TS転生エルフのもっと引きこもり日記1
おかしいなぁ…。
引きこもり脱却のはずなのに…。
「パルラ、おはよう。」
ラルーナ陛下が微笑んだ。
「おはようございます、寝てないんですか?」
昨日と同じ服装だよ。
「忙がしくてな、パルラはきちんと寝られたか?」
ラルーナ陛下が言った。
「はい、陛下、お忙しいのはわかりますが、少しはお休みください。」
私が言うと陛下が微笑んだ。
「では、膝枕をしてくれないか?」
ラルーナ陛下が言った。
ひ、膝枕?私でいいのかな?
もっと、色っぽいお姉さんのほうが…。
ラルーナ陛下は執務室の椅子から立ち上がると私の手をとってソファーに移動した。
「パルラ、座ろう。」
ラルーナ陛下はそういって私を座らせると
先程の言葉通り、私の膝に頭をのせて横になった。
「お疲れのようですね。」
うん、くまさんが目の下にいるし。
「まあ、国が大きくなったぶんしかたない…不自由はないか?」
ラルーナ陛下が言った。
「はい。」
私は微笑んだ。
実際、不自由はない。
そして、どういうわけか、
住居は後宮の一室をもらっている。
まあ、ラルーナ陛下にはまだ、伴侶が居なくて、すんでるのは私とラルーナ陛下の母上様位なんだけど。
生活必需品も支給されるし…食事すら、部屋に用意されてる生活だ。
チエアイス武王国に来て以来、後宮の部屋とラルーナ陛下の執務室をいったり来たりのみで前より引きこもり中だ。
「セシルーシャがこの間、意地悪したと聞いたが。」
ラルーナ陛下が言った。
「セシルーシャ姫は戸惑っておられるだけですよ。」
うん、ラルーナ陛下は渡さないわ!って言われたし。
たしか、ウライシア工業国の王女でラルーナ陛下に惚れておってきたんだよね。
渡さないもなにも、私のものじゃないし。
ラルーナ陛下が女性って聞いたとき
びっくりしたし実は嬉しいって思ったけど。
私みたいな庶民はそう言う対象じゃないよね。
それにしても格好いいな…。
「アイルパーン竜騎国にオーレウス帝国の皇族が嫁入りするそうだ、もしするならなにかいってくるかもしれん。」
ラルーナ陛下が私の膝を撫でながら言った。
「陛下、無理しないでください。」
私はそっと陛下の頭を撫でた。
「パルラ、私はお前がいればいい、アイルパーンの王子などいらん。」
ラルーナ陛下が言った。
うーん、なんか本当にあったらしい。
アイルパーンの王子?
縁談…かな?
やっぱり、高貴な人は政略結婚なんだ。
それにしても、私がいればいいってなに?
「陛下ー、財務大臣の調査報告ー…おくつろぎ中ごめんなさいー。」
陛下の側近で乳兄弟のウェルス・オピ・ケーケシさんが扉を開けてしめた。
「ウェルス、報告を、これ以上は何も…いや、少し待て。」
ラルーナ陛下が起き上がって私の顎をつかんだ。
私、なんかした?
「パルラの唇はハーブの香りがする。」
ラルーナ陛下がやっと、口付けから解放して言った。
ええ?なんで、口付けされるの?
「パルラがいるのに他の男など要らない。」
ラルーナ陛下がそういって私を抱き締めた。
よ、よく、わかんないよ。
「陛下ー、いいでー、わーん、まだダメー。」
ウェルスさんが言った。
「ウェルス、財務大臣はどうなった?」
ラルーナ陛下が言った。
「財務大臣は真っ黒です、ティアーゼの土地を二束三文でしかも横領した金で買ってます。」
ウェルスさんが言った。
「なぜ、ティアーゼなんだ?」
ラルーナ陛下が怪訝そうにいった。
「僕に言われてもわかりかねますー。」
ウェルスさんが私を抱き締め続けるラルーナ陛下から視線をそらして言った。
ティアーゼって、たしか変わった植物がなかったっけ?
なんか希少な染料だったような…。
「アオスイラの根がたしか…美しい紫の染料だったはずです。」
うん、沼地が多くて、作物がとれないんだけど…その分水草、浮草が多くてアオスイラって言う
浮草がたしか、高貴なる紫とか言う天然染料なんだよね。
根からだからあんまり取れないんだけど…紫は紫でも深い黒に見まごう紫で
化学染料じゃ出せないんだってきいたことがあるよ。
「アオスイラだと?…紫の薄絹…パルラに似合いそうだ…。」
ラルーナ陛下がニヤニヤした。
「陛下ー、何処の花町を思い出してるんですかー?」
ウェルスさんが言った。
「もちろん、潜入したオーレウス…パルラ、誤解だ、遊んだが最後までいってないぞ。」
ラルーナ陛下が言った。
ああ、不潔って思ったの顔出てたんだ…。
まあ、恋人じゃないし、あそんでもいいんですよ…。
「私は仕事します。」
なんとか、陛下の腕の中から脱出しようとした。
「パルラ。」
ラルーナ陛下が抑え込んでる。
「パルラさんー誤解ですー陛下はー女性だし、娼婦となんか出来るわけ…ないですよねー?」
ウェルスさんが言った。
「もちろんだ、パルラ。」
ラルーナ陛下が私をソファーに押し倒した。
ねぇ、逆転?あれ?カップルじゃないよね。
『んー、男のさがを理解してやんなよ、僕だって覚えてられた時はモテタヨー。」
グラが言った。
男のさがってなにさ、ラルーナ陛下は女性だよ。
「パルラ、なんて無防備なんだ。」
ラルーナ陛下の顔が真ん前にあった。
脳内会話の弊害だよね、タイムラグ?
「ラルーナ陛下、私は気にしてませんよ。」
どこで遊んでも構わないよ。
「パルラ、アオスイラの薄絹を買いにいこう。」
性懲りもなくラルーナ陛下が言った。
「お好きなように。」
この、スケベ!
「ティアーゼにな。」
ラルーナ陛下が私の首もとに口付けた。
「ええ?今の時期にティアーゼですかー?無理ですー。」
ウェルスさんが言った。
「パルラを連れて、ティアーゼに視察にいく、アオスイラの薄絹で着飾らせたい。」
ラルーナ陛下が笑った。
ねぇ、それって、財務大臣を油断させるため?
でも、アオスイラの薄絹って透け透けだよね。
「…いいですよー、趣味と実益ですねーパルラさんにはお気の毒ですがー。」
ウェルスさんがため息をついた。
ええ?嫌だよー、アンダーしっかり準備しなくちゃ。
ティアーゼ行き決定ですか?
私、超引きこもりエルフなんですが?