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5.疑惑と困惑 3

 惑星に残された12人の少年少女の物語


「ブライ様。エレメントというのは元素という意味もあるのです」レミが得意げに解説した。

「そもそも元素とはアルケーと呼ばれて、原初のガイアの最初の哲学者達は炎とか水とか風とか土を元素と考えていたのです」

 レミは得意らしい科学史を披露するが、隣でラミが「また始まった」と呆れている。

「そうか? だが……それでも意味が解らない」ブライは話を戻してあっさりと否定する。

「……あれ? 何の話でしたっけ?」

 レミは自分の話が場違いだというコトだけは気づいたようだ。他の全員を脱力させるという副作用を伴って。

「ま、結局良くわかんないというコトだけ判ったというコトよね」アルテが締めくくる。

 全員が肯きかけた時にレミが提案した。

「だったらワタシ達で調べればいいのです。あの遺跡を」

 ブライ以下、全員が「そうだな」と納得した。

 しかし……


 次の朝。

 セルケトに「遺跡調査」を提案したブライ達だったが、あっさりとセルケトに否定された。

『申し訳ありませんが、遺跡調査は銀河中央政府から停止命令が届いています。「何人たりとも許可なく遺跡への調査を行うことは禁止する」と。そして皆様の……』

 セルケトが全員の顔を見る。申し訳なさそうな表情を浮かべて。

『御両親からも依頼されています。「誰も遺跡に近付けないでくれ」と』

 そしてセルケトは深々と頭を下げた。

『今私が言えることはそれだけです。納得して下さいませ』

 ブライ達は何も言えなくなった。


 その昼。

 昼食を食べたブライ達はやはりブライの部屋に集合していた。今回はビージー達全員が加わったため部屋は随分と狭く感じる。

「どうします?」

 口火を切ったのはハカセ。

「どうもこうもないわ。完全に手詰まりよ」

 答えたのはアルテ。少し怒っているようだ。

「遺跡には何かがある。それも7日毎の「戦争」に関係した何か。でも調べようにも記録は無い。そして調べに行くこともできない。ブライの記憶だって……」

 アルテに話の先を振られてブライは両手を挙げた。

「オレの記憶は冷凍睡眠とかで詰めこまれたモノばかり。つまりはここに来る前の段階で知られたことだけ。オレらの親が調べたことは何一つ記憶していない」

「コスモネットで調べたらいいんじゃないのかな?」

 声を上げたのはビージー部隊の最年長のユキ。

「ブライさんのパソコンはコスモネットに接続しているんでしょう? 調べましょうよ」

 ブライはユキとハカセの提案に従い黙ってパソコンを立ち上げ、コスモネットに接続し、IDとパスワードを入力し、席を譲った。

 ユキとハカセは争うようにパソコンの前に座り、色々とサイトを調べだした。

 その後ろでブライはベッドに身を投げてから疲れたような声を出した。

「知っているとは思うが……」

 ハカセとユキ以外はブライの言葉を待っている。

「……コスモネットへの接続は移民船セルケトを通じて行っている。つまりコスモネットに載っている情報にはセルケトが隠している情報は何一つ存在しないという証明になる」

「あ、そうですね」

 素直に納得したのはレミ。

「それで解ることだったら隠すことはないし、もし隠している情報が載っていたら……」

「……閲覧阻止。って事ね」

 ラミが納得してベッドに横になる。

 ハカセとユキはブライ達の言葉に対抗するようにムキになって調べるが……何一つ有益な情報は出ては来なかった。

「閲覧阻止をされた形跡は?」

 アルテの確認にハカセとユキは首を横に振ってから項垂れた。

「いよいよ手詰まりだな」

 ブライが天井を見て呟く。

「この状況を打開する方法は……」

 口にしてはみたものの何も思いつかない。それでも何かが頭の中で引っかかった。

「そうだ。呪文でも唱えてみるか?」

「何よ? 呪文って?」

 ブライが起きてアルテに提案した。

「セルケトとテミスがいつも言っているイシスっていう移民船コンピューターはある植物学者の言葉を頼りに行動して奇蹟を起こした。12もの星系を渡り歩いたり、時には宇宙戦争をしたり、そして5つの星系を改造したり」

 アルテはブライが何を言いたいのか解らない。


 この小説は『イシスの記憶』、『ラプラスの魔女』、『101人の瑠璃』などの後編となります。

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