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11.意外な戦い 3

 惑星に残された12人の少年少女とアンドロイド達の物語

 バックパックの翼を広げたディアナ達に促され、ブライ達は背中から翼を出現させ広げ、飛び立った。

 アルテは空を飛ぶのがイメージできずにディアナ達に抱えられてだったが。

「頼むから早く飛べるようになってくれ」ブライは溜息混じりに頼んだ。

「いいでしょっ! アタシは『戦争』のなかで飛んだりしていないんだからっ! イメージできないのよ」

 アルテはやはり開き直っていた。


 海を越え、山を越え、谷を越えたあたりでディアナ達は岩だらけの平原にある一際大きな岩の上に降り立った。

 どうやら、テミスが言っていた離脱ポイントらしい。

 ブライ達も同じ岩の上に降り立つ。

「ここでお別れか?」

『ええ。ここで少し試したく……』

 試すって何を? とは声にならなかった。ディアナ1がブライの頭めがけてハイキックを繰り出したがために。

 瞬時に身を屈めるブライ。ディアナ1の足が頭上を通過した後で空気が切り裂かれたよう音が耳に届く。

(な、何だ? いまの? ぅおっと!)

 声に出すより早くディアナ1が身を屈めて体を回転させ足払いを放っている。先程の蹴りと同様の音速を超えた攻撃だがブライの両脚は解っていたかのように飛び上がり、躱す。埃と風がディアナ1の足にまとわりついていく。さらにディアナ1が空中にいるブライに回し蹴り。流石にコレは両手で受け、蹴りの威力に身体を任せて後方へと離れ……なかった。ディアナ1は素早く立ち上がり、正拳突き。肱で受け止め後ろへステップ。ディアナ1は歩を進めて連続突き。ブライはそれらを肱と掌で受け止める。

 後方へのステップがディアナ1の前進速度を上回ったようで距離が離れて……ブライは身構えた。そして叫ぶ。

「何をするっ!」

『テストです』ディアナ1がトントンとその場で小さくステップしている。そして微笑む。

 まるで野獣が獲物を見つけたかのような……凄絶な笑み。

『では、参りますっ!』

 瞬きすらもディアナ1の攻撃の前には邪魔。それでもなんとかブライはディアナ1の攻撃を捌いていた。

 音速すらも軽く超えるディアナ1の攻撃を。

 普通の人間ならば……いや、通常の戦闘型アンドロイドですら為す術もなく一撃の下に倒されているであろう攻撃を……全て捌き躱していた。

「何でこんな時にっ! うおっ!」

 ディアナ1の攻撃を躱しながらも疑問を口にする。

『……全ては我が本能。ブライ様? 躱しているだけでは決着はつきませぬっ!』

 ディアナ1が全力で向かってくる。そして鋭い正拳突きが伸びてくる。

 本能的に……ブライは応戦した。

 右腕を伸ばし……意識の中でトリガーを引く。感覚の中で撃鉄が落ち、無数の弾丸が射出された。

 ディアナは即座に飛び退き、距離をとる。そして姿は弾幕の霞の向こうに隠れて見えなくなった。

「え?」

 見れば右腕がウォーマシンと同じくガトリング砲に変わり、絶え間ない断続的な炎とともに弾丸を射出していた。

「わわっ! 止めろっ!」

 自分で自分を制止させようと左腕のロボット然とした手で右手のガトリング砲を破壊する。

 強靱な金属でできているであろうガトリング砲は飴細工のようにひしゃげて弾丸の射出は止まった。

「ふう。怪我は……」

 ディアナ1はと見れば……両手にそれぞれ何かの塊を掴んだまま微笑んでいる。いや、凄絶なる笑みを浮かべてブライを睨んでいた。

『お心遣い有り難うございます。しかし……』

 ディアナ1の手の塊がぼろぼろと崩れ落ちる。

『……原初のガイアにおいて私達の原型となる護衛用突撃型戦闘アンドロイドは幾つかの薄氷を踏むような勝利と屈辱的な敗北のケースを経験し、「悟り」ました』

 ディアナ1の表情が……きわめて人間に近くなる。

 悲しみの中の希望というような表情に。

『常に自身の戦闘能力を高め、少なくとも「人類史上最強」と称される存在でなければならないと。少なくともそれを目指さねばならぬと。これらは私達のOSのカーネルの存在と同等に刻まれ組み込まれています』

 つまり、人間で言えば『本能』レベルだという事なのだろう。

『そして私達は……軌道エレベーターの素材、虚数次元カーボン・ナノ・ファイバー、つまり実次元での積層ダイヤモンド・ナノ・ファイバーを自らの皮膚である防弾シリコンに埋め込み、常時で音速での行動を可能としました。動力炉を相転移炉に変えた時においても、常時出力型を腰部に、緊急時の高出力型の2つを胸部に備えて、四肢ならば音速の数倍での行動を実現させております。その私達にとって……』


 この小説は『イシスの記憶』、『ラプラスの魔女』、『101人の瑠璃』などの後編となります。

 途中ですが感想をお待ちしてます。

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