表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

103/117

90話 神様仏様

「よっしゃぁっぁぁぁ!!リリのSSRセット装備もコンプ!!!」


 神龍からでた宝箱の中を覗き。私が声高々に叫んだ。

 その後ろではアルファーとファルティナの2人が呆れたような視線でみているが……気にしない事にする。

 ちなみにレイスリーネのみその様子をニコニコ顔でみていてくれた。

 やっぱり火力厨同士、私の思うところをわかっていてくれるのだろう。

 火力最高!私の味方はレイスリーネちゃんだけだもんね!


 結局あのあと、私と守護天使は神龍を倒してSSRを装備ゲットに。

 リリ、コロネ、sionは神々の眠っている広場を調べることに。

 広場にも神龍を倒した経験値届くっぽい。

 sionのレベルがもう900になっているし。

 sionの分もSSR装備用意しておかないとなぁ。


 ちなみに神界だが、あの神々の眠っている広場以外は行くことはできなかった。

 (そちらは行けません)とシステムメッセージがでてきてしまうのだ。

 つまるところ神界はいまだ、ゲームのシステムに縛られているらしい。


 まぁ、なんであれ、私は装備強化に挑むだけなのだけれど。

 次はコロネの装備完全SSRコンプを目指そう!!

 

 10分後……私たちは再び湧いた、神龍を慣れた感じで撲殺するのだった。

 ごめんね神龍!



 △▲△▲△▲△▲△▲


「……それでは一度、いままでの情報をまとめたいと思います」


 経験値5倍の効果が切れた所で、コロネに、神龍撲殺終了を告げられて、私たちは広場に集められた。

 アルファーが地につっぷした状態になっているが気にしない。

 まぁ、経験地5倍だから!と、言い訳して、寝ることなく一日ぶっ通し神龍狩りしてたからそりゃ疲れるよね!

 深夜1時になれば疲労はリセットされる!それまで我慢だアルファー!

 うん。調子にのりすぎました。ごめんなさい。


 私たちを集めたコロネは、一同を見渡すと


「これは、あくまでも私とsion様と二人でたてた仮説です。

 実際とは異なる事も多々あるかもしれません。あくまでも推論としてお聞きください。

 それでは、sion様お願いします」


 言って、コロネがsionに話をふる。


「え、えっとーこういうの緊張するんっすけど。


 とりあえず、まずこの世界をゲーム化したのは、神々より上の存在。

 原初の巨人なみの力をもつ存在だと思うんですよ」


「原初の巨人……?はじめて聞きます」


 ファルティナが、眉根を寄せる。

 天使でも原初の巨人の存在は知らなかったらしい。


「えーっと、この世界全てを作った存在です。

 この巨人はそれこそ星の数ほど存在し、それそれ世界を作り出しては死んでいきます。

 無の世界に突然生まれて、そして原初の巨人が死んだあと死体から世界が生まれます。

 神様も基本原初の巨人の死体から作られました。

 つまるところ神様さえ作り出した、とてもすごい存在という認識でお願いします」


「神々を上回る存在がいたのですか」


 レイスリーネが感嘆の声を漏らした。


「こうやって神々の世界さえゲーム化のシステムに組み込めるとなると……原初の巨人くらいしか無理だと思うんっすよね。

 でも基本原初の巨人って独自の意志はないものとされているはず。

 無から生まれて、そして死して世界をつくる存在です……というのが、自分が知っている情報です。


 ただ、原初の巨人が死んでいるというのは、ゲームの情報ですからねぇ。

 昔のコロネさんの口ぶりでは生きているっぽかったので、原初の巨人の生死は保留で。


 今のところ一番有力なのは猫さんが見たイベントで聞いた『審判の御子』がこの世界をつくった最有力候補です」



「審判の御子…とは?」


 アルファーが聞くがsionは首をふり


「そこはまったくわからないっす。

 ただ、過去のコロネさんが原初の巨人と同列に語っていたので、そう推測しただけで……根拠はものすごく薄いです。

 今のところは仮説としてなんだか凄そうな『審判の御子』が世界を作ったのかもしれない?程度の認識で」


「で、まず何故この世界がゲーム化したのかですが……。


 最初に、この世界を異界の神達が侵略してきたことからはじまります。

 異界の神々がこの世界に侵略してきたのは少なくとも二回。

 この二回侵略した神々が同じ世界の神々だったかは不明です。


 最初は魔獣セファロウス達の元となった異界の神ゼビウス。

 これは、こちらの世界の神々も戦いました。

 そして見事に倒し、その倒された異界の神ゼビウスは、死んでも死にきれず身体の一部が魔獣になるのですが――それは今回の話には関係ないのでカットで。

 

 ただ、神々が異界の神を倒した時、多大な犠牲をだしました。

 光の神セシウス達の父で冥王ナースの夫、大神ガブリエラが死に絶え地上に存在した全ての生命は死滅していました。

 神々同士の激しい戦いの巻き添えとなったのです。

 冥王ナースと大神ガブリエラが生み出した地上の生命は滅びました。

 今、地上にいるのはセシウスとアルテナの生み出した生命です。

 結局、一度滅亡を経験したセシウス達は――二度目の異界の神々の侵略時は、いま地上に生きている生命を殺さない約束で、異界の神々に世界を譲ってしまった」


「そ、そんな……」


 ファルティナが眉根を寄せる。

 そりゃ自分の仕えてる存在が命を捨てたとかあんまり聴きたくないよね。


「二度目に侵略してきた異界の神々が今猫さん達が戦ってる異界の女神だと思うんっすよね。

 ただ、どういう理由かはわからないけど、本来巨人が生んだ神ではなく別の巨人から誕生した異界の神々が支配することを審判の御子と原初の巨人が許さなかった。

 そこでこの世界は滅びる事になり、それを察知した異界の神々はこの世界から逃げていった」


「神なのに無責任な!!」


 アルファーが怒るが、そもそもそういう神々だから、自分の世界を滅ぼしちゃって他の世界に侵略してきたのかもしれない。


「――で、一度世界が滅びて、誰かの手によって、本来進んでいた時代より少し巻き戻った時代の世界を復元した。

 ゲームの世界として復活させ、かつてその世界に存在していた、人々の記憶を新たな器に吹き込んで」


「……それはつまり……」


 レイスリーネが震えた声でsionに先を促す。sionはため息をついて。


「そう、この世界は誰かが作った偽物です。

 本来の世界はとっくに滅んでなくなっています」


 わりと残酷な事をぼかさずに告げた。

 守護天使達の顔が真っ青になるが、隠した所で仕方のないことなのだろう。


「それでは……そこにお眠りになる神々でさえも……偽物なのでしょうか?」


 レイスリーネがおずおずと尋ねる。


「んーそこはコロネさんとも話あったのですが、ひとまず保留で。

 まだよくわからないです。

 若干神レベルの存在がレプリカとか認めたくない部分が大きいのが事実ですけど」


「……そうですか」


 少し安心したようにレイスリーネがため息をついた。


「ただ、あくまでも仮説なんで。事実と違う場合もありますから」


 sionが守護天使達を慰めるように言う。

 ちなみに――リリちゃんはというと、もともとが自分がゲームキャラだったという認識だったため、世界が偽物と言われてもまったくショックはないようだ。

 呑気に足をぱたぱたさせながら話を聞いている。

 コロネも以前から覚悟していた推論なので特に表情はかわっていない。


「……ただ、問題は、なんでこの世界を復活させたのかが、わからないってことですよねぇ。

 しかも日本でゲーム化したのも意味不明だし。

 まさか地球でVRゲーム作るから、そのままこの世界の情報流用してつくっちゃえ✩とか?」


 sionが腕を組みながら考える。


「大体神様って、信仰ないと生きられないっていうじゃないですか?

 ゲームのなかでプレイヤーに神様を信仰させて、神様の復活の手助けをするためとかだったら、頑なに日本だけでグラニクルオンラインやったのも説明つくんですよね」


「え?そうなのか?」


 私の問いにsionが頷いて


「だって他の国ってちゃんとキリストとかアラーとか偶像崇拝禁止とか神様のイメージちゃんと固まちゃってるじゃないですか。

 それに比べて日本ってどうです?

 神様仏様!とか祈るとき、きちんとした神様像って決まってます?」


 sionの言葉に私は考える。

 言われてみれば、特に姿は思い浮かばない。

 なんとなく漠然とした神様なのだ。


「……うん。確かに漠然としてるわ」


「その漠然とした神様像を、この世界の神々すり替えて祈らせるんです。

 そうやって信仰を集めていたのかもしれない。

 まぁ、どの道推論でしかないですけどね」


 と、sionが肩をすくめるのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ