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88話 53万レベル

「クリファに言われてまたこの世界に来てみれば、またずいぶんと様変わりしたのね」


 と、神々しい光を身にまとった嫌に露出の高い女が私たちを見ながら言う。

 長い赤髪のツリ目でスラリとした体型のいかにも妖艶な美女といった風貌女性だ。


『たぶんあれが――異界の女神』


 リリが震えた声で、そう告げた。

 私とコロネも――女神を鑑定し、そして動けない。


 鑑定したレベルがありえない数値だったのだ。


「レベルとかわけのわからない物ができてるし。

 何故か殺したはずのこっちの神々が復活しちゃってるし。

 一体どうなってるのかしら?


 ねぇ、あんたたち何か知らないわけ?」


 と、私たちをその瞳で睨みつける。


「神々を殺した……?」


 私の問いにその女は妖艶な笑を浮かべ


「そう、私たちが神になるのに邪魔だったから、殺しておいたのよ。

 馬鹿な奴らだったわ。

 地上にいる命を殺せないとかいって、自ら命を差し出して、世界と一体化しちゃって」


 と、さらに笑みを深める。


「まぁ、愚神の子にわかる理由(わけ)ないわね。

 とりあえずクリファにあんたたちを殺せば、この世界が手に入るって言われてるから。

 悪いけど死んでもらうわ――」


 言って女神はゴーレムのような物を召喚する。


 神々しい金ぴかな巨大なゴーレムを。



  △▲△▲△▲△▲△▲ 


『……猫様、これは一体どういった状況なのでしょう……』


 コロネが震えた声で念話で話しかけてきた。

 ……うん。コロネが動揺するのもわかる。


 ドや顔でゴーレムを召喚した女神だったが……。


 ゴーレムも女神も、レベルが903なのだ。


 レベル1112のコロネにもレベル100差以上をつけられている。

 なのにあの自信とドや顔。 

 アルファー達にダメージを与えたことから、レベルなど関係ない何かをもっているのだろうか?


『きっと、一度倒すと、第二形態に移行する!レベル53マンになる!』


 と、わりと真面目にリリ。

 ……うん。リリが言ってる漫画の元ネタがわかってしまう自分が悲しい。


『ご、五十三万レベルですか!?』


 元ネタを知らないコロネが真剣にうけとって驚きの声をあげた。


『いや、コロネ、そこは真剣に受け取らなくいい』

 

 突っ込む私。に、してもである。

 

『sion、とりあえず硬質化しておいてくれ、逃げれる準備はしておく』


 私が指示するとsionはすぐに硬質化した。

 私はすぐさまsionをアイテムボックスにしまいこむ。

 そしてリリがゴーレムに向かって構え、私たちはしばし膠着状態になる。


 女神もニタニタ笑いながら、ゴーレムが私達の攻撃を待ち構える格好で、構えているのを視ているのだ。


『このままじゃ、埒があかない。

 リリ、攻撃してみる』


 ゴーレムとの膠着状態にしびれを切らしたリリが、鍵爪を構えて言う。


『しかし、リリ様、相手の手の内がわからないうちは危険です!』


 コロネが言うがリリが首をふり


『だからリリ行く。

 コロネは復活の呪文使う。ネコは切り札。

 手の内を知るのに リリ 一番最適』


 と、わりと冷静な意見を述べる。

 く、まぁ確かにリリの言うことも一理ある。

 召喚系の魔法は異界の女神がなにか手をくわえる事ができるらしいので使えないし。

 だれかが様子を見るしかないのだ。

 いままでの敵と違いレベルが低いのに、もの凄いドや顔などという敵の対処方を私は知らない。

 きっと何かを隠しもっているのは確かなのだろう。

 倒した後にパワーアップして復活とかそういう類の。

 懐に飛び込んだ途端、パワーアップとかされたら、私も対応できるか怪しい。


『わかった。

 もし危ないと感じたら、すぐにでもリュートの視界をジャックしてエルフの里に瞬間移動すること。

 私とコロネの事は考えず自分が生き残る事を優先して』


『わかった!!』


 私の言葉にリリは頷き、そのまま大地をかける。


 鍵爪でゴーレムに襲い掛かり――首をはねた。

 そしてそのままの勢いで女神に鍵爪を振り上げ――



 ザシュ!!!!



 女神の身体をまっ二つにする。


「……まさか……そんな………」


 信じられないといった表情で女神の身体が霧散した。

 リリの一撃であっけなく散ったのだ。


 しかし、私たちは油断しない。


 霧散する女神の身体をじっと見つめ………



 ………


 そして3人で揃って構えたまま、10分ほど経過した……。


 ………。


 ……………。


 ………………。






『……ひょっとして何もおきない?』


 それから40分ほど、経過したところで……リリがぽつりと呟くのだった。


  △▲△▲△▲△▲△▲ 


〜女神サイド〜




「……お前の姉は……馬鹿なのか?」


 泉で戦いの様子の一部始終を見ていた魔王が呟いた。

 その横ではものすごく複雑な顔をした異界の女神の一人である少女が唇をかみしめている。


「し、仕方ないじゃろう!!

 姉サシャは、レベルなどというものはよくわかっていなかったのじゃから!!

 そもそもこの世界がおかしいのじゃ!

 なんじゃ!!レベルって!!

 こんな数値のある世界、そうそうないわっ!!」


「……それにしても、お前も教えてやればよかっただろう。

 レベル900如きでは、あれには勝てぬと」


 魔王が呆れたように言うと、異界の女神であるクリファは首をふって


「そ、そんなことを言ってみろ!!わらわが殺されるわっ!!

 サシャは恐ろしくプライドが高いのだぞ!!

 あの人間達に姉様かないませんよ♪などと言った時点で首が飛ぶわっ!!

 わらわのレベルは800なのじゃぞ!

 レベル100差もある姉に逆らえるわけがなかろう!!」


 涙目で言う、クリファに魔王は深いため息をつき


「……もう少し面白いものが見れると期待していたのだがな……」


 言ってそのまま泉の映像を消してしまう。


「…なっ!?」


「もういいだろう?興醒めだ。私は帰る」


 言って魔王はそのままマントを翻すのだった。


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