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2.ほんの先の未来 1

 惑星に残された12人の少年少女の物語

2.ほんの先の未来

『私達は「再生」作戦を実行すべくこの星系に参りました。銀河中央政府の指示を無視する訳には参りません』

『ですが、私達は銀河中央政府の承諾を得た移民です。この星で生存していく権利があります』

 セルケトが誰かと言い合っている。

 ああ。そうだ。ソイツは見慣れた惑星往還機に乗ってオレ達の前に降り立った。

 そして「再生」作戦とやらを説明した。

『この惑星の全てを焼き払います。皆様はこの船に乗り「避難」されることをお薦めします』

 よくよく訊けばそれは「避難」ではなく「隔離」だった。

『ですが、このままこの惑星で過ごされるのですか? 原因不明の疫病で大人達がいなくなったこの惑星で?』

 ソイツに一番食ってかかったのは……アルテだ。

「何よ。アタシ達はこの星で生きるわっ! アタシ達の父さんや母さんが……開墾したこの惑星で生き続けてみせるっ!」

 背が高い美少女。それでもソイツとは同じ程度の高さ。機械と人間じゃ取っ組み合ったら勝敗は目に見えている。しかも相手は銃器を携えたメイド型対人戦闘用アンドロイドを12体も従えていた。

 普通の神経ならば尻込みして相手の言いなりになるだろう。

 だが……アルテは違った。

 何も武器もない状態で、世界の全てが自分の味方かのように振る舞い、相手の要求を撥ねつけた。

 とうとう相手が根負けした。

 ……機械だというのに「根負けした」という表現は正確ではないような気もするが、とにかく相手は説得を諦めてアルテに提案した。

『判りました。ですが、私も銀河中央政府の指示を全うする責務があります。そこで提案ですが……』

 そしてオレ達は……戦争をすることとなった。



「ん?」

 転た寝から目覚めたブライの眼前には不思議美少女レミの無邪気な笑顔があった。

 いつの間にか寝てしまったのだろう。

 身体を預けている戦闘ルームのソファの横の窓の景色はすっかり漆黒の闇一色だ。

「……なんかついているか?」

 自分の顔をじぃっと微笑み見つめるレミに訊く。

「ブライ様の無防備な寝顔を眺めているのです」

 今は起きているぞと返したかったが、その後は無意味な会話が続くだけだと思い言葉を呑んだ。

「なんか用か?」

「ご飯ができたから呼びに来たのです」

 ああ。なるほどと思い、起き上がると……両腕に違和感を感じる。

 何事かと確認すれば両腕が包帯で厚くグルグル巻きにされていた。

「まだ少し血が出ていましたから包帯を巻いたのです」

 足はと見れば同じく包帯が巻かれている。違いがあるとすれば腕の方は指の先まで巻かれているが足の方は足首までだという事だろうか。

「前に足先まで巻いたら怒られたのを覚えているのです」

 それは僥倖……ではない。

 やはり常識と言うべきものだろう。


 この小説は『イシスの記憶』、『ラプラスの魔女』などの後編となります。

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