TS転生エルフのもっと引きこもり日記2
ラルーナ陛下って
本当に女性なんだよね。
『うーん、女性だよ、諸事情により。』
グラの歯切れが悪い。
実は男性の予定だったとか?
『え?なんのはなしかな?』
グラがしらばっくれた。
やっぱり、男性だったんじゃない!
本当は!
『今回は確実に女性の予定だったから大丈夫だよ。』
グラがわけのわかんないことを言った。
かっこよすぎて勘違いしちゃうよ!
『いいんじゃない?大事にしてくれてるでしょう?』
グラが言った。
そうだけどさ…。
「パルラ、疲れたか?」
ラルーナ陛下が言った。
いつの間にか眠ってたらしい。
今、ティアーゼ行きのクルマ?に乗って移動中だ。
まあ、日本の車よりよっぽど、広いよ。
機械式でウライシア工業国産らしい。
なぜか隣のラルーナ陛下に寄りかかっていたみたいだ。
「申し訳ございません。」
わーん、不覚だよー。
私は身体を離そうとした。
動けない…腰だかれてる?
「ラルーナ様!不心得なエルフは起きましたか?」
セシルーシャ姫が操作席から帰ってきた。
「セシルーシャ、パルラは不心得ではない。」
ラルーナ陛下が言って私の耳たぶをあまがみした。
「ラルーナ様に寄りかかって居眠りなんて、私だってしたことないのに!」
セシルーシャ姫が眉をつり上げた。
「ティアーゼはまだか、セシルーシャ?」
ラルーナ陛下が言った。
「もうすぐです!この不心得エルフ!場所を代わりなさい!」
セシルーシャ姫が押し寄せてきた。
「セシルーシャ、私はお前の顔が見える位置がいい。」
ラルーナ陛下が微笑んだ。
つまり、向かいの席に座れと言うことらしい。
「ラルーナ様。」
セシルーシャ姫がぽーっと、その席に座った。
今回、セシルーシャ姫がいる理由は
ウライシア工業国の最新のクルマを使ってるためだ。
操作はセシルーシャ姫が行っている。
チエアイス武王国が発展してきたわけは
ウライシア工業国との協力関係が一番強いんだってさ。
つまり、ラルーナ陛下がセシルーシャ姫をタブらかした?ので始まった関係らしい。
「陛下ー、僕、苦しいですー。」
ウェルスさんが言った。
「食い過ぎか?トマトの丸かじりをしていたな。」
ラルーナ陛下が言った。
「あれはー疲労回復ですー、リコピンが疲労回復にいいんですよー。」
ウェルスさんが言った。
そうだけど…つかれてるんかな?
「ウェルス、苦しいなら、クルマを停めるか?」
心配そうにラルーナ陛下が言った。
乳兄弟だもんね。
「違いますー、重苦しいですー、空気が。」
ウェルスさんが言った。
ああ、そうだよね。
「そうか?パルラは大丈夫か?」
ラルーナ陛下が私の耳元に口をよせ言った。
「はい。」
近すぎだよー。
「ラルーナ様!ティアーゼについたようですわ。」
セシルーシャ姫が遮るように言った。
そこは、沼地が広がる、辺鄙な土地だった。
道も舗装されていないかガタガタだ。
「アオスイラはどこだ。」
ラルーナ陛下が言った。
「あそこに浮いています。」
私は指差した。
可憐と言うより黒っぽい紫の
丸い葉っぱの連なる浮き草が浮いている。
「さて、行きましょうー、目立ちすぎですからー。」
ウェルスさんが言った。
うん、地元民に遠巻きされてるしね。
「そうか…ではいこう。」
ラルーナ陛下が言った。
「アオスイラ?ああ、むらさき草んことか?」
レンコン農家のおっさんが言った。
「あんた、あんなんほしいのかい?」
レンコン農家のおばさんが言った。
二人は農作業中らしく沼地に入ってる。
「そういや、新しい地主さんがむらさき草を沢山ほしがってたな…うまいのか?」
おじさんがレンコンを抜きながら言った。
「さあ…きれいな色は出ますけど…。」
うん、それしか言えないよ。
アオスイラより、おいしいレンコンのほうがいいな。
白身魚をミンチにして味付けしてかたくり付けてレンコンはさみ焼きとか…。
「綺麗な娘さんだね、あんた、後の人は彼氏かい?」
おばさんが言った。
ラルーナ陛下は目立ちすぎるのでウェルスさんと聞き取り調査中だ。
「やめてくださいー、本当の相手に殺されますー。」
ウェルスさんが大げさな事を言った。
誰が殺すのさ…相手なんていないよ…それに私男だし。
「ふーん、旦那もちなんだね…まあ、こんだけきれいなら引く手あまただろうね…。」
おばさんが言った。
だ、旦那もち?なにそれ?
「そうだな…エルフなんてはじめて見たが…綺麗だな…。」
おじさんが言うとおばさんにはたかれた。
「わるかったね、綺麗じゃなくて!」
おばさんがすねた。
「なに、娘みたいな事いってるんだ、むらさき草なんぞ、ガキの遊び道具だよ、ここでは。」
おじさんが言った。
だから、無防備にあんなところにうかしておくんだ…一株いくらで取引されてるか知らないんだろうな…。
まして、天然ものだし…。
「ありがとうございました。」
うん、だすかったよ。
「レンコンもってくかい?規格外品でよかったら。」
おばさんがレンコンをくれたのでありがたく頂いた。
レンコン蒸しもおいしいよね、中にエビとか入れてさ…。
「パルラさんー。」
ウェルスさんが言った。
私はおじさんおばさんに手を振って歩きだした。
「パルラ!」
ラルーナ陛下が待っていたクルマの影から飛び出して私を抱きしめた。
「不埒なエルフ離れなさい!」
セシルーシャ姫が叫んだ。
「セシルーシャ殿下ー声が大きいですー。」
ウェルスさんが言った。
「パルラ。」
ラルーナ陛下がそういって私の首筋をアマガミした。
…ねぇ…グラ…私、別にラルーナ陛下のお嫁さんじゃないよね。
まさか…ね。
つきあってないもん。
気になる人だけどさ。