表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

92/117

79話 ネトゲゲーマーのsaga

「……で、何の用だったんだアルファー?」


 ロープに縛られた状態でちょこんと座っているアルファーに私は問う。


「はい……その、大体魔物を倒し終わったので、コロネ様に魔素濃度を測る器具を借りようかと……

 まさかお取り込み中とは知らず申し訳ありませんでした」


 と、今にも土下座しそうなアルファーに


「だーーかーーら違うと言ってるだろう!!

 背中の紋章を見てただけだ!!」


 私が怒鳴る。うん。いくら魂が女だっていまの肉体は男なんだからそれこそホモになってしまうわ!


「あ、ああ!!そうでした!そうですよね!

 背中に文様ができたのでしたね!

 勘違いしてました。申し訳ありません!!」


 アルファーがほっとしたような顔をして、謝る。


「猫様、私も猫様が女性ということを失念していました。

 勘違いされるような事になって申し訳ありません」


 と、シュンとするコロネ。

 

 うん、だからどうして全部自分が悪いって方向にもってくのかなこいつは。

 てか、男として扱われているというのは若干傷つくものがある。


 ……自分でもコロネにどこか行って欲しくないという気持ちが、恋なのか……仲間としてなのかよくわからない。

 でもやっぱり、近いうちあの女性の事も、イベントで見た事も話さないとなぁ……。

 私の考えなど知る由もないコロネが


「それにしても、何故窓から?」


 と、アルファーに問う。


「はい。城内はどうも……女性に話しかけられる事が多くて……苦手です」


 と、困った表情をする。

 ああ、確かに美形だもんね。アルファーは。

 リュートとはまた違ったタイプの美形だし。

 そりゃ世の奥様方が放っておかないだろう。


「……わかりました。ではそろそろここから出る事も考えましょう」


「え?統治しなくていいのか?」


「……私は初動で失敗してしまいました。

 王族達に目の敵にされているようですので。

 これ以上留まるよりはマルク達に任せた方が賢明でしょう」


 と、肩をすくめる。


「うん?それちょっとムカツクな。

 ここがプレイヤーから解放されたのってコロネのおかげじゃんか。

 それなのにそんなにブツクサ文句言ってくるのか?

 そんなのに王位任せて平気なのか?」


「解放されたのは私のおかげではなく、猫様あってこそです。

 それに彼らが目の敵にするのも気持ちはわかりますから。

 プレイヤーに辛辣な目にあわされた彼らが、プレイヤーと懇意にしてる私に警戒心をもつのも致し方ありません。

 それに王位を継ぐヴォルフ王子は優秀です。マルクもいることですし。うまくやってくれるでしょう


 ……それに」

 

「それに?」


「私は女神をかなり甘く見てしまったようです。

 レベル800の私に遅れをとるようなレベルなら、こちらがダンジョンなどに入らなければ手を出してくることもないと思っていましたが。

 あのような魔獣を復活させる力があるのなら、真剣に女神の情報を集めるべきかもしれません。

 レオン達にあのような切り札を与えていたのなら、他のプレイヤーにも同じく切り札を渡していると考えた方がいいでしょう。


 守護天使のアルファーが倒されたという情報を流してみましたが、プレイヤーが誰一人降伏してきません。

 これは何か切り札があると考えた方がいいでしょう」


 と、コロネ。


 まぁ、その可能性もなきにしもあらずだが、日本人特有の「私は大丈夫!」という無根拠な自信からくるものかもしれないけど。


「にしても、やっぱりアルファーってそんなに一目置かれてるんだ?」


 と、今だロープに縛られたままのアルファーに視線を向ける。

 そういえば解いてあげないと。


「ええ、一人で同レベルのプレイヤーが召喚したドラゴン三匹相手を倒すほどですから。

 先程の魔獣との戦いでもお分かりいただけると思いますが、他の守護天使より抜きん出ています」


 うん。レイスリーネが一撃死した攻撃もなんなくかわしてたしね。

 レベル補正すらなければ魔獣ともいい勝負していただろう。

 レイスリーネの名誉のために言っておくが決してレイスリーネが弱いわけではなく、アルファーが強すぎるんだろう。


 当のアルファーは褒められて何とも言えない表情をしているが、縄にぐるぐる巻にされて最強✩とか言われてもいまいち説得力がない。


「……それにしても困りましたね。

 まさか魔獣を倒してレベルが上がってしまうとは」


 と、考えながらコロネがため息をつく。


「え?上がるとまずいのか?いいことじゃん」


「いままで魔王が手出ししてこなかったのは、私たちが本当の意味での脅威にはならないと思っていたからかと。

 魔王を倒せるレベルにまで猫様がなってしまっているのなら……魔王がこちらに手出ししてくる可能性も」


「ああ、そうか。魔王はレベル1000超くらいしかわからないのか」


「人間領よりもまず自分たちの身の安全を考えた方がいいのかもしれませんね」


「と、いうことはあれか!?

 レベル1100の武器&防具堀がまず最優先ということか!?」


 私がガッツポーズを決めていうと


「……どうしてそうなるのでしょう?」


 コロネにジト目で睨まれる。

 だが、ここで引いてしまっては男がすたる!


「いや、だってロマンだろ!

 レベルが上がったらそのレベルの最強装備をしたいというのはネトゲゲーマーのSagaだ!!

 というか、魔獣相手にも火力不足だったし!

 やっぱり装備は強化するべき!!

 対魔王に備えなければ!!


 ……それにコロネもアルファーも忘れてないよな

 勝手にコロネが核と硬質化しようとしたこと」


 私が二人をジト目で見やれば、二人ともギクリとした表情になる。

 うん。なんだか勝手に有耶無耶になってしまったが、私ははっきりきっぱり覚えている。

 まだ御仕置きだってしてないはずだ。


「そ、その件につきましては大変申し訳なく……」


「申し訳なく思っているなら、武器堀に付き合ってもらおうかなー?

 何か文句あるか二人とも?」


 私がコロネとアルファーを交互で睨めば

「あ、ありません……」


 と、二人とも小さくなるのだった。

 うん。わかればいいのだよ。わかれば。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ