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叶わぬと知りながら~君想ふ~  作者: 蒼井真ノ介&天城なぎさ
16/24

夏、君と。

前書き・・・短い話ですので、パパッと読んで頂けると思います。


あれ、美夢? 何してんの?」


 撮影に夢中になっていて、晴君が近づいてきたことに、気づかなかった。

 撮影を止め、晴君と少し話す。


「こんにちは。晴君。皆と遊んでいたんでしょ? 行ってあげなよ。待ってるみたい」

「少し休憩。この暑さだと、倒れちゃうでしょ。木陰だと、涼しいぃ。美夢は、大丈夫?」

「平気だよ」


 カラッとした暑さの中、木陰にいる私たち。

 子どもたちは、そんな中でも元気いっぱい。


「晴君は、宿題終わった?」

「宿題ねぇ。そんな言葉が存在するなんて、人間はどこで道を踏み間違えたのか……」

「面白い言い方だね。なんだか、年上の人と話してる感覚になるよ」

「同い年なんだけどね」


 遊び足りないのか、男の子が一人、近づいてきた。


「お兄さん、もう一回遊ぼ」

「もう少し休まなきゃ。倒れちゃうでしょ」

「でもさー」

「だーめ。まだまだ夏休みは続くんだし、今日はこのくらいでやめよう」

「はーい」


 踵を返した男の子の、しょんぼりとした背中を見送る、私たち。


「はぁ……」

「どうしたの? 美夢」

「ん? えっとね、実は、お母さんとお姉ちゃんが、こっちに来れなくなっちゃって」

「なんで? 何かあったとか?」

「お姉ちゃんは、部活を休めなくなっちゃって。お母さんも、仕事が忙しいみたい」

「それじゃあ、美夢だけなんだね」

「うん。もうすぐ夏祭りもあるのに、お母さんもお姉ちゃんも、来れない」


 毎年一緒だったから、なんだか寂しい。昨夜、連絡をもらった時から、ずっと。


「それならさ。また、俺と屋台を見て回ろう」

「えっと、いいの?」

「嫌ならいいけど」

「嫌なんかじゃないよ。ただ、去年のことがあったから」

「もう、大丈夫なんじゃないの? 俺と話してる美夢、平気そうだし」


 そんなことを、晴君は知っている。なのに、私はその事に気づけなかった。

 平気なのはきっと、私が晴君を受け入れられたから。


 多分、私は、晴君を……。


「今度は何食べたい?」

「見てから決めたいよ。今からじゃ決められない」


 夏祭りが、今からとっても楽しみだよ。

後書き・・・読んでくださり、ありがとうございました。次回は蒼井真ノ介さんが執筆します。お楽しみに!


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