TS転生エルフのさらに引きこもり日記3
…男って…男って…ああ、自己嫌悪。
意外とシンプルな後宮のラルーナ陛下の部屋で私は自己嫌悪に陥ってた。
隣にはさっきまで私を翻弄していたラルーナ陛下が腕をからませて寝ている。
『何、落ち込んでるのさ。』
グラが言った。
だって…中身は乙女なのに…反応は男なんだもん。
私は恥ずかしさに顔を覆った。
『仕方ないじゃん…男なんてそんなものだよ、僕だって名前が知られてた頃は…もてもて、むふふだったよ。』
グラがニヤニヤした。
…むふふ?…ぐ、グラのバカ!
今日はティシュでも食べてればいいんだよ。
私は思わず用意されてたティシュ箱を投げつけて…ベッドの上に箱が落ちた。
「どうした?パルラ?」
ラルーナ陛下が物憂いげに微笑んだ。
寝乱れた姿が色っぽい。
なんか…いやーんな反応したよ、身体が…。
「なんだ?なんか可愛いぞ。」
ラルーナ陛下が私を抱き寄せてキスした…。
窓から夕焼けが見える…午前中から…夕がたまで…良く生きてたな、私。
あとでウェルスさんに仕事が…とか言われないといいけどな…。
体力つかったら恥ずかしいけど…お腹すいた。
「腹がへったか?」
ラルーナ陛下が笑った。
お腹がなったのが聞かれたらしい。
えーん、昔はこんなんじゃなくてもっとロマンチックな後絹な感じを思い描いてたんだけどな…。
もちろん本物の乙女だった時だけどさ。
「風呂にいってからメシにするか。」
すがすがしい笑顔でラルーナ陛下が言った。
「はい。」
…風呂?もしかして…。
案の定お風呂まで一緒にはいってイチャイチャしてたら出た時はもう夕日が沈みきってた。
男って…私って…だめなエルフです。
ラルーナ陛下の部屋で夕食になった。
洗い髪が色っぽい…ああ、どうしようドキドキする。
「パルラ、美味しいぞ。」
ラルーナ陛下がエビのバターソテーを切り分けて私にあーんした。
「あ、おいしいです。」
大エビにエストラゴンバターの風味がからまっておいしい。
「そちらの牛肉のチーズ焼きはどうだ?」
ラルーナ陛下が言ったのでお返しにあーんした。
な、なんか恥ずかしい。
「所で…パルラ今回のことだが…。」
ラルーナ陛下がスパークリングワインを私のグラスに注ぎながら言った。
自分は強い透明のお酒らしい。
「こ、今回の事ですか?」
もしかして一度のあやまちだから忘れろとか?
…身分違いだし…きっと身分の高い王配殿下候補が沢山いるもんね…。
せめて仕事続けて…毎日顔はみたいんです…だめかな?
「何、悲しそうな顔をしてるんだ、今回の事はもちろんこのまま埋もれさせない、だが議会の連中も色々いってくるかもしれないが…信じてほしい。」
ラルーナ陛下が私の手の甲を撫でながら言った。
スパークリングワインのあわが光を反射してはじける。
「あの…仕事つづけてもいいですよね。」
私はスパークリングワインを一口のんで思い切って言った。
「…仕事か?」
ラルーナ陛下が聞いた。
だ、だめ?里に帰されちゃう?
「…私としてはパルラを囲い込みたいんだが…。」
ラルーナ陛下がそういって私にキスした…お酒の香りが口の中に広がった。
「か、囲い込む?」
やっと解放されて息を大きく吸い込む。
「ああ、後宮の奥深く誰も知らない部屋に囲い込みたい、パルラを誰にも見せたくない。」
ラルーナ陛下が妖しい微笑みを浮かべた。
それ…超引きこもり生活…ってそういう問題じゃないよね。
「あ、あの…その。」
どうしようなんか熱烈に求められてるみたいで嬉しい。
「まあ、そう言うわけにいかないからな、部屋を隣に移動で手を打とうか。」
ラルーナ陛下がほほえんで続きの間の扉を開けた。
そこは…いわいる王妃の間らしい。
掃除されてるけど使われてない様子がみられた。
「私の魂の伴侶はパルラだと思っている。」
そう言いながらラルーナ陛下が私の腕に腕輪をはめた。
そこには生と死の地母神オーラダー様の紋章とラルーナ陛下の名前が彫られてた。
成人した時に神殿から授けられるのだよね、自分のものを贈り合うと婚約が成立っていう。
だから…正式な魂の伴侶同士しか持ってないだよね…まあ…側室ともきちんと結婚はしてるんだけどさ。
「本当に…うれしいです。」
私は自分の腕輪を急いでだしてラルーナ陛下が差し出した腕に通した。
「パルラ。」
ラルーナ陛下が私を抱きしめてキスをした。
ああ、幸せだよ…でもなんかさむい。
ラルーナ陛下の肩ごしに侍女の一人がこちらをこわい顔でみてるのがみえた。
目が合うと侍女は不自然な愛想笑いをうかべた。
ラルーナ陛下のシンパなら殺したい程って思うよね。
私も逆の立場ならそう思うから…。
うん、少しくらいカマエルフっていわれても我慢しようっと。
だって幸せなんだもん。