王宮職員の底力…情報はここに。
本日は三人称?です。
パルラ及びハミルトン護衛士襲撃誘拐事件…箝口令がしかれたその事件はその日のうちに王宮内にしれわたった。
守秘義務はどうした、人の口には戸はたてられないという話である。
王宮の廊下で明らかに普段は接点のない二人が立ち話をしている。
一人は護衛士隊長、もう一人は侍女長のようだ。
声をひそめて話している。
「パルラ秘書官はどちらにいらっしゃったのでしょうか?」
侍女長はほほに手をやりため息をつきながら言った。
「ええ、ハミルトンのやつが守りきれなかったとなると…心配ですね。」
護衛士隊長が腕組みした。
なんだかんだ言ってオルセリウス・ハミルトンは護衛士たちに信頼されているようである。
「そうですね…襲撃現場には血痕があったそうですわね。」
侍女長がじっと護衛士隊長を見つめた。
「なぜ、そんなことまで…。」
護衛士隊長はたじろいだ。
たしかに箝口令は破られしれわたっているが捜査情報まで流されているのは不味いのである。
「王宮職員の情報網をなめては行けませんわ。」
侍女長は底知れない笑みを浮かべた。
逆らってはいけない、護衛士隊長は心の奥底から思ったのである。
「……ま、それはそれとしてその素晴らしい情報網でなにかいい情報がありましたか?」
気を取り直して護衛士隊長が言った。
「今調べていますわ。」
たしかに王宮職員たちは色々な所で活動しているので情報収集には有用なのである。
「では、お互い情報が集まったら情報共有と言う事でいいですか?」
護衛士隊長は確認した。
「ええ、包み隠さずご報告くださいませ。」
侍女長が微笑んだ。
「ありゃ、心配だね。」
掃除係のイゼルは職員休憩室でお菓子を食べながら言った。
「そうなんですわ。」
侍女のファルナーネがどこか落ち込み気味に言った。
紅茶を口に含んでため息をついた。
なにか悩みごとでもあるのだろうか?
「たしかにカマエルフさんとラルーナ陛下の甘甘しいのみられないと寂しいにゃ。」
希少な獣人族(虎)な王宮事務官ミリファーリが黄色い耳をパタパタさせながら言った。
猫舌な彼女はお茶が冷めないと飲めないので先にお菓子を食べている。
「美味しい変わった料理の作り方パルラたんに教えてもらうの楽しいのに…。」
料理人のヒロがそう言ってレシピ集を広げた。
「本当に…どこに行ったんでしょうね。」
侍従のジーンアスがそう言って時計を眺めた。
まだまだ時間はあるようで立ち上がる様子はない。
「考えて見れば…パルラさんはみんなの癒しだよね。」
武器庫管理人オイラードがそう言いながら最新の武器の在庫表を確認している。
「パルちゃん良い子だからね…あのバケツ事件解決したんかね?」
イゼルがそう言いながらお茶に手を伸ばした。
「まだまだ分からないみたいですよ…案外あれも関連してるのかもしれませんね。」
ジーンアスがそう言いながらお茶を飲み干し立ち上がった。
「…じつは…武器の仕入れの時に…最新機種が品薄だって言う話で…それも関係あるのかな?」
オイラードが在庫表とメーカーからの返答書を見せる。
ジーンアスは歩き出そうとして足をとめた。
たしかに品薄になので納品をお待ちくださいとかいてある。
「関係あるかもしれませんわ、武器はオルラータの実家のアイセーゼ商会が一手に請け負っているのでしょう?オルラータが実家と連絡取り合っているの見ましたわ。」
ファルナーネがそう言いながら何か考えている。
「大体、あの日誰がカマエルフさんをむかえにいったにゃ。」
やっとさめたらしくミリファーリはお茶を飲み始めた。
「カトリーナなのですけど…なぜか途中の廊下の物かけで寝かされてたそうですわ。」
ファルナーネがそう言って両頬に手を当てて考え始めた。
「魔法でらしいね、カトりんが厨房でぶつぶつ言ってた、護衛士に大分しつこく取り調べを受けたらしいよ。」
ヒロがそう言いながら米の焼き菓子に手を伸ばす。
シオセンペイはパルラがヒロに教えたものだが微妙に雰囲気が違うようだ。
花型の型で抜いているあたりが違和感を起こしているのかもしれない…どうでもいい話であるが。
「そう言えば、戦闘事務官さんからフーマエルン峡谷国の動きがやっぱりおかしいってきいたにゃ、一部の騎士たちが頻繁にどっかにでかけてるみたいにゃ。」
ミリファーリがそう言って通信機を操作しだした。
「フーマエルン産の高原のサフラーナの花とか、ワインとかきのこのオイル付けとか最近高くなってるみたいだよ…輸出に規制がかかってらしいね。」
ヒロはそういってレシピを通信機に入力している。
「フーマエルンか…。」
ジーンアスは呟いた。
そして時計を確認して足早に仕事に戻って行った。
「ラルーナ陛下、場所が推測出来ましたー。」
国王側近ウェルス・デーケシ卿が執務室で執務中の国王ラルーナに囁いた。
「そうか…それで何処だ…。」
ラルーナは無表情に言った。
いつもはそんな事は絶対ない乳兄弟の事をしるウェルスは寒気をおぼえた。
ラルーナ陛下が完全に戦闘モードにはいっている。
戦争の前ですら笑顔を見せていたあのラルーナ陛下が…不味いとウェルスは思った。
「フーマエルン峡谷国、アーティーの谷のすぐ隣のウーエシーの廃坑に不審な動きがあるとのことですー。」
ウェルスが少し振るえながら言った。
「…そうか、すぐに乗り込む護衛士隊長をよべ。」
ラルーナが静か言った。
「ラルーナ陛下も…。」
ウェルスがオズオズと聞いた。
一国の国王が乗り込むにはリスクが多すぎるからであろう。
「行く。」
猛獣でも殺せそうな激しい眼差しをウェルスにラルーナは向けた。
「…はい、かしこまりました。」
ウェルスは追われるように部屋から出て言った。
後に残ったラルーナは両手を硬く組んだ。
「パルラ…愛しい私の夫…かならず助け出す…まっていろ。」
ラルーナは呟いた。
それを見た今日の執務室当番だったファルナーネ…フジョシア先生が素敵な妄想が出来そうですわと硬く拳をにぎったのは内緒のはなしである。
かくして王宮…ラルーナ陛下はパルラ救出に動き出したのである。
駄文を読んでいただきありがとうございます。