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攻略対象に転生した俺がヒロインを落とすはずだったのに、気づけば俺の方が落ちていた件。  作者: 続けて 次郎


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第七章 選択肢が表示されないんだが?

「……おかしい」


俺は自室の机に突っ伏していた。


ここまでの流れを整理する。


・ヒロイン、全攻略対象にフルスイング

・原作イベント、微妙に改変

・好感度の上昇スピード、異常


そして最大の問題。


「選択肢が、出ない」


乙女ゲーム転生もののお約束といえば、

“頭の中に選択肢が表示される”という便利機能だ。


だが俺にはそれがない。


完全マニュアル操作。


しかもアリスは原作と挙動が違う。


つまり。


「ノーヒント高難易度モード……?」


笑えない。


コンコン、とノック。


「レオン様、生徒会長がお呼びです」


執事の声。


嫌な予感しかしない。



生徒会室。


セシルが優雅に紅茶を注いでいた。


「来たか」


「用件は」


単刀直入。


セシルはカップを置き、こちらを見る。


「編入生についてだ」


きた。


「彼女はよく動く。よく笑う。よく喋る」


全部事実。


「そして、君によく話しかけている」


……。


「副会長としての指導だ」


苦しい。


セシルはふっと笑う。


「本当にそれだけか?」


目が鋭い。


この男、洞察力高すぎる。


「君は最近、彼女を見る目が変わった」


「……どういう意味だ」


「以前は“計算”していた。今は“迷っている”」


心臓が跳ねた。


なんでそこまで分かる?


俺は一瞬、言葉を失う。


セシルは立ち上がり、窓の外を見る。


「忠告しておこう。彼女は特別だ」


「知っている」


ヒロインだからな。


「いや、そういう意味ではない」


振り向いたセシルの瞳は、どこか真剣だった。


「彼女は、誰か一人を選ぶようなタイプには見えない」


……。


それ、俺も思ってた。


「だからこそ、選ばれたいと思う者は本気になる」


静かな宣戦布告。


「君も、だろう?」


沈黙。


逃げ場がない。


「……まだ、分からない」


それが本音だった。



翌日、事件は突然起きた。


昼休み、中庭。


「え、決闘?」


俺は思わず声を上げた。


目の前では、ミレイユが腕を組んで立っている。


「レオン様を賭けて、勝負です!」


どういう理屈?


その向かいには——アーク。


「いや、僕はそんなつもりは——」


「でもレオン様と一番一緒にいるのはどちらか、はっきりさせましょう!」


周囲がざわつく。


俺は完全に置いてけぼりだ。


「待て、俺の意思は?」


「え?」


ミレイユがきょとんとする。


「レオン様は黙っていてください!」


理不尽!


アークが苦笑する。


「どうする、レオン?」


どうするって。


これ選択肢イベントだろ!?


①ミレイユを止める

②アークを止める

③両方止める

④逃げる


……逃げたい。


だがその時。


「ちょっと待ったー!」


元気な声。


アリスが割って入ってきた。


「なんでレオンさんが賞品みたいになってるんですか!?」


その通りだ。


「勝負するならレオンさん抜きでやってください!」


論点そこ?


ミレイユがむっとする。


「だってアークさんもアリスさんも、最近レオン様と仲良いじゃないですか!ずるいです!」


「仲良いですけど所有物じゃないです!」


正論パンチ。


アークが吹き出した。


「確かに」


周囲の空気が、ふっと緩む。


俺はそこでようやく口を開いた。


「……俺は誰のものでもない」


静かに告げる。


全員がこちらを見る。


「決闘など無意味だ。時間の無駄だ」


ミレイユがしゅんとする。


アークは肩をすくめる。


アリスは、じっと俺を見ていた。


「……かっこいいですね」


ぽつり。


「今の台詞、ずるいです」


え。


なにそれ。


俺はただ事実を言っただけだ。


だがアリスは笑う。


「でも、ちゃんと自分の意思を言ってくれて嬉しいです」


その瞬間、胸の奥が熱くなる。


選択肢は出ない。


攻略ガイドもない。


でも。


「……ありがとう」


自然と出た言葉。


アリスの目が丸くなる。


「お礼言われた!」


騒ぐな。



騒動が収まり、皆が散っていく。


アークが隣に立つ。


「面白くなってきたな」


「何がだ」


「君が“キャラ”から外れ始めている」


……。


「それは悪いことか?」


「いや、良いことだ」


アークは笑う。


「ようやく本当の勝負になる」


勝負。


その言葉が、妙に重かった。


俺は空を見上げる。


原作では、こんな展開なかった。


だが今、確実に物語は動いている。


そして俺は、ようやく認め始めていた。


攻略とか、勝ち負けとかじゃない。


「俺は……」


言葉が、まだ形にならない。


だが一つだけ、はっきりしている。


ヒロインは攻略対象を落とす存在じゃない。


彼女は、選択肢そのものを壊す存在だ。


そして俺は——


もう、ただの“攻略対象”ではいられない。

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