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女竜騎士の黒歴史ますます増殖中。

続いてしまいました…。


セラワストまできたよ。

何とかしてください。

あの人も毎日来るし…黒歴史増殖中だよ。


公休だったのに今日もパリラード王太子殿下に寮を襲撃された。

「ルーシュ、一緒に寝よう。」

ベッドの掛け布団の上から押さえ込まれて甘く微笑むパリラード王太子殿下…。

わー…どうみても美女だよ~。

「ご、ご冗談を。」

私は布団から抜け出ようともぞもぞ動いた。

朝焼けがやけに眩しい。

「本当は夜這いするつもりだったのに…外交が忙しくてね。」

パリラード王太子殿下がそういって私の髪にキスした。

「起きたいのですが?」

重い、重すぎるよ!やっぱり男だよね。

「うん、いいよ、着替え手伝ってあげる。」

パリラード王太子殿下がそういって布団の中に手を突っ込んだ。

どこにさわってるんだ~。

怒りのあまりおもいっきり蹴りを布団越しに入れた。

「ルーシュは暴れん坊だな。」

優雅に布団から転がってパリラード王太子殿下が笑った。

「やめてください。」

私は急いで起き上がった。

「可愛い夜着贈ろうか?」

パリラード王太子殿下がなめるように私を見ていった。

襲撃に備えてカササダ竜騎兵団の傭兵はいざというとき逃げられる格好をして寝る。

だからシャツとズボンの普段着で寝てる。

もちろん夜用って決めてるんだけどね。

「可愛い夜着なんていりません。」

夜用のシャツとズボンを不機嫌そうに脱ぎながら答えた。

「ルーシュの大きい胸が透けるのがいいな。」

パリラード王太子殿下が視線を下げた。

ところで気がついた。

「でていってください!」

私はパリラード王太子殿下を押し出した。

「残念、またくるよ。」

余裕でパリラード王太子殿下は手をふって去っていった。

護衛士のオルディラン先輩が目線ではやく着替えろといってたので部屋にもどって鍵をかけて着替える。

ついでに窓のそとを見るとセラが足早に竜舎へといくのが見えた。

「セラとも話さないとね。」

なんかこの間もあやしい事いってたし。

急いで着替えようっと。


あまり竜のいないチエアイス武王国の王宮竜舎はカササダ竜騎兵団の竜舎より小さい。

でも世話が行き届いているようで愛竜(アリアス)も満足しているようだ。


天井の高い竜舎で水色の竜を撫でるセラをしばしば見つめる。

うん、変わってないようにみえるけどね。


「何で来たのさ。」

セラに声をかける。


セラは愛竜(ジェニファー)の首筋を掻いてやりながら振り返った。


「お前…パリラード王太子殿下の許嫁ってなんだ?」

セラがジェニファーをかきながら低い声でいった。

ジェニファーが気持ち良さそうに喉を鳴らした。


「な、なにさ、何が気になるのさ。」

私はたじろいだ。

許嫁なんて認めたつもりはない。

ハミルトン家は庶民だし…パリラード王太子殿下にふさわしくないと思う。


キューキューと私の愛竜(アリアス)が甘えた声を出した。


「お前はここに護衛士になるために帰ってきたのではないのか?」

セラが微妙に視線をそらした。

「そうだけど。」

許嫁なんてなるつもりは竜の髭一本もない。

アリアスの首筋を掻いてやろうとセラの脇を通りすぎようとした。

「王太子妃になりたいのか?」

セラが私の胴を捕まえた。

「は、離して!」

私はじたばたした…教官に罰として5キロダッシュさせられる~。

「オレの背中を任せられるのはお前だけだといったはずだ。」

暑苦しい拘束をされた上熱い視線が目の前にあった。

「それは副官としてでしょう?」

私は恐る恐る言った。


そうじゃなきゃ困るよ。


「オレじゃだめか?」

セラが甘くささやいた。

「だ、ダメってなにをさ?」

私は槍を持ってこなかったことを後悔した。


体術じゃセラにかなわない。

短剣も…すごいよ、セラ…見事な拘束だよ。

と、届かない…。


「オレの嫁になるのは嫌か?」

ますます甘く耳元でささやいてついでに耳たぶをアマガミしやがった。

おい、いったいいつどこで覚えた?

「嫁なんかなれるか~。」

唯一動く頭で頭突きをかました。


油断してたらしいセラが拘束をといた。

そのすきにアリアスのもとにはしりよって飛び乗る。


「アリアス!いくよ!」

私は竜舎の囲いを飛び出した。

「まて、早まるな!」

セラがいってるのが聞こえる。

「低空飛行でね。」

私は付け足した。

ハーネスをつけてないのに高度を飛ぶわけないでしょ、防寒もしてないし。


チエアイス武王国の王宮が眼下に広がる。

優美なのにいざとなれば籠城もできる砦のような王宮なのがみてとれた。

遠くに王宮を囲む城壁が見える。

あのむこうに王都がひろがり第一城壁、第二城壁、第三城壁とかこまれているはずだ。

もちろんいつもは国際都市らしく城門はあいている。


そんなことを思いながらとんでいたらすこしバランスをくずしそうになって慌てて建て直す。

低空飛行でも落ちれば確実に死ぬ。


でも落ち着いてきたのはたしかだ。


なんで普通の幼なじみとか親友とかでいられないんだろう?


本当ならば…私は護衛士としてチエアイス武王国から出ることは無かったんだよね。

でも、王弟殿下(ルレーアス)様が里帰りと言うか一時帰ってきたときに…母竜のお腹に宿ったばかりだった愛竜(アリアス)に呼ばれたんだ。

うん、本当に…。

小さいキューキューと言う声が私と一緒にいてくれるって聞こえて…そうだ、弟が生まれて寂しくて仕方なくて…あの声に救われた。


母竜の私がその後卵が生まれるまでお腹にひっつきまくってたのはびっくりされたけど…ルレーアス様の愛竜(アイリス)は優しくて今でも私をアリアスと一緒に子供扱いしてくれる。


あのカエル事件は…私がアイルパーンに行くことが一悶着があったのちに決まったあとだ…。


「なんで突然カエルだったんだろう?」

私は呟いた。


「ミラさん~。」

下を見るとアイルパーンの王太子殿下の嫁もとい…女官のシルファちゃんがブンブン手を振った。

その後ろに長身の男性にみえる人がうっとりとシルファちゃんを見つめている。


相変わらず無駄に愛されてるらしい。


私は二人以外は護衛士だけらしい裏庭にアリアスを下ろした。


「久しいな、ミラルーシュ。」

長身の男性に見える人…アイルパーン竜騎兵国王太子殿下(まごうことなく女性)がそういいながら寵愛する女官シルファちゃんを後ろから抱き締めた。

「キヌータエ殿下、お久しぶりでございます 。」

私はアリアスから降りて竜騎士の礼をした。


相変わらず、王族が確実にこない地域にいると思いながら。


「キヌータエ様~離して下さいませ。」

シルファちゃんが後ろを少し振り返った。

「お前は落ち着きが無さすぎる。」

そういいながら殿下がシルファちゃんの頭頂部に口付ける。


うーん…甘い…二人が同性に見えないところも誤解の種なんだけど…。


「恋人同士に見られたらどうするんですか?」

シルファちゃんがそういいながらじたばたした。

「それが目的だが…いい加減兄上も私ではなくセラワストを王太子にすればいいものを。」

キヌータエ殿下がため息をつきながらシルファちゃんの頭をグリグリ撫でた。


髪型が乱れる~とシルファちゃんが必死で避けようとする。


そうだ…この二人は恋人同士くさいけど…実は違う。


アイルパーン竜騎国、国王カーラアスト陛下にお子がいずに先代国王陛下の末娘で国王陛下の異母妹キヌータエ殿下が王太子殿下にたたれている。


議会は王弟オズワルト殿下…つまり団長の息子のセラワストを次代国王陛下にという話もでているらしい、でも…キヌータエ殿下はオーレウス帝国の血を引いてるからと押してる人たちもたくさんいるんだ。

…セラは一竜騎士っていう立場を貫いてるし。


キヌータエ殿下はアイルパーン竜騎国を継ぐより竜騎士として国を守りたいらしい。


ついでに好きな人も守れるからってシルファちゃんを見てたから…本気でじゃないよね?


本当にこの二人ワケわかんないよ。


「セラワストに国を継ぐように説得してくれぬか?そなたが側近となるといえばなりそうなのだが。」

キヌータエ殿下がそういいながらもシルファちゃんを離さなかった。


作戦的には愛する人(同性)がいるので王太子殿下としては不適切作戦らしい。


多分、それ宰相閣下にばれてると思いますけどね…。


「セラなんて当分見たくありません。」

私はプイッと横を向いた。

普通は許されないけどキヌータエ殿下は友達だ。

「そうか…何かしたようだな。」

キヌータエ殿下がシルファちゃんを離して腕組みした。

「ええ、セラなんて竜に弾き飛ばされて死んじゃえばいいんです。」

私はカササダ竜騎兵団のたとえをいった、もちろん本気じゃない。


「だ、そうですよ、セラワスト殿。」

聞き覚えがある声が王宮の裏口から聞こえた。

麗しい王太子殿下が裏口から颯爽とあらわれた。


ある意味笑える状況だよね。

私は泣きそうだけどさ。


続いて竜の羽音が聞こえる。

「パリラード王太子殿下、あなたはどうやってミラの居場所を突き止めるのですか?」

セラが不機嫌そういいながら裏庭に舞い降りた。

ハーネスはきちんとつけているところがセラらしい。

防寒着はなさそうだけど。

「もちろん愛の力で。」

パリラード王太子殿下が近づいてきたので構える。

「……魔法か…魔具だな。」

キヌータエ殿下が呟いて私を見つめる。


魔法と魔具?

そんなのかけられた覚えも持たされた覚えもない…。


「まあ、いいじゃないですか、許嫁とラブラブデートを貴女みたいにしたいので誘いに来たのですよ。」

パリラード王太子殿下がニコニコと私にさらに近づいてきた。


私、槍を持ち歩こうかな?


「魔法か?ミラの右側の髪がひかっておる。」

そういいながらキヌータエ殿下がシルファちゃんの手を握ってエスコートする。

あの時キスされたところが本当に青白く光っていた。

マーキングするな~。

「キヌータエ様、離して下さいませ。」

シルファちゃんが可愛い声で言った。


うーん、あれで異性同士なら間違いなく王太子妃はシルファちゃんなんだけどね…偽装なんだよね。


「パリラード殿、わが友、ミラを翻弄するな。」

キヌータエ殿下が鋭い眼差しでパリラード王太子殿下をみてからシルファちゃんをエスコートして裏庭から出ていった。

護衛士がおっていった。


「ミラ…頼むから無理をするな。」

セラが真剣な眼差しでいった。


ハーネスなしで飛行はきもが冷えたらしい。


「うん、ごめんね、教官にどやされるよね。」

これがばれたらイデイスの丘までダッシュだよ、10回だよ。

あそこ傾斜がきついし一周一キロはあるんだよね。

「わかればいい。」

セラが微笑んで私の肩を叩こうとしたところでジャマが入った。

「ルーシュにさわるな。」

いつの間にか近くにいたパリラード王太子殿下がセラの手首を持っていた。

「ミラはオレのものだ。」

大分略してセラがいった。


正確にはセラはオレの未来の副官で配下のものだ。でしょう?


ときめきなんぞどっかいったよ…いやドキドキしてる?


「ルーシュは僕の妃になるから君の腹心なんてさせないよ。」

パリラード王太子殿下が魔力を練ってるのがわかった。

あれで通じるってなんなんだろう?


私自身は魔法の一族のエルフを母親にもつハーフエルフというだけでたいした魔法は使えないけど…気配はわかる。


パリラード王太子殿下も剣の一族のエルフである王配殿下を父にもつハーフエルフなのに…魔法が使えるんだよね。


ちなみに母親と王配殿下はいとこ同士らしいです。


「ミラは渡さない!」

パリラード王太子殿下が力を放った。

魔力で作ったカエルがセラに何匹も飛びかかる。

「いっや~~!!!」

すぐとなりにいた私は飛び退いた。


「カエル嫌い~!!」

私は怖くて怖くて仕方なかった。

頭に乗せられた黒歴史がよみがえる。

「大丈夫だ。」

誰かが優しく抱き寄せる。

セラがカエルから私をかばった。

「セラ~。」

私はセラにしがみついた。


「まったく…邪魔すぎるよね。」

パリラード王太子殿下がそういってカエルを消す。

「ミラ、大丈夫だ。」

セラが優しく背中をなでた。

「ルーシュ…ハミルトン護衛士、キヌータエ殿と外交業務をする、護衛をせよ。」

パリラード王太子殿下が威厳を持って言った。

「かしこまりました。」

私は内心慌てながらセラの腕の中からでて敬礼した。

「殿下、ハミルトン護衛士は今日は公休です。」

オルディラン先輩がきりっとした表情でいった。

「…許嫁の姫として外交の場に出る?」

人の悪い笑みを浮かべてパリラード王太子殿下が手をのばした。

「ミラルーシュ・ハミルトン、今よりパリラード王太子殿下の護衛業務につきます。」

私は今度こそビシっと敬礼した。

「…ったく…では着替えてこい。」

オルディラン先輩が苦虫潰した顔をした。

「はい。」

私は慌ててアリアスに飛び乗った。

「ミラ!」

セラが心配そうな顔をしてる。

「大丈夫、後でね。」

私はアリアスの上で小さく手をふった。


本当に後できちんとはなさないとだよね。


このあと外交でパリラード王太子殿下について…。

国王陛下に義理の娘扱いされたんですけど?


国王陛下についてた護衛士大隊長(おとうさん)がすごく怖かったです。


わーん、なに言われるんだろう?

パリラード王太子殿下のバカ~。

これ以上黒歴史を増殖させないでください。

駄文を読んでいただきありがとうございます♪

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