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11.意外な戦い 4

 惑星に残された12人の少年少女とアンドロイド達の物語

 瞳の威力が増していく。まるで瞳に高出力のレーザーを備えているかのように。いや、瞳の威力だけで総ての生物を石化するという想像上の化け物も斯く在らんかというような迫力を放っている。

『……たかが音速程度の弾丸に私達が壊れる事なぞあり得ませぬ。改めて表明致します。私は音速を遙かに凌駕した速度で行動でき得ます。その私達が自らより遅い物体に傷つく事は……』

 両手の塊は……塊だったモノは総て弾丸。弾丸のなれの果て。ブライが射出した弾丸を手で受け止め、次の弾丸を受け止める。結果として総ての弾丸は泥団子のように変形し溶着していた。

 飛び退いたとはいえ、音速程度の小口径弾丸だとはいえ、至近距離で音速近くの総ての弾丸を捕らえたという事実にブライは驚愕を隠しきれない。

 両手の弾丸の塊を指先で崩し壊しながら、ディアナ1は清澄なる笑みへと表情を変化させている。いや、押さえている?

『……大魚が水に溺れ、不死鳥が自らの炎で焼け死ぬような事だと断言致します。それとも……』

 ディアナ1は再び凄絶なる笑みに戻る。

『この私にはその程度の戦闘能力しかないと判断されたのですか?』

「あ、いや。決してそういう訳では……」

 口籠もるブライを一睨みし、ディアナは軽く跳躍した後で構え直した。

『では言葉ではなく……行動でお示し下さいませっ!』

 ディアナ1が突進してくる。そして音速を軽く凌駕した正拳突きが襲い来る。

 いや。脚下の岩を砕かんとばかりに踏み込み、突き出されたのは正拳ではなく腕から伸びた針。ではなく槍の穂先のような重厚なる鋭き直刃。

 それを受けたのは……盾。

(え?)

 瞬間的に左腕が盾に変形している。受け流しながら……反撃の手段を考える。と、右腕が何かに変形しているのが解る。

(なんだ?)

 視線をディアナに固定したまま確かめるために右腕を前に突き出すと……槍になっていた。

 ディアナ1は右腕の槍の突きを躱し、後方へと飛び逃げた。

「……これは?」

『それでこそ超音速での戦い。いざっ!』

 ディアナの超音速での攻撃を盾で受け流し、槍で応戦する。

 確かに音速程度の弾丸で攻撃するよりも重厚なる衝撃が相手に加えられるだろう。

 互いが生み出す衝撃波の中でブライはそれでも考えていた。

「しかし……何故だ? 何故、攻撃するっ!?」

『考えるより応戦して戴けませんか?』

 声に振り向くと別のディアナが襲いかかってきた。両手に刀を持って。盾で払い除けると今まで戦っていたディアナ1が別の角度から襲ってくる。

『コレからは2対1です』

 そんな卑怯な。と声にする前に視界の端に映った状況は……

 アルテ達も2対1で戦っていた。

(いったい何故だ?)

 訝るブライは無数の衝撃波が飛び交う戦場の中で……それでもある記憶を探し出した。


 脳裏に甦るのは……砂浜での光景。そしてテミスの言葉。

『ディアナ達が申すにはブライ様と心ゆくまで戦いたいと』


 ブライは叫んだ。

「だからって今戦わなくてもいいだろうっ!」

 気合いと共に2体同時に身体を当てて弾き飛ばした。アルテ達も同じように弾き飛ばし、ディアナ達は1箇所に集められた。直後!

 地面の岩から虹色の光が出現し、ディアナ達を包んでしまった。

 そして……光りが消え去った後に残る透明な壁。

「へ?」「何ですかコレは?」「レミったら知らないの? コレはバリアって……え?」

 ブライ、レミ、ラミが振り向く先には……両手を突き出したままの格好で自分に驚いているアルテの姿。

「あ、あれ? 閉じ込めたいって願ったら……何か出て来ちゃった。ははは……」


「……どうやら御陰様で大幅にレベルアップしたみたいだな」

 透明な壁は超硬質ガラスだった。ディアナ達の力では割れず、ブライの一撃で粉々になった破片をディアナ1が拾い上げ、見つめている。

『アルテ様は周囲の物質を意のままに操るまでになりましたね』

 ディアナ達の分析に因ればそれは『虚数次元積層ダイヤモンド・ガラス』だという。ディアナ達の防弾シリコンに埋め込まれているファイバーがクォーターニウム・ファイバーだとすれば、アルテが作り出したソレはセドニウム・ファイバー。

 強度において最低でも53万1441倍ほどの強度を持つと解析していたが、ブライ達には……正直、さっばり解らない。


 この小説は『イシスの記憶』、『ラプラスの魔女』、『101人の瑠璃』などの後編となります。

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