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落とし物
宜しく御願い申し上げます!
東京という都市の街の朝は、意外にも遅いものだ。 終電の時間を過ぎても尚、五月蝿い程の賑やかさを失わなかったあの街も、朝六時にはもうすっかり、過疎に悩む地方都市ででもあるかのようにひっそりと静まり返った感じを呈するのである。「昨日は呑んじまったなぁ」 あまりに話し声が聴こえてこないものだから、いっそのこと自分で声を出してしまおうか、とばかりに思わず漏らした独り言が、朝霧の中に消えたかと思った矢先の出来事であった。俺は、 「あ!UFOだ!」 と叫んで、虚空に向けて指をさすというというお決まりの聴衆への驚かしのはったりを噛まさなければならない事態に陥ってしまったのである。薄曇りの空を、まさにUFOとしか言いようのない円盤状の飛行物体が、西から東に向かって一直線に飛翔していくのをみてしまったからなのである。
御読み頂きまして、誠に有難う御座いました!