TS転生エルフの引きこもり日記3
お客様はどっかの高貴な人みたいだ…。
後できちんと契約見とかないとね。
「パルラちゃん、今日のひるめしなんだ?」
マリエスさんが言った。
「トマトのスパゲッティですよ、魚の水煮の入った。」
うん、まあ、ツナ?(でもないけど)とトマトと大葉のスパゲッティかな?
お客さんも来てるし…。
イケメンだし…。
『あー、気に入ったんだ~。』
グラがまたでた。
『いいじゃない、私もと女だもん。』
うん、グラのせいじゃん。
そこそこ整った顔が活用できないよ。
女でも…多分遠くから見てるだけなんだろうな。
ああ、へたれだよ。
『今は男の娘だよね。』
グラが生意気なことを言った。
『今日は乾麺そなえてあげるね。』
うん、これで十分だよ。
『えー、ちゃんと出来たの供えてよー。』
グラが甘えた。
まあ、うちのワンコだけどね。
供えてやるか。
「…でいいからな。」
マリエスさんが言った。
なんかききそこねたみたいだ。
「じゃ、そう言うことで。」
マリエスさんはそういって事務所の方に足早に去っていった。
うん?なに?なにいわれたんだろう?
グラと脳内会話してたからな~。
…まあ、とりあえず、昼御飯作ってからききにいこうかな?
「パルラ、トマト切れたよ。」
エメルさんが言った。
今日は旦那さんのオルアスさんが帰ってきてるから気合いが入ってるらしい。
ギルアス君はオルアスさんが見てるのかな?
二人とも、私より上でオルアスさんは弓の一族から婿に来たんだよね。
戦場で知り合って、エメルさんは今、産休と育休中です。
「じゃ、フライパンにいれて。」
あらかじめ、ニンニクと玉ねぎ、魚の水煮は炒めてある、そこにトマトのダイスカットを投入する。
しかし、給食室のおばちゃんになった
気分だよ、この厨房はじめて入った時から。
大きい鍋だよね。
回転釜まであるもん。
「あとは大葉を入れて煮込めば出来上がり、お客さんにもだすんだよね♪」
あのイケメンに会えると思うと顔がほころぶよ。
私も乙女…違う、乙男だよ。
「うん、私が運ぶよ。」
エメルさんがいってくれたけど。
男の私が運ばない何てあり得ないでしょう。
「サラダ用の胡瓜切れたよ~。」
ヤリアーゼおばさんが言った。
マリエスさんのお母さんで歳だから戦闘業務は引退したんだよね。
「ありがとうございます、スイカ今度は切ってください。」
デザートにぴったりだよね。
「うん、ダイスカットだよね。」
ヤリアーゼおばさんが言った。
そう、みんなが手軽に水分補給出来るように
畑でとれたスイカはダイスカットして冷蔵庫で密封容器にいれて冷やしとくんですよ。
いつもはね。
「普通にきってください、デザートなんで。」
見た目でデザートと言うことにしよう。
「うん、わかった。」
ヤリアーゼおばさんが言った。
さてと、作っておいた、青菜練り込みパスタでも回転釜で茹でようかな?
「じゃ、運んでくるね。」
私はワゴンのとってを握って歩きだした。
「皆さん、昼食ですよ。」
会議場で声をかけると一斉に振り向かれた。
「パルラちゃん!?来なくていいって言ったじゃねぇか!」
マリエスさんが言った。
ええ?聞いてないよ。
それにお客様は?
「お客様はどこに行ったの?」
せめて、顔だけでも見られたら幸せなのに。
ま、しょせん、同性だけどね。
「あ?ああ、今、席を外してる。」
マリエスさんが言った。
「パルラ、ここはいいから、みんなとご飯を食べてきなさい。」
村長のティスセさんが言った。
「これが、契約書?…ちょっと探してくる。」
なに、この契約書!
安過ぎだよ!
文句を言おうと早足であるいていると
グラの神棚みたいなの(あいつが神殿~って騒ぐから土産の高級菓子の木箱を細工して作った。)の前で二人が話してた。
「あの見積りはなんだ、剣の一族をバカにしてるのか?」
陛下?が言った。
「…僕もそう思います、財務大臣が恐らく横領したのではないかと。」
側近?が言った。
「確かめに来て良かった、あのような契約では、いつ裏切られても文句は言えん、すぐに作り直せ、公正な取り引きは大事だ。」
陛下が言った。
「はい、財務大臣のことは引き続き調査いたします。」
側近?が言った。
側近はそのまま、通信機片手に向こうに行った。
「その契約見直しで来たんですか?」
私はやっと声をかけた。
「聞かれてしまったか?パルラ殿。」
陛下が言った。
「誠実に対応してくださってありがとうございます、一人ぶんにも満たないから、どうに報復しようかと思ってました。」
私は微笑んだ。
カッコいいイケメンだけど、一族の方が大事だもんね。
「パルラ殿はもう成人されているのか?」
陛下が言った。
「もうすぐ、成人ですよ。」
私は村の共有の通信機で色々料金プランを練りながら言った。
こういうこともきちんと私がしないと
微妙に脳筋のみんなが騙されちゃうからね。
「成人されても、村で花嫁修業をして、いずれ、どこかの男に嫁がれるのか?」
陛下が私の手を持った。
ああ、カッコいい。
「私は男だから、花嫁修業なんて格好いいもんじゃなくて単なる引きこもりですよ。」
うん、女なら花嫁修業だって言えるのに。
「…男性なのか…。」
陛下が私を見つめてあまやかに笑った。
「なんですか?」
私は少し赤くなった。
「パルラ殿、うちの国に就職しないか?」
陛下が笑った。
「私、戦闘能力ないんですよ。」
私は言った。
少しでもあれば、就職しまーすって言えるのに。
剣の一族だもん望まれてるのはそれだよね。
「私の秘書官としてだ、いつでも、そばにいてほしい。」
陛下が私のほほを撫でた。
なんか、色っぽいなぁ。
やっぱり、イケメンは違う。
どうしようかな?
『行きなよ!運命の出会いだよ!』
グラが脳内で叫んだ。
そうだよね、これを逃すと一生引きこもり生活だもんね。
「考えてみます。」
でも、ほぼ、決定かな?
「そうか、いい返事を待っている。」
陛下はそういって今度は手の甲にくちづけた。
ああ、お姫様みたい。
でも、私、男だし、もしかしてBLにみえる?
陛下の方が身長高いし。