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11話 スキルポイント

「うーーーーんっ!!」


 私は背筋を伸ばした。今はコロネの別荘の客室でリリと二人きりだ。

 コロネの侍女にこの部屋に案内されたのだ。

 うん、あの変態エルフがいないと落ち着くね。


 ……てか、異世界にきて二日目にしてこのイベント量は多過ぎじゃない?


 コロネのせいで、後回しになってしまったけど、ステータスの確認もしてないし。


 何より、レベルアップによって獲得したスキルポイントをまだいじっていない!

 そう、レベルが上がると、スキルポイントがもらえる。

 レベル200のときはスキルポイントが足りなくて、我慢してたスキルが取得できるんだよね!

 レベル700もあるならスキルポイントウハウハだろうし!


 このゲームVRMMO『グラニクルオンライン』のスキル制度は


 欲しいスキルを取得するのに、まずスキルポイントが必要。


 スキルは職業専用スキルもあるので、スキルポイントがあっても取得できないものもあるけれど。

 スキルには熟練度というものがあり、100まで上げられる。

 もちろん熟練度が上がれば上がるほど、スキルの効果・威力は上がっていく。

 スキルの熟練度を上げるにはひたすらそのスキルを使用して根気強く上げるのだ。


 ただし、スキルによっては、スキル熟練度が一定値までいくと、再びスキルポイントを割り振る必要がある。


 そしてスキルポイントはレベルが上がると獲得できるのだ。


 有用なスキルは沢山あるわけで、欲しいものはいっぱいある。

 プレイヤーは慢性的にスキルポイント不足に悩まされていた。

 しかしレベル200からレベル700になったのだから、スキルポイントがどっさり手に入ったわけで。


 何に割り振ろうか気分がルンルンである。

 あーーー何に割り振ろうかなぁ。

 【瞬間移動】がやたら、必要スキルポイント高かったせいで、諦めていたスキルいっぱいあるんだよね。

 憧れの【身体強化】とか、【魔力察知】の熟練度を上げるとか。

 魔力察知はスキル79で止まってたから、これでスキルポイント使って80以上にできるようになったので、周囲にいる敵のレベルまでわかるようになるんだよね。

 リリみたいに、種族まではわからないだろうけど。

 ここらへんは確実に取得したいな。

 キケン回避できるし。

 それに、前はいつも一緒に狩りをしていたカンナちゃんが回復魔法使えたし、薬が沢山あったから必要なかったけど……。

 この世界にはカンナちゃんはいないし、薬もいつか底をつくだろうから、リリ達用に回復魔法も取得するべきか。

 職業的に、リザレクションは取得は無理だけど。

 ああ、でも、考えるだけでワクワクする!!



 ――それにしても。

 

 なんだか、自分でも驚くほど、神威の死に対する感想がない。


 あんなに憎かったのに。ああ、そうなんだ。くらいの認識なのである。

 人が死んでいるのにである。

 リアルの私だったら、目の前で人が死んだらショックで立ち直るのにかなり時間を要したはず。

 ……だよね?ひょっとして自分で思っているより、神経図太いのだろうか。

 それともゲームの世界の気分がまだ抜けていないのだろうか。

 サリーの記憶が流れてきてから、前の自分じゃないような気もしなくもない。

 うーーん。おかしい。現実逃避とか?



 私は頭をぶんぶん横に振ると考えるのをやめる。


 現実逃避でもいいじゃないか。あんな奴の事で頭悩ませたくないし。


 私はボスンとベットに横たわると、スキルポイント振りをすべく、ステータスを開いた。


 何かに没頭できるのはいいことだ。


 

『ネコ 何してるの?』


 隣に寝っ転がりステータス画面を一緒に見ながらリリが聞いてくる。


『ステータス振ってるんだよ。

 これで新しいスキルが取得できるの』


『スキル 自分で 選べるの?』


『ゲームだとね。

 リリ達は自分じゃ選べないんだ?』


『うーん。リリ レベル 上がったことないから わからない』


『え、そうなの?』


『リリ 食事は 食べる事 できる

 でも 魔素 だけでも 生きていける

 魔物 コロス 必要なかった だから 倒したこと ない』


『あー。なるほど。

 じゃあ、このスキルポイント振り終わったら

 レベル上げいってみようか?


 私も新しいスキルの熟練度あげたいし』


『ウン!!

 リリ レベル 上げてみたい!』


『OK!

 じゃあ、欲しいスキルあらかた取得するからちょっと待ってて


 ……あれ、そういえば、念話まだできるんだ?』


 散々念話で話した後、気づく。

 確かゲート閉じるとか言ってなかったっけ?


『ごめんなさい 忙しそうだった 言えなかった

 ネコ レベル リリより 上に なりすぎて

 干渉できなくなった カンペキ 閉じられない


 ただ ネコ レベル高い リリ 前ほど ココロ よめない

 ネコが リリ 伝えたい 思ったこと 伝わる くらい』


 おう、伝えたいことだけ伝わるとか理想じゃないですか。

 念話便利だし。


『了解ー。

 じゃあ、ちょっと待っててね。

 リリは 好きなことしてて』


『ウン!』


 嬉しそうに返事をすると、リリはぺったりと私にくっつくのだった。



 △▲△▲△▲△▲△▲


 ――ふぅ。

 私はスキルポイントを振り終わると満足気にステータス画面を眺めた。

 まだまだ取りたいスキルはあるが、レベル200のときに泣く泣く諦めたスキルやら

 こちらの世界では便利そうなスキルやらは大体とれた。


 顔がにやけてしまって仕方ない。

 「僕の考えた最強のキャラ(キリッ)」に近づきつつあるのだから。



 まだ多少スキルポイントは余っているが、また何か必要になった時用にとっておこう。


 私があまりにも没頭していたせいか、リリはいつの間にか隣でスヤスヤと寝息を立てている。




 に、してもこれからどうしよう?


 目的は、何故ゲームVRMMO『グラニクルオンライン』が現実世界として存在しているのかを知ること。

 そして、元の世界に帰る事。


 この二つである。



 もし、ゲームの世界が、私の想像した通り『地球のプレイヤーの命を奪って現実化した』 などという恐ろしい理由だったら知り合いだけでもすぐゲームを止めさせないといけない。

 そのためにも帰らないと。


 目的遂行のためには、いろいろ事情を知っているコロネの側にいるのは間違いではないよなぁ。

 ここから出ていった所で何をしていいのかさっぱりだし。

 なんだかいろいろ利用されてる感もあるけど。


 あ、あとギルドハウスとか、パーティープレイとかゲームのシステムはどうなんだろう?


 私はまずシステム画面をひらいて、ギルドハウスの項目を確認する。


 因みにVRMMO『グラニクルオンライン』におけるギルドハウスとは、そのギルドの城ともいうべきシステムである。

 ギルドハウスにお金やアイテムを貢ぐほど、そのギルドハウスは大きくなっていくシステムだ。


 ギルドハウスは異次元に存在している事になっていて、特定の街やダンジョンの一部から入ることができるのだが

 守護天使を配置したり、お風呂や酒場、遊技場など設置したりすることで、好きにカスタマイズできる。



 私のギルドは仲がよかったカンナというプレイヤーと二人で立ち上げたギルドで、ギルドメンバーは二人しかいなかった為それほど大きくはない。

 が、様々な街に転移できるテレポータ―などの実用的システムは充実していた。


 ギルドハウスには倉庫などあり、そこにしまい込んだアイテムもたくさんある。

 わりとレアな守護天使も3体ほどいるのだが、あの子達はどうなっているんだろうか?


 ゲームでは意志はある設定だったが、決まったセリフしか言わないため、ほぼペット状態だった。

 普通にフィールドを連れ歩く事もできたのだが、命令したら攻撃するくらいしか能がなかったのだ。

 しかも攻撃が単調なのですぐ死ぬ。なので、実用性は皆無だし。

 ただ、ギルドハウスに戻った時にカッコイイ守護天使がいるか、いないかという見栄えだけの問題。

 ほぼオブジェだったが、コロネのように意思があるとしたら会話可能で戦えるかもしれない。

 守護天使はマスターのレベルと同等になるので、もしギルドハウスに戻れればレベル753の味方を3人も付けれる事になる。

 これは行ってみる価値はあるだろう。


 システム画面には、この世界に転移する前と変わらぬギルドハウス情報が表示されていた。

 ギルドハウスレベルは最高レベルの5

 守護天使も3体

 そのほか細々した情報がでているが、転移する前と変わらない。

 私が居なくなってもカンナちゃんが育てたかな?という期待はあったが、どうやらギルドハウスはいじってないらしい。

 とりあえず、コロネが帰ってきたら、ギルドハウスに移転できる次元の狭間の扉がまだ存在するのか聞いてみないと。


 ゲームでは扉があるのは人間の国の都市だけなんだよね。


 あと一つ、気になるのはパーティーシステム。

 戦闘中、基本パーティーを組めるのは8人まで。

 レイド戦だと少々違ってくるが、説明すると長くなるので割愛。

 パーティーを組んでいれば、経験値は等分できるし、回復魔法も離れててもカバーできる。

 何よりパーティーを組んでいる相手には味方の攻撃は効かない。

 広範囲の攻撃魔法に巻き込んでも、ダメージ0なのである。

 乱戦になった場合、これはデカイ。

 これはきちんと組めるか、確認しておく必要があるだろう。

 そして、ちゃんとダメージ0になるかも確認しておく必要がある。

 

 ダメージ0だよね!と広範囲技をぶっぱなした結果、味方が全滅してたとか洒落にならない。


 びみょーにゲームとこの世界違う所あるし。


 私の可愛いリリに攻撃するのはまず無理なので、早速コロネで試したい所だが、肝心のコロネはまだ帰ってこないっぽい。


 まぁ、エルフの国に説明にいく(キリッ)とか言ってたから、3、4日くらいはかかるのかな?

 てか、エルフの国ってどこらへんなんだろう?ゲーム中ではまだ出てこなかった。


 そんな考え事をしていると


 ――コンコン


 戸をノックするとともに


「猫様っ!リリ様!

 お食事の用意ができました!」


 こちらの返事などお構いなしに、開いた扉から、いつもの変態エルフが顔をだすのだった。

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