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95話 巻き添え

 ハァハァ


 肩で息をしながら、私は呼吸を整える。


 ああ、もうマジ辛かった。

 なんだよあの変な感じ、もうマジで二度と味わいたくない感覚だし。


「ね、こ…さま?」


 コロネがおそるおそる私の名前を呼んできた。

 正気に戻ったのか確認しているのだろう。


「うん。もう大丈夫。たぶん振り払った」


 言って私は大きく息を吐いた。

 そしてがばぁっとコロネの首根っこつかんで顔を近づけると


「言ったでしょ?コロネは私が守るって。

 絶対死なせないから――覚悟してよね」


 とドヤ顔で微笑んでみせる。


「は、はい……!!」


 私の言葉に、コロネは嬉しそうに微笑むのだった。


 ▲△▲△▲△



 正直、コロネが精神世界に来てくれなかったらかなりやばかったと自分でも思う。

 すっごい嬉しかったし、来てくれてよかったと思う。

 それでも


「にしても、なんで精神世界に来るとか危険な事しちゃうかな」


 私がジト目でコロネを睨めば、


「猫様が以前私のためにしてくださった事ですから」


 と、ニコニコ顔で答える。


「私はいいの!私は!!

 コロネがするのはNG!」


「えええ!?それは酷いです猫様!?」


「コロネの場合、すぐ身代わりとかになりそうだから絶対ダメ!!」


「う、それはその……」


 流石になんども身代わりになろうとしたせいか、反論できないようだ。

 まるで叱られた子犬のようにシュンとしてしまったコロネにちょっと罪悪感をおぼえ


「あ、いや、そこはまぁすっごい助かったし、来てくれて嬉しかったけど。

 う、ん。そこは、ちゃんとお礼言うべきだとおもうし…あ、ありがとう。

 でもやっぱりコロネには危険な事はしてほしくないっていうか……」


「猫様ためなら!!このコロネ・ファンバード命など惜しくも……」


 立ち上がって大仰にポーズを取ろうとするコロネ。


「だーからーそういうところがダメだって言ってるの!?」

 

 変態になりかけたコロネの襟元をつかみわしゃわしゃしてやると、途端

 

 ぽわぁぁぁぁっと背後から何故か光とあたたかさを感じて、私が振り返ると――神の力?だろうか。

 白い塊がそのまま光――ぽぉぉっとコロネの背中に吸収されていく。


 ああ、そうか。神様の力だからコロネに吸収されたのか。

 

「どうやら、吸収できたようですね」


 コロネが言う。

 えーー。一度も使うことなく神様タイム終了とかちょっと寂しい。

 けどまぁ、しょうがないか。


「にしても、背中光ってないね?」


 私がコロネのマントごしに背中を見て言えば


「神々に注ぐにはまだ足りないということでしょう。

 もう少し補充する必要がありますね」


「うーん。私の神様力ってやっぱり低いのかちょっとショック」


「しかし魔王に圧勝していましたから、弱いというわけではないと思いますが」


「あー、あれは魔王がそのまえにマゼウス戦で力をつかちゃってたせいだし」


「……ふむ、なるほど。

 しかしレベル制の戦いで力を使ったため、弱くなるというのは聞いた事がありませんが……。

 魔王にはシステムが適応されていないのでしょうか?


 ……!?そうでした!?考え込んでいる場合ではありません!!

 すぐにリリ様達の所にもどらないと!?」


 と、コロネ。

 ああそうか!?まだ魔王が外にいるのだからリリ達を助けにいかないと!?


 ……でも、どうやって?


 そんな私の迷いを知ってか知らずかコロネは私を抱き上げ、そのままワープするのだった。

 


 ▲△▲△▲△


「ああ……戻ったか」


 私を見るなり、魔王は口から血を流しながらそう言った。

 もうその体に力はなく、かろうじて生きているといった状態だ。


 私はあのあと、コロネと一緒に精神世界から戻り、現実世界に戻ってみれば瀕死の魔王とその横で構えるリリとsionのポーションで回復したアルファーとレイスリーネの姿があった。

 いつの間にかsionも硬質化を解いている。


 私は瀕死の魔王の所に行き


「ここまでお前の計算通りだったかけか?」


 私が問えば、魔王は力なく笑い


「……まさか。大神の力に異界の神が自分の憎悪を混ぜておくなど予想外だった。

 もしかしたら、お前が貪欲に力を取り込んだのは、あの憎悪のせいだったのかもしれぬな」


 言って満足気に目を細める。


 ……うん。

 なぜだか知らないが、私の中で大神の力が一度目覚めたせいか……。

 もしくは魔王が自分が死んだ後のために私に記憶をすり込んだかだかしらないが私はこの世界の生い立ちを知っているようだ。

 なぜかすらすらと頭の中にはいってきた。

 もともと、この世界は、審判の御子に滅ぼされそうになった世界を、寸前でコロネが審判の御子と魔王を飲み込んで再構築した世界だ。

 その時、知の神レジーナの助言で時代を巻き戻しゲーム化した。

 

 私たちと一緒にいるコロネも決してレプリカなんかじゃない。

 テオドールと同じで、魂が二分した状態なのだ。


 審判の御子と魔王に意識を乗っ取られないように、保険として魂を別々にし、深層部分においてはまだ魂は結びついている。


 つまり、性格は全然違うが根底は一緒なわけで。


「アルファー、魔王の回復を頼む」


「なっ!?」


 アルファーと魔王の声が同時にはもった。


「な、何を考えているのです!?

 相手は魔王ですよ!?」

 

 と、アルファー。


「私が死ねば、神々が蘇るのだぞ!?」


 血を吐きながら魔王が立ち上がろうとする。


「あーーもう!!

 お前も結局は根底はコロネなんだよ!

 なんでそうやってすぐ自己犠牲に走るかな!?

 こっちのコロネも魔王コロネも!!

 このマゾ!!変態!!

 このW自己犠牲厨が!!」


 私が怒鳴れば


「なんだか巻き添えでコロネ怒られてる」


 と、後ろでは小声でリリがコロネにつぶやいている。

 コロネは所在無さげに視線をさまよわせただけだった。


「神の力なら、もうコロネの背中の紋章に私の分はもっていかれたからな?

 あとはクリファか魔獣あたりの神の力を注ぎ込めば、コロネの紋章も光るはず。

 神の力を誰ももってない状態は世界的にはやばいんだろ?

 だから、もし神々が復活できなかったための保険にお前は私の神の力を解放して、私を神化しようとした。

 違うか?」


 私の問いに魔王は口ごもる。

 つまるところ、図星だったのだろう。


 魔王が死んで、神々に神力を与えたあと、もし、神々が復活できなかった場合。

 この世界を維持する神が居なくなってしまう。

 だから保険として私を神様にしようとしたのだ。

 ああ、まったく、コロネの分身らしい考えである。


 魔王は大きくため息をつき


「……まさか、神の力だけ抜き出すなどという事が可能なのか?」


 後半部分にはまったくふれず前半部分にだけ問う。私はコクりと頷いて


「精神世界に来たコロネが直接もっていった」


 私の言葉に魔王はああ、という表情をして、


「なるほど。その手があったか……」


 そう呟くと、魔王はそのまま意識を失うのだった。

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