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92話 異界の神の襲撃

「何かが来ます!

 いままでより強い神かもしれません!!」


 ファルティナが構えようとしたその瞬間。


 ザシュ!!


「――遅い」


 その一言とともに。

 ファルティナの身体がまっぷたつに割れた。


「なっ!!」


 驚きの表情で振り向くファルティナ。

 そこにはいかにもギリシャ神話風な神様の格好をした、ヒゲを蓄えた白髪イケメンジジィ。


 ――だが、驚いている場合じゃない。



 リリとアルファーが白髪ジジィに切りかかり、私がファルティナを石化させる。

 sionもすぐさま硬質化しコロネも魔道具で姿を隠した。


 何かあった場合、どうするか事前に話は決めてある。


「ほう、なかなかの連携だ」


 言って軽くアルファーの剣をいなすとリリの攻撃も軽く身を(ひるがえ)して(かわ)した。


 ――うん、アルファーの剣をいなすとかマジこいつ強いわ。

 マジで戦ったらヤバイ敵だ。


 鑑定してみれば


 □□□□


[種族]異界の神


[名前]マゼウス

[職業]大神

[レベル]1300


 □□□□



 と、でる。

 なるほど、とうとう大神のご来襲か!

 てかやっぱり大神というだけあって強いなマジで。


 でもレベル的には絶望的数値ではない。

 ただ、いままでの敵と違い、とてつもなく身体能力が高いってだけで。

 アルファーだってレベル1287なので決して、レベル的には劣っていない。

 なのにリリと襲いかかった攻撃を軽く躱されたのだ。


 ガチでやりあったら、私でも無理だろう。


『天紅蓮炎瀑龍』


 遥か高みの上空から、マゼウスにレイスリーネの大技が降り注いだ。

 神殿一体を飲み込むほどの大技が。


「仲間を巻き込む事もいとわぬということか!?」


 大神が驚きの声をあげる。

 どうやら彼は知らないらしい。

 私達は味方の攻撃受けてもダメージ0ということを。


 大神がバリアをはろうと構えたその瞬間。


『増魔援射!!』


 詠唱を終えたコロネも呪文を解き放った!


 味方の魔法や技をさらに増幅させるというわりとチート魔法。

 神龍で手に入れた呪文書の魔法だ。


聖神降(マルズ・キアラ)臨盾(・シールド)!!』


 マゼウスが完全防御の魔法を無詠唱で展開した。

 あーやっぱり大神様だけあって、詠唱いらないのね。

 マジやばいわこいつ。


 レイスリーネの攻撃があっけなくはじかれる。


 マゼウスはまず狙いを一番弱いであろう魔法使い、コロネに決めたらしい、剣をもちそのままコロネにダッシュした。

 ――が。


 コロネはマゼウスの剣をなんなく杖で躱していく。


 ちなみにレベル1200のSSR装備は指輪ではなく杖だったので、コロネの武器は杖に戻っている。


「貴様っ!!魔法使いではなかったのか!?」


 アルファーでさえ、いなされた攻撃をなんなく受け止めるコロネにマゼウスが驚きの声をあげた。


 ――恐らく、魔力を周囲に展開させて僅かな筋肉の動きから次にくる動きを予測しているのだろう。

 コロネが以前プレイヤーにしていた技だ。

 スキル覚えてからというものコロネのチート具合が半端ない。

 やっぱり現地人がスキル使えるようになると、プレイヤーなんてあっという間に抜かれてしまうのだろうな、と思う。


 あとで、私もちゃんとやり方聞いておこう。


 とにかく、その隙を私が見逃すわけもない。

 魔法がだめなら罠がある!!時間だけはたくさんあったのだ!


 そりゃもういろいろな罠をてんてこもりに張り巡らせている!


『トラップ発動!!死と永遠の苦渋!!』


 私の罠が――コロネも巻き込んで発動した!


『聖神降臨盾!!』


 マゼウスがまた完全防御の魔法を展開する。

 てかまだ前魔法使ってから1分たってないのに使えるとか。クールタイムすらなしとか酷くね?


 だが、このトラップ永遠とつくだけあって、私が解除するまでずっと罠は発動し続ける。

 永遠に一定数値のダメージを与え続けるのだ。


 完全防御の魔法を使っている間はマゼウス自身もこちらに攻撃できないし、かといって魔法を解けば、私の技を食らうはめになる。

 ちなみにトラップはこの神殿全域に張り巡らされているので空中に逃げたところでNG。


 結局のところマゼウスさんは私の技によるダメージを延々と受けながら戦うしかなくなったわけで。


 そして私は防御魔法でうごけなくなったマゼウスに更にトラップを発動する!


『トラップ発動!! 苦痛のタライ!!』


 私の声とともに――上空に現れたのは……タライだった。


「なっ!?これはっ!?」


 大神マゼウスが驚きの声をあげる。無数のタライが上空に浮遊しているのだ。

 ……別に笑わせようと思ってやっているわけではない。

 これでレイスリーネ達が上空でやってることが見えにくくなるだろう。

 ちなみに仲間には透けて見えるのでマゼウスさんの位置はばっちりわかるという便利罠だ。



 まぁ、地味に食らったら精神ダメージもでかそうだが。

 タライがギャグで使われているのを知らないこっちの世界の住人に精神ダメージがあるかは不明だ。

 それにこのタライ、地味に優秀で、当たりさえすればタライの色ごとに敵のステータスをダウンさせる効果もある。


『トラップ発動――重力発動!!』


 マゼウスが盾に守られている間、私は遠慮なくどんどんドラップを重ねていく。

 レベルがあがったおかげで最大10個まで重ねる事ができるのだ。


 いままで罠禁止のチャレンジミッションや自分より100以上レベルの高い相手などトラップが効かない事が多かったので、あまり出番がなかったが、今回十分トラップの効く相手だ。

 ついにトラップマスターの私の罠の輝く時がきたのである。


『トラップ発動――最後の裁きっ!!』


 私の言葉に呼応して、巨大な手がマゼウスの上空に現れた。 

 これはかなり強力は技で、ものすごく複雑な魔方陣をかかなければならない。


 が、暇だったので1日がかりで床に特殊なインクで書き上げたのである。


 ちなみにこれ、絶対防御の魔法が解けると同時に襲いかかるというチートトラップだ。


 上空では最大威力の技をためて待機するレイスリーネと、ドラゴン状態で最大級のブレスをため、待機しているリリの姿。


 その二人を守るようにアルファーがシールドを展開させていた。


 コロネも杖を構え、じっとマゼウスを見つめている。



 肝心のマゼウスを見やれば……こころなしか、「あれ、やばくね?」という顔をしていた。


「貴様ら、我らをこの地に呼び寄せて一体何を企んでいる?」


 マゼウスが状況を打破するためなのか、私たちに話しかけてきた。


「……?

 何の話だ?

 いきなり襲いかかってきたのはそっちじゃないか」


 自分が答えれば、マゼウスはフッと笑い


「クリファを使って我らをこの地に誘き寄せておいて何を言う。

 現に貴様らは我が子らの力を吸い上げ、この地の神々に捧げているではないか」


 言って、マゼウスは神々の水晶を指さした。

 ――うん、確かに成り行きでそうしたことをしてはいるが、別に私たちがおびきよせたわけではない。


「成り行きだ。そちらが襲ってくるから、こっちも倒してるだけだろう?

 その結果、そうなっているだけで、そもそもそのクリファってのが誰だかもわからないんだが」


 私が肩をすくめると


「――なるほど。話す気はないということか。

 レベルなどというもので力を押さえ込み、我ら神に対抗しようとはなかなか考えたが……。

 人間風情が神を舐めるな!!」


 マゼウスが吠え――急にその身体がぼこぼこと盛り上がる。


『だ、第二形態きたっ!!!!』


 何故か物凄く嬉しそうなリリちゃん。

 い、いや喜んでる場合じゃないんだけど、これマジでやばい。

 レベルが1500に急にパワーアップしている。


『コロネ逃げっ――』


 私が言いいかけたその瞬間。

 ぞわりとしたものを感じ、私はコロネの視線で瞬間移動を行使していた。


 コロネにいつの間にか変形したマゼウスが襲いかかっていたのだ。

 私は鎌を構えその攻撃をなぎ払った。

 コロネはあまりのスピードについていけないのか固まったまま動かない。


 右手の攻撃をかろうじて受け止めたが、次に口をがばぁっとあけ舌が私を襲う。


 間に合わないっ!?

 硬質化を試みたその瞬間。


 ザシュリ


 化け物に変化したマゼウスを黒いヤリのような何かが貫いた。


「なっ!?」


 マゼウスが物凄い形相で振り返り――


 そこにいたのは……真っ黒な鎧に身を包み顔をマスクで隠した、いかにも魔王といった風貌の男だった。


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