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僕たちの日常  作者: ヒマワリ
1年生
13/17

第12話 綾と心

僕が原田さんをクラブに来させるために奮発した一週間の出来事を日記に綴った。


一日目

いつも通りに接することにし、とりあえず様子見する。

所々に原田さんの話題を入れるが、何事も無かったかのように話題転換。 これは想定の範囲内なので別にどうということはない。

けど、そこまでして舞衣のことを嫌っている理由はなんだろう?

修学旅行の件だけで、とてもこんな風にしているとは思えない。これは気のせいなのかな?


二日目

一日目と同様にする。 相変わらず露骨な話題の変え方に違和感を覚える。 なんだか彼女を思い出すのも嫌なのかもしれない。という風に感じた。 気のせいかもしれないので、明日はしつこく聞いてみよう


三日目

話題のすり替えを気にせず舞衣のことを聞いた。 その時の顔は今までの木下さんとは思えない、別人のようだった。

やはり、嫌っているという線は間違っていなかったのだろう…… 僕はそうでないと思いたかったが。


四日目

いつも通り…って訳には当然いかず、話しかけられることは無かった。 僕から話しかけても無視を貫き通していた。

昨日しつこく聞いてしまったからだろう…

確かめるためとはいえ、やり過ぎたことに少し後悔する。 明日はどうしようか?


五日目

進展なし。話しかけようともせず、もちろん話しかけられるなんて事はなかった。

自分の臆病さがここにきてアザになっている。もうすでに嫌われてると思うと、話しかけられない。 美月と真司に「どうしたの?」と心配された。


そして、この日記を家庭科部員全員に見せた。そこで長谷川さんが戻って来ている事に気づく


「岩本さん、成功したんですね!」


「うん、今までのことを話したら、私も感情的にゴメンって照れながら言ってたの! ものすごく可愛かったなぁ」


「て、照れてないし! 亜希は何言ってるのかな〜?」


声がうわずっている おそらく本当だろう。

それにしても照れている長谷川さんか〜、想像してみると確かにギャップがあって可愛いなぁ


「私も見たかったな〜。 ま、想像するだけで白ご飯3杯は食べれるけど。」


「私も見てみたいです、 さっきの焦った表情も可愛いですけど」


「あ〜あ〜もう、うるさい!」


赤面している先輩の顔を見て、一気に場が和んだ。この空気がやっぱり一番安心できる。

心が安らぐ場所があるのは恵まれているのだと思う。 こんな居心地の良い空間には、これから出会うことはないだろう。 そして、ここに誘ってくれた彼女がいれば、どれほどいいだろうか?


「そ、そういえば! その美月って人には相談したの?」


「え⁉︎ あっ、いや、それは…」


急に話題を変えて、僕に聞いてきたから驚いてしまった。 そういえば本題はこっちだ。


「その焦りようでは、してないな?」


「はい… 前はメールとかでやり取りしてたんですけど、最近は部活が忙しくなってるみたいで…」


「へぇ〜 それで何部?」


「テニスです」


「テニス部か〜 そういえば他校と練習試合するらしいし、 もうすぐ大会だから仕方ないね」


「ふーん」


「友達が練習きついから代わって〜って嘆いてたよ」


今度はメールじゃ無理だから、休み時間とかに相談に乗ってもらおうかな。 美月はこういうことには鋭いから、どうすればいいか教えてくれるかも。 思ったより簡単なことで解決できるかもしれないし。


それで翌日、美月に相談すると

「それで、木下さんが嫌ってるって思うの?」


「うん、無視されてるから…」


無視、これ以上に嫌っていることを示したものは無いだろうと僕は思う。 だけど、他の可能性もあると言いたげな気がする。


「そう? 私には違うように感じるな」


やはり考え方が違ったみたいだ。 でも無視されてるのに嫌われていないと思うのは、全然理解できない。


「木下さんは、別に嫌ってる訳でもなく、 ただ顔をあわせられないだけだと思うんだ」


「なんで?」


「だって、原田さんがこの学校にいると知ったときはどんな顔してた?」


「険しい顔して、悩んでるように見えた」


「その時、私はイジメていた人物がきたと言っていたけど、勘違いしていたと気付いた。

それは、いじめていた人といじめられていた人が居たら、高校に入っても止まらないと思ったから」


「けど、それって憶測だよね? 」


そうだ、これは憶測だ。 実際に卒業したら、いじめが無くなったというのはよく聞く話だ。


「きっと心は卒業したら、いじめが無くなるんじゃないかと思ってるんでしょ?」


図星をつかれたので驚いてしまった。やっぱり美月には敵わない。 人の感情や思考を読み取るのは彼女の得意分野なのは知っていたけど、鋭くなってきているように感じる。


「そう思うのは分かる。 でも、それはその人と違う所に行ったときだけ。 大抵は同じ学校に行けば、グループを作り、同じくらいかエスカレートした状態でいじめは続く」


「解決しても?」


「解決? そんなのほぼあり得ないよ。例え先生から注意されたとしても、陰湿でもっとひどい目に遭う。 だっていじめている方は遊び感覚でやっているんだから」


美月の言葉に納得している自分がいた。 別に間違っていることを述べていると思っていた訳ではない。 ただ僕の言っていることが間違いではないと思いたかっただけだ。


その後も、僕は美月の言っていることを反論や意見などをせずに聞いているだけだった。

彼女の主張を要約すると、<イジメは場所が変わっても無くなることはない。だからグループを作っていない時点でそういうことがないのに気付いていた。だが、僕と話す機会が無かったから言えなかった>ということだ。


僕が言うのもおかしいけど、いくらでも話す機会はあったと思う。 クラブがどれだけ忙しくても、美月の体力なら持つはずだし、メールでも出来たはずだ。


「それで、今日できるアドバイスはないよ」


「え?」


美月にも解決出来ない問題なのか? だったら僕には到底出来ないじゃないか。


「ねぇ、心?」


「ん?」


「これって第三者が解決できると思う?」


「えっと、、、」


少なくとも一番リスクの少ない方法とは思ってる。 その分、時間が掛かるとは思うけど。

原田さんと木下さんはトラウマを無くなった時に会わせたいし、間違っても今の状態では鉢合わせして欲しくない。


「心のそういう保守的なところ、好きじゃないよ」


「うん…」

全てを見透かされている感じがした。けど、リスクを負ってまで無理矢理なことはしたくない。それは誰だって同じはずだ。保守的というのを言い換えれば、安全重視ということだ。安全策の何が悪いのだろうか?


僕はその事を考えながら、帰っていった。

大変お待たせしました。

今まで読んでくださった読者さんも新規の人も、これからもよろしくお願いします


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