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全てがアホらしい

ソフィアナは今日から1週間休むことにした。


こんな記事が出た手前、旦那様であるエリオールは帰ってきて何かしらのアクションを起こすかも知れないが、心底どうでも良かった。彼は、言い訳を並べるかも知れないし、はたまた開き直るかも知れない。けれど、それら全てがどうでも良かった。


そもそも、ソフィアナとエリオールは言い合う程の仲を形成していない。

15歳でデビュタントを果たしたソフィアナは、そのまま1ヶ月も経たずに侯爵家へと召し上げられてしまった。

そもそもが社交界進出と、結婚相手探しをするためのデビュタントである。ソフィアナの両親、どちらかと言えばお転婆娘の将来を憂いていた母が、諸手を上げて嫁に出した。


結婚を打診してきた前侯爵にどうしても早く嫁に来て欲しい、安心させて欲しいと懇願されてしまい、いざ結婚した直後、体か悪かった前侯爵が亡くなり、それはもう甘い新婚生活をするどころではなく。

当然あまり会えないエリオールとは何かを築ける筈がない。


ソフィアナはそれはそれは活発的な子供だった。

上に兄たちがいたのも影響が大きかったし、侯爵領から更に田舎で自然()()ない領地が大いに影響していた。

馬を育てるのに適した伯爵領は、広い平地に緑が美しい地だった。広い草原が風に靡くと、見たことはない海を彷彿とさせる。そんな風景を馬上でいつまでも眺めるのが、ソフィアナの楽しみだった。


『そういえば、随分と遠乗りに出ていないや……』


執事に1週間の休みを告げれば、記事の内容を知っているだろう中年の執事は何か言いたそうではあったものの、にっこりと「それが良いかと思います」と肯定した。


そもそもが小娘のソフィアナである。

勉強はしてきたが、まだまだ皆に任せて休んだとしても大きな影響はない。前々〜前侯爵が色々と整え、基盤のある事業は忙しいとはいえ、新参者がいなくてと仕事が回るように出来ている。

けれど、旦那様が頑張っているから自身も頑張らねばと、ソフィアナは休みも取らずにやってきた。全ては母親から口酸っぱく言われてきた「良き妻」になる為に。


しかし、いざやってみたらどうだろうか?

接する機会のない旦那様に「良き妻」を見せるとなると、仕事をこなすしか選択肢がない。

文句も言わず、羽目も外さず、ただ仕事をしていく。

社交界も王族や懇意にしている貴族以外ソフィアナは交流がなく、その他の催しは全て旦那様であるエリオールが1人で出ているのだ。


きっと、王都内では自分達2人の不仲説がまことしやかに広まっているに違いない。儲かっている筈の侯爵が、妻を着飾り見せびらかすこともせず、1人で社交活動しているのだから。

しかも、エリオールはまだ25歳。これからが働き盛り男盛りである。

不仲な夫婦に割って入ろうとする女性が、1人2人いるかも知れない。


『だってそもそも……』


そこまで思い至り、ソフィアナは怒りが込み上げてきた。自分はこんなに頑張っているというのに、これでは頑張っても頑張らなくても一緒ではないだろうか?


「よし、旅に出よう」


ソフィアナは良いこと思いついた!とさっきの怒りはどこへやら。ウキウキとして荷造りをしようと、メイドのジーナを呼び出した。




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