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第14話「聖誕祭」


 いつもよりずっと早い朝。まだ夜が明けきらないうちから、私はメイドたちに起こされた。薄い眠気を振り払って窓辺へ向かうと、淡い光がわずかに差し込んできている。今日は聖誕祭──神殿で行われる儀式で、新たに聖女が誕生する特別な日だ。


 「お嬢様、聖誕祭での儀式は午前から始まりますので、お早めにご支度を!」

 メイド長のシーナがにこやかに言いながら、数名のメイドとともに部屋へ入ってくる。 私もまだ少し眠い目をこすりつつ、椅子に腰掛けて身支度を開始する。

 先日仕立てていただいた儀式用の白と金のドレス。神殿が“聖女誕生の儀式”で着用する服装には露出の少ないものが求められ、さらに白と金の色合いが神聖さを表すと決まっている。 長袖のシルク地に、金の刺繍が襟元や裾に散りばめられ、胸元は控えめにしか開いていない。背中にも過度な開きはなく、じつに上品な仕上がりだ。

 「うわ……やっぱり改めて見ると、すっごく神聖な感じ……」

 私が思わずつぶやくと、シーナやメイドたちは誇らしげに微笑む。

 髪型はハーフアップにして、余計な飾りは一切なし。神殿の儀式では、下手に花飾りや宝石をつけると失礼に当たるとも言われているので、髪を緩くまとめただけにしている。 メイドのリリアンが優しい手つきで櫛を入れてくれ、銀髪をそっと束ねながら笑顔で言った。 「お嬢様、今日はとても凛々しくて綺麗ですよ。まるで小さな女神様みたいです……!」 「ありがとう、リリアン……でも、こんな衣装、慣れなくて少し恥ずかしいかな」

 照れ笑いしながら、白と金のドレスの裾を確認する。軽やかとはいえ、裾が長めなので足さばきには気をつけないといけない。 「さぁ、あとは靴を履けば完成ですね。国王様なども既に神殿へ向かわれていらっしゃるようなので、旦那様と奥様もお先に行っておりますので、お嬢様は馬車に乗って、のちほど神殿で合流となっております」

 シーナの言葉に頷いて、私は馬車へ向かう。侍女リリアンと護衛のロンド、ディーオがいつものように付き添ってくれる。神聖な儀式とはいえ治安対策は必要だし、何より彼らに守られると心強い。


「お嬢様、今日もいちだんとお綺麗ですね。ドレスの裾が長いので気をつけてください」「うん、ありがとう。……緊張しちゃうなぁ……」

 私は目を伏せて照れ笑いしつつ、馬車の柔らかいシートへ腰を下ろす。つややかな内装と、窓から見える晴れやかな空が、祭典の特別感を高める。 ゆっくりと馬車が動き出すと、心もわくわくして落ち着かなくなる。中央都市ゲイバリンドは王城や神殿が集う場所で、こういう大規模イベントの日には露店や音楽隊があちこちに溢れ、さながらお祭り騒ぎだ。


 (ブレイディアもきっと神殿に来るよね……王族だし。……久々に会える? いや、すれ違うだけかもしれないけど……)


 考えるうちに、ふと口元がほころんでしまう。ロンドとディーオに不思議そうな顔をされるが、私は気づかぬふりをして、はにかんで馬車の外を眺めていた。


 揺られること約一時間、中央都市ゲイバリンドの神殿へ到着した。 朝の光に映える純白の建物の正面は、大きな石柱が何重にも連なり、その柱には四大精霊を象徴するレリーフが刻まれている。門前では豪華な馬車がずらりと並び、多くの貴族や神官が儀式の準備で右往左往している姿が見えた。

 私もリリアンらとともに神殿の内部へ足を踏み入れると、一気に空気が変わった。高い天井からステンドグラス越しに光が降りそそぎ、床には七色の模様が浮かび上がっている。

 また、フロアの四隅に建てられた純白の4本の柱には、四大精霊のレリーフが刻まれている。風の大精霊ゲイル、火のフレア、水のアクア、そして地のガイア。それぞれが王国の建国伝説を象徴していて、見るだけで神秘的な気持ちになる。

 「……すごい、やっぱり神聖な雰囲気だ……」

 心が洗われるようで、思わず小声で呟く。リリアンも「ええ、本当に素敵です……」と同意してくれた。


 その後神官の案内を受け、私は最初に大精霊への礼を行うため本殿へ向かった。 そこで司祭が厳かな声で祈りの言葉を唱え、私とリリアンたちも頭を垂れてそれに合わせる。どこからか聖歌が低く響き、息を飲むほど美しい。

 「……本当に神聖な場所……。前世では想像もできないほど……ファンタジーなんだなあ……」 思わず心の中で感嘆しながら、私は四大精霊の像に短く祈りを捧げる。もし神がいるなら、ブレイディアや皆の幸せを見守ってほしいと願わずにいられない。




 大精霊への挨拶を終えて廊下に出ると、そこで父エルビスと母マチルダの姿を見つけた。 母は魔法協会の幹部役員として、多くの神官と打ち合わせをしていたらしく、体のラインに沿った白と銀のドレスに身を包んでキビキビ動いている。父は国王の側近として王室の準備を手伝っていたようだ。

 「お父様、お母様!」

 私が声をかけて近づくと、エルビスが「ああ、エマ。道中は大丈夫だったか?」と短く尋ねる。母は「よく来たわね」とにっこり笑い、なんだか微妙な温度差を感じる。

 (私には二人とも優しいのに、互いにはほとんど言葉を交わしていないんだよな……。なんでだろう……)

そんなことを考えていたエマにマチルダは優しく語りかける。

 「……エマ、夕方の任命式までは自由にしていても構わないけれど、途中で呼ばれたらすぐに席についてね。神殿の奥にも人が多いから迷子にならないように……」 母はそう言い、再び神官たちとの談義へ戻っていった。父も国王への報告があるのか、早足で去っていく。

 (うーん、いつもこんな感じ……。でも、二人とも私には優しいし。何が原因なんだろう?)

 改めて夫婦仲の不思議を感じつつ、私はリリアンやロンド、ディーオとともに神殿の外へ出て、聖誕祭の賑わいを見物することにした。



 聖誕祭とは夕方に行われる“任命式”がメインだが、昼間からすでにお祭りの空気に包まれていた。 神殿の外には大勢の人が行き交い、色とりどりの露店が立ち並ぶ。屋台では焼き菓子や果物ジュース、可愛い小物や魔道具の小さなアクセサリーなどが売られ、観光客や子どもたちの歓声が絶えない。

 ロンドとディーオは護衛しつつも、こっそり楽しげに屋台を覗いているし、リリアンは「お嬢様、見てください! この人形劇、すっごく可愛いですよ」と興奮気味に手を引く。 私は笑顔で「わあ……いいね!」と応じながら、ふわりとした白のドレスの裾を気にかけて歩く。 通りを歩く人々がときどき私を見て「公爵家のお嬢様かな?」と噂するのが聞こえるが、気にしない。こんな賑わいの中にいるだけで心が躍る。

 人形劇ステージでは、大精霊と初代聖女の物語を子ども向けに面白おかしく演じていた。私が前のほうで眺めれば、ロンドとディーオが「お、お嬢様、そんなに前に……!」と焦る。だけど人形の動きが可愛くて、ついつい見入ってしまう。

 「はは……こんな風に建国伝説を伝えるんだ。前世でいう紙芝居みたいなものかな……」 ひそかにつぶやく私に、リリアンが首をかしげる。私は“前世”の話だなんて言えないから、苦笑で誤魔化した。



 やがて太陽が西へ傾き始め、神殿へ戻ってみると、すでに大勢の貴族や王家関係者が本殿に集まり始めていた。 私も受付のような場所で氏名を告げ、指定の席に通される。少し奥まった一角で、父と母の立ち位置に近い場所だ。

 大司教の長い祈りが響くなか、数名の少女が壇上へ呼ばれて、神官たちとともに“聖女が誕生するかどうか”を確かめる儀式が行われる。 噂どおり、ウォータブル公爵家の次女・リア・ウォータブルが特に注目を集めていた。深い緑色の髪と落ち着いた気品のある彼女が中央に立つと、司祭が手をかざして魔力を探る。

 すると、彼女の手元から淡く光が立ちのぼり、みるみるうちに神殿の空間を照らし出すほどの強さへ変わった。 「リア・ウォータブルよ。あなたこそが新たなる聖女……!」 大司教が厳かに言葉を発した瞬間、会場は息を飲むような静寂に包まれ、次の瞬間には大きな拍手と称賛が湧き上がる。

 私は椅子から身を乗り出すようにして見つめ、心底驚嘆していた。まるでオーロラが彼女を包みこんだかのように美しく、眩しい。 (すごい……本当に“聖女の覚醒”ってこんなに神秘的なんだ……)

 先代の聖女が亡くなってから、新しい聖女を迎えることは国にとっても重大な意味を持つ。リアはたった12歳ながら、周囲へ慈愛を振りまくような微笑みで、王や大司教にお辞儀をしている。 こうして、聖女任命式は大きな成功を収め、夕刻の鐘が神殿に鳴り響く。




 儀式が終わったあとは、“パーティー”が夕刻にかけて行われるのが通例だ。儀式用の白金ドレスでずっと過ごすわけにはいかず、私は神殿の隣にある控室でピンクのドレスへのお色直しを始める。 リリアンたちがすかさず手伝いに入り、髪型も飾り付きの形へ変えてくれる。

 「お嬢様、お着替え完了です! 今度はピンクのドレスで、アクセサリーも可愛らしく仕上げました。髪も少しアレンジして、花飾りを入れましたよ」 鏡を覗き込むと、昼間とはまた別の華やかさが感じられる。袖は長めながらも襟元にフリルが大きく、幾重にも重ねたシースルースカートが動くたびに揺れる。

 「ありがとう……聖誕祭のパーティーだから頑張る!」 微笑む私に、リリアンは満足げにうなずいた。



 用意が整った私は、父や母と合流して祝宴の会場へ向かう。そこは広いホールで、天井に豪華なシャンデリアがきらめき、白と金を基調とした柱や壁に花の装飾が施されている。 たくさんの貴族たちが談笑し、中央に大きなスペースが空いているのはダンスのためらしい。色とりどりの衣装を纏った人々が行き交うさまは、まるで豪華な舞踏会だ。

 私は列に並んで、新聖女となったリア・ウォータブルに祝福の言葉を伝える。 「リア様、このたびは聖女任命おめでとうございます。近くで光の覚醒を拝見して、すごく感動しました……!」 小さく頭を下げると、リアはほんのりとした笑顔を浮かべ、優しく返してくれる。

 「ありがとうございます、フローリアス公爵家のエマ様……ですよね? そのドレス、とっても可愛いですね。……私も、まだ実感が湧かなくて少し緊張していますけど……皆様に癒しを与えられる聖女となるように勤しんで参りますね」 柔らかな声には、慈愛と同時にまだ幼い不安も見え隠れしている。私は心からの祝福を込めて何度も頷いた。






 挨拶が一通り終わった後、私の父エルビスは相変わらず母マチルダと会話を交わさないまま、王の側近として座を外す。母は協会の幹部らと情報を交換しているらしく、私も一人で料理のあるテーブルへ向かった。

 そこには美味しそうな色とりどりのご馳走がずらりと並んでいて、私は興味津々に眺める。甘い香りや焼いた肉の香ばしい匂いにお腹が鳴りそうだ。 “さあ何を取ろうかな”とワクワクしていたとき、背中のほうから声がした。

 「フローリアス嬢……!」

 私ははっと振り返る。その声はとても懐かしい。 目に飛び込んできたのは、金色の髪を丁寧にセットして、豪華な衣装に身を包んだ王太子ブレイディア。魔法で髪や瞳を隠していたあの頃とは違い、今は王太子らしくまばゆい光をまとっているようにさえ見える。

 心がどきりと騒ぐ。けれど、私は微笑んで「殿下……お久しぶりです!」と小さく頭を下げる。

 フローリアス公爵家では友達として楽に話していた私たちだが、公式の場であり、人目も多くあるこの場では以前のように話を進める。 ブレイディアは少し照れ臭そうに頷き、言葉を探している様子。「なんだか久々だね」と微苦笑していると、横からぶっきらぼうな声が飛んできた。

 「……なに、殿下。そんなに嬉しそうな顔して。料理取りに来たんだろ?」

 振り返ると、黒髪に赤い瞳という鮮烈な容姿の少年が立っている。漆黒の髪を短くそろえ、どこか火の匂いを感じさせる雰囲気。 私はすぐにゲーム内の“ドS炎魔法使い”を思い出して心がザワつく。彼こそエデン・ストロンガウト。ブレイディアの友人であり、火の公爵家の次男。

 「初めまして……フローリアス公爵家のエマです。エデン・ストロンガウト様ですよね……?」 敬意を払って一礼すると、エデンは退屈そうに目を細め、「ふん……ま、そうだけど。」と低く呟く。 やけに尖った態度に驚きつつも、ゲーム知識を考えれば“最初からひねくれた性格”なのはお約束だと分かる。よそよそしくならず、あくまで礼儀正しく会釈する私。

 「またそんな言い方….フローリアス嬢、実はエデンと僕は昔からの知り合いで……」とブレイディアがフォローしかけるが、エデンはあからさまに『やめろ』という目を向けて無言の圧をかける。 あまりもの態度にイラッとしたエマは、ついついエデンに怒りの笑みを浮かべてしまう。

 けれどブレイディアはさすが王太子というか慣れているのか、エデンの態度を気にせず私に向き直り、「ね、フローリアス嬢。料理取りに行こうか」と誘ってくれる。 私も「はい……ぜひ!」と笑顔を返し、エデンには「では失礼します」と小さく挨拶をして、会場のテーブルへと向かう。

 食事を取り分けている時、ブレイディアは小声で「悪いやつじゃないんだけどな…」とエデンに対してのフォローを入れて苦笑していた。






 ある程度食事も済み、王太子を独占するわけにもいかず、すぐにブレイディアと解散した私は1人でぼーっと中央を見つめていた。

ブレイディアの姿を所々で見るが、表情も柔らかくなり、愛想笑いではあるが以前のような冷たさは感じなくなった。

父である国王とも、笑顔で会話をしているのが見られ、幸せに生活ができているのだと感じる。

 ちらっと他の貴族を見ると、そんなブレイディアの変わりぶりに驚いている様子もあるが、そんなことは気にしないとブレイディアは平然と行動していた。

 それに比べてエデンは、他の令嬢に声をかけられても先ほどのようにぶっきらぼうに答えている。

 公爵家の次男があれでいいのかと思うが、彼のゲーム内での姿を知っている私はさほど驚きはなかった。

(しかし、実際に目の前にするとなってクソガキだ…社会の恐ろしさでも教えてやろうかな)

エマは、公爵令嬢らしからぬ考えを巡らせていた。

 そんな中、祝福の列が一通り終わり、リアは公式の場で王や司祭と話を交わす。すると司会役の貴族が声を張り上げ、「これより、新聖女リア様を称えて“ダンス”の時間といたします!」と宣言する。 ホール中央では、リアが舞台に上がり、さて誰と踊るのだろう……と思っていると、 「お相手は王太子殿下、ブレイディア・ライタンド・ゲバリーンド様でございます!」 という声が響き渡った。

 「……えっ、ブレイディアが……?」

 ブレイディアはまだ身長が低くて、リアとは3歳差がある。並んでみると、リアのほうが数センチ高いかもしれない。しかし、二人でステージ中央に立つだけで場が華やぐ。 (すごい……まるでゲームのワンシーンみたい…!)

 王太子としてのブレイディアは、肩に金色のショールをかけ、少し大きめの上着を品よく着こなしている。リアは純白の衣装を着ており、二人が向かい合うと“絵画”のように完璧だ。 曲が始まると、ブレイディアは小柄ながらもしっかりとリードし、リアは包み込むように歩幅を合わせる。3歳差のぎこちなさはあれど、見つめ合う瞳にはどこか微笑ましい雰囲気があって、まるで光の舞踏を見ているかのよう。

 「……すごく似合ってるなあ……。あの二人、見てるだけで本当に綺麗……」 私は感激で胸がいっぱいになる。そっとロンドやディーオに耳打ちすると、彼らも「さすが殿下……」と苦笑しながらもうっとり見守っている。

 ダンスが終わると、周囲から大きな拍手と賞賛の声が響き、リアは微笑んで頭を下げる。ブレイディアもきゅっと手を離して、二人で笑顔を交わしたあと、リアは次の踊りに入り、今度は自分の本来の婚約者とステップを踏んでいく。


 私がそんな様子をホールの隅から眺めていると、ふとブレイディアがこちらへ向かってくる。さっきまで舞台で輝いていた王太子が、急に近づいてきたものだから、周囲の視線が一斉に刺さるのが分かる。

 「エマ、久しぶり……あ、式の間は話せなかったね。どう? 楽しんでる?」

 普段なら“殿下”と呼ぶべきだけど、みんなリア様に夢中なので気軽に話す。

 「うん……皆楽しそうだし。リア様も素敵だった……! ブレイディアもすごく上手に踊ってたね」

 褒めると、ブレイディアは少し頬を染めて首を振る。「そうかな? ほら、僕まだ背が低いから聖女が気を遣って合わせてくれてたよ。」

 綺麗なダンスだったと褒めれば喜ぶかと思ったが、なぜか淡々と返してくるブレイディアに不思議に思う。

 ふと、ブレイディアが私の服装を見て、軽く目を細めた。「そのピンクのドレス、すっごい似合ってる。……ねえ、エマは踊らないの?」 「え? 私? うーん、私は踊る相手もいないし……見てるだけで十分、楽しめるよ」

 そう答えると、ブレイディアは「あ、そう……」とわずかに残念そうな面持ちを見せた後に、こちらに並んで同じ方向を見つめる。


 その姿は、王太子と公爵令嬢が二人並んで立ち話をしているだけ。けれど周りの貴族の令嬢たちからは、ちらほら嫉妬や疑問の視線が飛んできていた。

 エマの端で、ほかの令嬢がブレイディアへ声をかけたそうに立ちすくんでいるけれど、彼はまったく気づいていない風。あるいは気づいていてもスルーしている。 令嬢たちはぎゅっと手を握りしめて、軽い嫉妬を滲ませた表情をするが、エマはそれにまるで気づけず、隣でブレイディアと談笑しているだけ。

 些細な会話を交わし、私とブレイディアは仲良く「踊る人たち」を並んで見つめていた。自分たちが注目を集めているなんて知らないままなのだ。


 それからどれほど経ったか、やがて夜更けに近づき、聖誕祭の祝宴もお開きの時間となった。ダンスは次々にペアが変わり、最終的には新聖女リアが自分の婚約者ともう一度優雅に踊る姿で幕を下ろす。 

 “次の聖女”が無事に覚醒し、王太子やエデンなどゲームの主要人物と再会できた一日。

 (ブレイディアも、リア様も、エデンも……これからどう絡んでくるんだろう。だけど、私がやれることをやって、みんな幸せになってほしいな……)

 そんな小さな祈りを胸に、聖誕祭の夜は静かに更けていった。


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