら俺たち人間は既に絶滅してるだろう、ポセイドンとハデスも可能性は低い…)
「テュポーンを利用しようとしているオリュンポス神族の反乱、内戦じゃないか?」
「フム、何故そう思う?」
ゼウスはさらに聞いてくる
(思考も読んでるだろうに…)
「息子達、要は親子喧嘩が一番可能性が高いと思った」
「クックック…ハーハッハッハ……親子喧嘩か、神々の戦いを喧嘩と言うか」
ゼウスは豪快に笑った
「神々だろうが人間だろうが戦と言っても価値観の違いとかから来る言い争いが最初だろ、それは喧嘩以外の何物でもない。当事者達に共感した皆が当事者をトップとして規模が大きくなったから戦になってるだけだ」
(まぁ、これは俺の価値観だがな)
「クックック…確かにな、最初はただの言い争いだったな」
「あなた、そろそろ良いのではなくて?」
メティスがそう言うとゼウスは素直に従っていた
「志可香よ、悪かったな。第三者の考えを聞いてみたくなっただけだ。助力はしてやるから安心せよ」
そう、ゼウスとメティスは最初から助力するために志可香の前に現れたのだ。
勿論、志可香も助力を得るのに必要な質問だと思っていなかったので特に心配はしていなかった。
そう、ただの建前だったのだ。
「じゃ、話を聞こうか」
そう言うと二柱はミネルヴァを挟むように座った。
メティスとの会話は次回で(^^;