表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

94/117

81話 公式でのネタキャラ扱い

「ああ、なるほど裏設定ですか……師匠が好きそうな言葉ですね」

 

 神殿の中庭のテラスのような場所でリュートが用意していたお茶を飲んでいた。

 リリはもりもりと出されたお菓子を食べている。

 

「にしても……随分メンバーが増えましたね」


 フェルティナとレイスリーネを見てリュートが言う。

 ちなみに、アルファーはダッシュしたコロネのあとについて行った。


「うん!猫の仲間100人計画まであと94人!」


 とリリが嬉しそうに答える。


「……って友達100人できるかな♪みたいなその計画はまだ続行中だったのかっ!?

 ってか確かに言われてみれば順調に仲間が増えてるし!?」


「仲間100人ですか……それでは猫様その仲間計画に私も是非」


 と、リュートがにっこり微笑むが


「腹黒だから却下」


 と速攻、却下する。


「ね、猫様酷いです」


 リュートが涙目になるが無視だ無視。


「人を騙したのが悪い」


 私の答えにリュートがぐちぐち言い訳しているが、あーあー聞こえないーでやり過ごす。

 ……うん。まぁ、結構お世話になっているし、連絡がいつでもとれるようにギルドには入れておいたほうがいいかもしれない。

 あとでコロネに聞いておこう。


「あー猫さん、お久しぶりー!!」


 私たちがお茶を飲んでいると、sionが嬉しそうに寄ってきて……レイスリーネとフェルティナを確認してうっとなる。


「あー本当に守護天使を仲間にしたんですねー。

 さっきいきなり部屋にアルファーが入ってきて本を貸してくれってきましたけど。

 てっきり殺されるのかと思いましたよ」


 とsion。そういえばsionはこの守護天使三人にこき使われていたらしいし、苦手意識があるのだろう。

 それに守護天使を仲間にしたのも知らなかったろうし。

 いくらコロネと一緒だったとはいえ、そりゃいきなり部屋に雪崩こんできたら驚くよね。


「ああ、驚かせたな。ごめんごめん。

 どうだ調子は?何か不都合はないか?」


 私の問いにsionはニコニコ顔になる。


「思いっきり順調っすよ!上級ポーションまで作れるようになりましたし!

 待遇も前より全然いいですし!

 錬金術はもともとスキルは100だから覚えるのははやいみたいっす」


「おーそれはすごいな。まだ一週間くらいしかたってないのに」


 sionは嬉しげにえへへーと胸をはり


「猫さん時間あります?最高級ポーション作り方一通り軽くでもいいから教えてもらえると嬉しいんですけど」


「あー、うん」


 私がリュート王子とリリを交互に見ると、リュート王子は微笑んで


「私の事はお気になさらず。sionさんが最高級ポーションを作れるようになっていただけるとこちらも助かりますし」


「リリ グラッドさん おうち遊びいってくる。コロネ ネコと同じ建物にいるなら心配ない」


 と、お菓子を食べながらリリ。


「了解。じゃあファルティナ、リリなら大丈夫だと思うけど念のためリリの護衛にくっついていってやってくれ」


「はっ、かしこまりました」


「あ、それとリリ、友達の家にいくならちゃんとお菓子持参しないと。

 前帝都でグラットさんの家のお土産用に買ったお菓子渡すからちゃんと持って行けよ?」


「はーい!」


 と、リリにアイテムボックスから取り出したお菓子を渡す。

 その様子をみていたsionがへーっという表情をして


「あーー。猫さん、ひょっとして中身女性です?」


 と、聞いてきた。


 ………なるほど。うん。


 こういう所でバレるのな。

 どうやら私には中身の性別が違うと知っている人には男と騙すのは無理らしい。




 ▲△▲△▲△


「へー!神様のところいくっすか!?じゃあ帰り方聞けるかもしれないっすね!」


 sionにポーションの作り方を教えつつ、私はこれから神々の場所へ行くことを説明した。

 ほら、だって一応sionも元の世界に帰りたいだろうし。

 ちなみにレイスリーネは窓際でちょこんと座り、護衛をしてくれている。


「うん。そうだな。

 まぁ教えてくれるかはわからないけど」


「でも、ゲームのイベントストーリーにでてくる神様ってみんないい人っぽいじゃないですか。

 このゲームの神様って、いい人っぽいの多いし。

 邪険には扱われないとおもいますよ」


「うん。だといいけど。

 てかsionは真面目にイベントストーリー見てたんだ?」


「もちろんっすよ。もしかして猫さん、すぐイベントムービースキップしちゃうタイプ?」


「うっ!?」


「あー、猫さんってイベントよりレアアイテムじゃーって、言ってそうっすもんね」


「な、なんでバレてるし!?」


「猫さんってそういう顔してます」


「まさかの顔!?」


「まぁ、冗談は置いておいて、なんかガチ装備でやってる人って、イベント知らね!

 チャレンジもダンジョンも周回してこそ意味がある!

 って言って、イベント速攻スキップしそうなイメージですねー」


 と、ポーションをマゼマゼしながら言うsion。


 やべぇ。sionの言う通りのイメージまんまなんですけど、私。

 イベントなんて全部流し読みでしたごめんなさい。


「うーん。でも神様でてくるイベントなんてあったっけ?」


 一応クエストは全部こなしてたはずなんだけどなぁ。

 ……まぁよく話聞いてなかったけど。


「結構ありますよ?まぁ、神官達から聞く、神様の面白話的なものが多いですけど。

 それに光の神と闇の女神なら会ったことありますよ自分。

 隠しクエストで。

 ほら、さっき部屋に突入してきたコロネさんって居たじゃないですか。

 あの人とイベントで神様に会いました」


「はぁ!?コロネが?

 コロネのクエストでそんなのあったっけ!?」


 そんな話一度も聞いたことないんですけど。


「ありますよ。レベル200で受けられる10月に実装されたイベントで。

 黄昏の紋章もらうとき、光の神と女神アルテナが、頼みます、みたいな事言ってでてくるんですよ」


「黄昏の紋章?」


「はい。多分250レベルのレイド戦 「魔獣ランデリィウム討伐」用の紋章だと思うんですけどね。

 護衛NPCじゃないみたいですけど、イベントNPCではでてくる予定みたいでしたよコロネさん。

 公式で、『安心してください!あまりにも前回の護衛が不評なんで今回はイベントムービーだけで出演です!』

 と、漫画でネタにされていたくらいですし」


 何その漫画。見てみたかったかも。

 まぁ、コロネ結構ネタキャラ扱いだったよね。公式で。

 即死のコロネって別名も公式でネタにされてたし。



「ってか、10月の頭に公式で発表されてましたよね?

 見なかったんですか?」


「自分こっちの世界に召喚されたの9月の頭だったから」


「へー。来た時期はほとんど一緒だったのに、呼ばれた時期は結構違うんですね。

 自分は12月のクリスマス前っすよ?マジムカツク」


 あー。これはこのあとクリスマスからの彼女自慢の展開ですね。わかります。

 彼氏いなかった寂しい独り身女にはきっつい展開です。勘弁してください。


「お互い大変だったな。それにしてもまだ魔獣いるのかぁ……」


 と、とりあえず話を逸らしてみる。

 私のつぶやきにsionがそのまま話をつなげた。


「コロネさんに貸した本に載ってますけど全部で魔獣は5体っす。

 魔獣は元々は異界の神だったらしいですけど。

 こちらの神々に滅ぼされて残った身体の一部が魔獣と化したみたいな設定ですよ。確か。

 

 髪の毛が魔獣セギュウム

 目玉が魔獣ランデリィウム

 心臓が魔獣セファロウス

 胃袋が魔獣ガンザウス

 口が魔獣レンゼディウム」


「ってかsion詳しいな!?」


 なんだかこの話コロネ達にすれば謎が一気に解明されそうな勢いなんですけど。


「自分はまったりストーリー楽しむ派ですからねー。

 どのゲームでも神々の設定とか、掲示板の考察スレに入り浸るくらい好きですよ」


 うっ。やべぇ。思わぬ伏兵。

 こんなに詳しいなら一緒に連れていったほうがいいのかもしれない。

 

「しかし神々に会ってたとか、コロネがその話聞いたら泣いて喜びそうな話だな」


「え、コロネさん覚えていないんですか?」


「うん。NPC時代の記憶はうろ覚えらしい。

 あ、そうだ。その時のイベントの記憶、あとでちょっと見せてもらってもいいか?」


「あー。みたいなら動画ありますよ。

 ゲーム機に落としてありますけど。今観ます?」


「え、ゲーム機持ち歩けたのか?」


「ほら、ガイアってボス部屋待ち時間長いじゃないですか。

 一応アテナよりボス部屋数増やしてはいるらしいけど、やっぱり待ちが多くて、家からゲーム機持ち運びOKだったんですよ」


「へー知らなかった。見たい見たい」


「じゃあ待ってくださいねー」


 言ってsionはアイテムボックスからゲーム機を取り出すのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ