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1話 VS古代龍


 私橘楓(たちばなかえで) 26歳。独身女性。

 3年前、宝くじが6億当たり、脱サラして世界初のVRMMO『グラニクルオンライン』をプレイし始めた。

 サービス開始から1年経ってはいたが、ニートだったため、今では立派に上位に食い込むほどのガチ廃人だったりする。

 そして今日も、何時ものごとく、コンビニで買った朝食を食べ終え、ゲームにログインした……はずだった。


 前回は一番賑わっている帝都にあるグランドアの宿でログアウトしたので、本来ならその宿屋でスタートするはずなのだが……


 何故か、私は山肌剥き出しの山頂のような場所にいた。

 目の前には『なんだこいつ?』と、いうような目で私の事を見下ろしている真っ黒い巨大なドラゴン。

 そしてそのドラゴンの後ろには血だらけで死んでいるのか、生きているのかも判別しかねる白いドラゴンが横たわっていた。


 うん。わけわからん。

 冷静になろうと懸命に考えるも、状況がさっぱりわからない。

 自分の身体を見れば、いつもの見慣れたゲーム内の黒服なのでゲームの中には間違いない。

 身体もごつい。

 ちゃんと私のプレイするイケメン男性のキャラクター『猫まっしぐら』だ。


 では、何故見慣れぬこんな所にログインしたのか?

 運営の手違いでどこかわからない場所に飛ばされたとか?


 そう思った瞬間。

 唐突に、それは思考のなかに潜りこんできた。

 変な表現かもしれないが、そうとしか言いようがない。

 話しかけてきたのではなく、いきなり頭のなかに白いドラゴンの思考が流れ込んできたのだ。

 その白いドラゴンの説明?によると。


 古代龍(黒いドラゴン)に襲われてピンチになったので、身を守るために命懸けで神龍を召喚したら、何故か私が召喚された。

 巻き込んじゃってごめんね、テヘペロ。


 要約するとこんな感じ。

 ちなみにここは現実で、ゲームの中じゃないので、死んだらそのまま死んでしまうらしい。


 なるほど!事情は分かった。

 よかった。事情がわかって。

 なーんだ、間違えちゃったなら仕方ないよね。






 ……ってんなわけあるかぁぁぁぁぁぁ!?




 私の絶叫をよそに、古代龍は『なんだよビビらせやがって』みたいな顔をしたあと、虫けらを潰すかのように、私を踏みつぶそうと前足を振り上げた。


 ヒュン!!


 前足を振り上げた風圧だけでよろけそうになる。

 そして何より攻撃速っ!?



 瞬時に目視できる場所までなら任意の場所にテレポートできる【瞬間移動】を行使してなんとか攻撃を避け、めいっぱい古代龍との間合いをとった。


 古代龍が『…ほうっ』と言わんばかりに目を細めて警戒の色を濃くしたが、こちらはそれどころじゃない。

 前にも説明したが、これでも私はプレイヤーのなかで上位レベルに入るガチ廃人である。

 レベルはカンストしていて最高レベルの200。職業もレア上級職業の『トラップマスター』と『死神』

 装備はレアドロップ運の良さと、廃人ばりのIN率のおかげで最高レベルのガッチガッチのレア装備だ。


 その私が目視もできず、ただ危険察知能力だけで本能的に攻撃を避ける事しかできなかった。

 スキル【瞬間移動】がなければ、前足の攻撃だけで即死だったろう。

 私は警戒しつつ、【鑑定】スキルを使って相手のステータスを確認する。



 【古代龍エンシェントドラゴン:カエサル】

 【レベル:1200】

 【他ステータス判別不能】



 ……。


 ………。



 ……ちょ!?

 レベル1200って何じゃぁぁぁぁぁ!?

 え、だっておかしいでしょ!?

 今のゲーム仕様だとレベル200までしか上がらないのに1200レベルのモンスターが出てくるとかふざけてんの!?

 ゲームバランス崩壊しまくってるでしょ!?どんなクソゲーだよ!?

 ってゲームじゃないんでした、そうでした。

 ってそんな話どうでもいいわ!!

 どう考えても死ぬしかないムリゲー!

 レベル差100あるだけでレベル補正でダメージ通らないのに、1000も上とか何の冗談!??

 そう思った瞬間。


 ゾクリ。

 悪寒を感じて私はまた【瞬間移動】を行使した。


 ドコォォォン!!


 私がいた場所はドラゴンの放ったブレスが直撃し、けたたましい爆音をたてクレーターを作り出す。

 モウモウと砂煙が舞う中、私と古代龍は遠いような近いような微妙な距離で対峙していた。




 マジでやばい。

 つぅっと首筋に冷や汗がつたうのが自分でもわかった。

 文句を言うのはいつでもできる。

 とりあえず、今は戦闘に集中しなければ即死だ。


 逃げるという選択肢も頭に浮かんだが、けれどそれはすぐ却下した。

 本能的なものが『逃げ切れない』そう告げている。

 これでも昔からカンだけはいいのだ。

 このカンの良さがなければ、たぶん最初の蹴りで即死だったはずである。

 私は自分のカンの良さを信じ、戦う決意をすると古代龍を睨みつけつつ、作戦を組み立てる。



 とりあず、アイテムボックスから、先日レイドボスから入手したばかりの超レアアイテムの【闇の女神の涙】を取り出した。

 ゲームと同じく、アイテムを連想しただけで、片手にすっぽりと入るくらいの黒い水晶玉【闇の女神の涙】は手の中に現れた。



 出てこなかったらどうしようと、心配したが、どうやら、ここはゲームと同じらしい。

 私は改めて、このアイテムの説明を確認した。




□□□□□□□□


 【闇の女神の涙】使用回数2回 レア度:✩5

 女神アルテナが人間達の欲望に失意して闇に堕ちる前に流した涙が水晶化したと言われるアイテム。

 攻撃したい相手の身体の一部をささげ、永久の魔方陣と共に仕様すると、敵の90%のHPを奪いさり、一定時間回復不可能状態にする。


□□□□□□□□


 ……手に入れたときは正直、回数制限のあるものは、もったいなからと使えない私にとってはタンスの肥やしになるゴミアイテムかと思ったが……。


 まかり間違っても最高レア度の✩5アイテムである。

 レベル補正も関係なく相手のHP90%奪ってくれる神アイテムだ。

 使うなら今しかない。

 ってかこれ使わないと死ぬ。

 問題は、敵の『身体の一部』が必要な事だ。

 これが毛ふっさふっさの敵なら毛を一本拝借すれば済む話だが、ウロコで完全武装の龍となると難易度がぐっと上がる。


 私は作戦を考えると、すぐさま行動を開始した。

 何より相手と自分とのステータス差がありすぎる。

 スタミナもMPも段違いであちらが上なのだ。

 長期戦になれば間違いなく先にスタミナが切れこちらが敗北。

 なら、短期決戦しかない。


土霊振壁(ガルズ・ウォール)!!』

 私は両手を地面につけると瞬時に魔法を展開させた。

 ぼこぉっと轟音を立てて、地面が盛り上がり殺風景で見晴らしのよかった、景色は一変し、尖った山々が古代龍と私との視界を塞ぐ。


 しかし古代龍はふふんっといった感じで、軽く息を吸い込むと


 コォォォォォォ!!


 咆哮をあげ、一瞬で私の作り出した土壁を消し飛ばした。


 が、それも計算のうち。単なる詠唱時間の時間稼ぎだ。

 咆哮をあげてる古代龍には私の声は届かないはず。

 私は、【瞬間移動】で古代龍の背中に乗ると魔法を展開し


魔冥槍(ナルズ・スピア)!!』


 背中に向けて解き放つ


 ドコォォォォン!!


 私の使える魔法の中で最強威力の魔法を超至近距離からぶち込んだ。



 ものすごい衝撃音と爆風が鳴り響く。

 「やったか!?」

 という、言っちゃいけないセリフを言いそうになるが、そこはぐっと飲みんだ……のだが。


 ダメージ0。

 無情な数値が表示される。

 魔法が直撃部分を見やれば、つやつやとした鱗があるだけで、ダメージのダの字もない。

 え、私のもてる最強魔法がダメージ0?

 ちょ、さすがレベル補正は恐ろしいわ。ムリゲーすぎ。



 ってかゲームと同じでダメージ表示されるのかよ。

 リアルでダメージ表示とかおかしいでしょ。

 思った瞬間。


 どぐわしっ!!


 ありえない音を立てて、私の身体は吹っ飛んだ。

 例えるなら会心の一撃?

 ドラゴンの尾がまるでハエを振り払うかのように私に直撃したのである。


 ずがががががが。


 物凄い音をたてて、私の身体は数百メートル先の岩山までふっとび、めり込んだ。




 がらがらがら




 岩山が衝撃に耐え切れず、崩れさり、私の身体は無情にも岩のガレキで埋まってしまう。

 あたりにもうもうと煙が立ちこめ、その煙が収まるが……



 シーーーン




 数分の静寂。

 先ほどまでみなぎっていたドラゴンの殺気がみるみる萎れていく。

 岩の中からは生体反応らしきものはなく、ただただ、壊れた岩山が広がるばかり。

 何の反応も示さない岩山に興味をなくしたのか、ズシンズシンと古代龍の気配が離れていくのがわかった。






 うん、どうやら私を死んだものとして見てくれたらしい。



 まぁ、普通、レベル200の雑魚がレベル1200の一撃なんて喰らえば即死だしね。

 そう判断するのも仕方ない。


 身体を咄嗟にほぼすべての攻撃を無効化できる【硬質化】してなければ即死だったはず。

 スキルで【硬質化】してる間は無機物判定なので、もちろん生体反応もなくなる。

 どうやら古代龍は私の目論見通り、私が死んだと思ってくれたっぽい。


 これは、あれだね。

 悪い顔して「計算通り!」って決め顔する場面だよね。

 硬質化した私の手の中にある糸にはきっちりと、ドラゴンの鱗の欠片が巻きついていた。


 そう、どうせダメージ0だろうと思っていたが、魔法を打ち込んだのは、ドラゴンの鱗に糸を巻きつけたのを気づかないようにするためのフェイク。

 『魔冥槍(ナルズ・スピア)』をぶちこんだ後、10秒だけ時間をスローにする『鈍間』の魔法を使い、『トラップマスター』の武器である糸を鱗にぎちぎちに巻きつけたのだ。

 そして糸ごと【硬質化】し、ドラゴンの尻尾で叩き飛ばされる。そうすれば、そのドラゴンの尻尾による攻撃の衝撃の力で鱗をめくりとれるという作戦。

 わざと尻尾で払いのけやすい位置で魔法をぶっぱなしたのもその為だ。


 ……まぁ、蚊を潰すがごとく尻尾でぺちっと潰される可能性もあったわけだが。

 それはそれで【硬質化】した自分がウロコにぶっ刺さって、ウロコが割れて破片くらい手に入るかな、なんて計算もあった。

 うん、だってレベル200じゃレベル1200のドラゴンのウロコを傷つけるとかも、無理ゲーだし。

 ドラゴン様サマの力を借りるしかなかったわけで、

 しかしレベル1200は鱗ですら伊達じゃないらしく、ウロコの一部で小さい欠片が糸に絡まってはいたが、ウロコ一枚とれた訳ではないらしい。

 ドラゴンにしてみれば鱗の一部がちょっとかけただけなので痛くも痒くもないはずだ。


 しかし【闇の女神の涙】に必要なものは身体のごく一部でいいので、これで問題ないはず。

 ゲームのプレイ動画で使ってる所見てた時も小さい破片で作動したし。



 ……うん。たぶん。




 んー。

 でも、このままドラゴンが去ってくれれば、逃げれるよね?私。

 【硬質化】したまま、しばらく我慢してれば逃げるチャンスくらいあるはずだし。

 わざわざ倒す必要なくね?

 ってか【闇の女神の涙】で90%ダメージ与えても、残り10%HPが残ってるわけで……。

 たぶん10%のHPでも、レベル200の雑魚の私より高いはず。

 一応倒す目処はあるけど倒せるか五分五分くらいだよなぁ。


 でも、やっぱりなぁ……。


 脳裏に倒れていたホワイトドラゴンの姿が浮かぶ。

 このままバックレてれば確実にホワイトドラゴンは殺されちゃうよね。

 倒せる可能性があるのに、見殺しはそれはやっぱり、後味が悪い。

 最初にホワイトドラゴンの感情が入り込んできたせいか、妙に親近感もあるし。


 ……。

 ………。


 うん。決めた。

 男は黙って、女は守るべしっ!!!

 外見はイケメンなのだ。

 イケメンに恥じない行動をとらなければ!!

 中身女だけど!!


 そうと決まれば


 どこぉぉン!!


 【硬質化】を解除し、魔法で付近の岩を吹き飛ばす。

 古代龍には気づかれただろうが、気にしない。

 自分に注目を集めないと、ホワイトドラゴンがやられちゃうし。

 案の条、古代龍の視線がこちらにむいた。

 でも遅い。

 すでに【闇の女神の涙】にドラゴンの鱗は捧げてある。


土霊振壁(ガルズ・ウォール)!!』


 地面に手をつき、私は土魔法で古代龍をも飲み込んだ大型の魔方陣を描きあげた。

 そしてその魔方陣に今度は氷魔法で土が崩れないようにコーティングする。


 そう、これが私がVRゲームで上位プレイヤーだった所以。

 魔法で魔方陣をかきあげるほど繊細な技術をもちあわせたプレイヤーはそうそういないのだ。

 それゆえ、詠唱だけの魔法と違って、魔方陣をかかないと使えない『罠』はあまり……というか全然人気がなかった。

 まぁ、ただでさえ、人気がない『リアル式戦闘モード』のサーバー『アテナ』でしか罠が使えなかったというのもあるけれど。

 因みに、人気があったのが『ターン式戦闘モード』のサーバー『ガイア』なのだが、ここで二つのサーバーの説明すると長くなるので今回は割愛。


 魔方陣を描き、その上に敵が乗らないと効果のないアイテム【闇の女神の涙】は回数制限もあいまって、ゴミレアアイテムと呼ばれたのだが……


 こんな所でゲームプレイ中必死に身に付けた技術が役にたつなんて、世の中わからないものである。


 そして、魔方陣の中に古代龍が入った瞬間。

 【闇の女神の涙】である水晶が眩い光を放ち、魔方陣の上に黒い巨大なボールが現れる。

 その巨大な物体から禍々しい黒い霧がたちこめ……


 それは現れた。


 黒い漆黒の鎧を着込んだ、漆黒の髪の美女。

 人間に裏切られ、闇落ちしたという元光の女神。

 闇の女神アルテナだ。


 古代龍はまるで金縛りにあったかのように動けないまま、突如空に現れた女神に魅入っている。


 そして、女神は口を開いた。


『その命、捧げよ』


 刹那。


 古代龍を大きな黒い槍のようなものが貫いた。


「ぐおぉぉぉぉぉぉ!?」


 古代龍の絶叫のようなものが辺に響く。


 うん、動画で見たことあったとはいえ、やっぱりすごいわ。

 そしてエグイ。

 つかアルテナちゃんマジ天使。

 闇落ちしても優しいという謎ステータスの美人だし。


 そんな事を考えながら、悶え苦しむ古代龍を横目に、私はホワイトドラゴンの前に陣取る。

 ホワイトドラゴンの瞳にまだ光は灯ってはいるが、もう今にも息絶えそうな瀕死状態だ。


 はやくポーションを使ってあげないと。


 いまポーションをあげるという手もあるが、【闇の女神の涙】のアニメーションは30秒ほど。

 その時間では移動と次の作戦の準備で手一杯で、そこまでしてあげる余裕はない。


 そして、思った通り、怒り心頭の表情で古代龍がこちらを睨む。

 口や鼻など至るところから光が漏れる。

 身体全体が淡白く発光しだした。


 このモーションの時の攻撃は大体決まっている。

 やっぱりくるか。

 ドラゴンの大技『破滅のブレス』


 思った通りの行動に私は身構えた。

 ドラゴン系はHPが85%以上減ると、大技の全体攻撃ブレスをしてくるパターンが多い。

 古代龍といえども、そのパターンはどうやら同じようだ。


 カバァと口を大きく開いた瞬間


 光が全てを飲み込んだ。

 広範囲攻撃『破滅のブレス』


 命がかかった土壇場で出す大技だけあって、その威力は全体攻撃なのに絶大だ。

 レベル1200が放つブレスである、レベル200の私が食らえばひとたまりもない。


 ただし、――食らえばである。


 そう、即死の攻撃など、わかっているなら食らわなければいいだけの話。

 すでに対策はしてある。


 アイテム【冥王ナースの大鏡】


 レベル補正関係なく、全ての攻撃を跳ね返すレア星5アイテムである。

 もちろんこれも使える回数が決まってるため、勿体なくて使えないタンスの肥やしアイテムだ。


 大鏡は私と後ろのホワイトドラゴンを守るように現れ、ドラゴンのブレスを跳ねす。


 跳ね返ったブレスはそのまま迷うことなく古代龍を貫いた!


「ギガァァァァ!!!」


 自分の絶大なブレス攻撃を浴び、古代龍が断末魔にも似た悲鳴をあげた。


 うん。痛そう。

 燃え上がり、ぷすぷすと音をたて、ウロコの隙間から煙がたちあがっている。

 さすがに自慢のウロコも、自分の最大攻撃までは防げなかったようだ。

 まぁ鱗はノーダメっぽいので、中身蒸し焼きにされた感じかもしれない。


 ズドォォォォン


 大きな音をたて、古代龍は倒れ──息絶えた。

 鑑定でステータスを確認すれば、表示はちゃんと死体扱いとなっている。


 うん。倒した。

 ちゃんと残り10%のHPを削ってくれたらしい。




 ……


 ………




 …………


 うっはぁぁぁぁ

 やばかったぁぁぁぁぁぁ!!!



 いや、もういきなりの展開すぎて、流されるまま戦ったけど、今になって恐怖がきたよ。

 よく勝ったよ自分。つーか、よく1000もレベル上の格上に挑んだな。

 ゲームのアイテム使えなかったらマジ即死もんだった。


 心の中で自分を褒めていると


≪古代龍カエサルを倒しました、経験値を獲得しました≫


 ゲームで聞きなれた、システムメッセージが流れる。

 つーか、システムメッセージまであるの?これやっぱりゲームじゃない?

 実は運営のドッキリでしたとかいうオチ?

 そもそも、レベル補正で自分のレベルのプラマイ20を超すレベルの敵は適正値ではなくなり、獲得経験値が大幅に下がる。

 レベル100も差がある時点で経験値は均一『1』しか手に入らないはず。

 レベル差が1000もあるのだから、貰える経験値は『1』確定だ。

 これだけ苦労しても経験値1とか悲しすぎるわ。


 思った瞬間


≪経験値1234000000011を手に入れました≫


 ……はい?

 ありえない経験値に思わず固まる


≪所持している経験のポータルによって経験値が二倍になります≫



 ……はいぃぃ?

 そのシステムメッセージの後、急激に身体の中に何かが入ってくる。

 システムメッセージはいまだ、レベルが上がったなど言ってるらしいが、すでに聞いていられる状態ではなかった。


「うああああぁぁぁ!?」


 身体全身に何かが蠢くような、感覚に思わず絶叫をあげた。

 痛みとはまったく違う、よくわからない感覚。

 突如襲ってきた不快な全身を荒れ狂うような感覚に、私はそのまま意識を失ったのだった。




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