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叶わぬと知りながら~君想ふ~  作者: 蒼井真ノ介&天城なぎさ
12/24

せせらぐ川辺の再会

前書き・・・お待たせしました! 今回は少し短めになっております。


 雪の川は、とても小さな小川。

 野草が生い茂る川原に、私は座った。


 大きな入道雲が高くそびえる青空の下、セミの鳴き声が、辺りに響きわたっている。


「この川、初夏だと蛍が飛び交うんだ」


 私の背後から、以前にも聞いたことのある声が。

 振り向くと、やはりその人。


「速水君」

「久しぶり。美夢」


 一年前、出会った男の子。速水晴君。


「こんなとこで何してんの?」

「日向ぼっこ……?」

「熱中症になるぞ?」

「わかってるよ」


 私の隣に座った速水君は、少し大人びたような感じがする。

 私なんて、何も変わらないまま、時が流れていくだけだったのに。


「百年前、この川で亡くなった女の人がいるんだよね」

「子どもを助けて、流されたんだよ」

「こんなに、綺麗な川なのに……」

「自殺じゃなかっただけ、良かったと思うけどね」

「ここで雪さんが出会った男の人の名前、『はる』さんだよね。速水君と同じ名前」

「俺は天気の晴れだし、その人は四季の春。偶然って怖いな」


 速水君といると、なんだか落ち着く。

 あの日もそうだったように。でも、あの日は、上手く感情をコントロール出来なかったけれど。


「あのさ、速水君」

「何?」

「ごめんなさい」

「どうしたの? 急に」

「去年のお祭りで、私、速水君に黙って帰っちゃって」

「あー。そんなことあった。俺は忘れてたし、気にしてなかった。美夢は、そんなことを気にするんだな」


 笑う速水君は、そのまま横たわると、すぐ仰向けになった。


「もうすぐ雨が降る。帰った方がいい」

「わかるの?」

「わかるよ。風が変わったから」

「それだけで?」

「上空の風向きが変わったし、湿った風になったから、雨雲がこっちに来る。だからわかった」


 速水君の言った通りで、暑く湿った風が吹いている。

 このままだと、確実に雨。


「また明日、会おうよ。速水君」

「いいけど、そろそろ名前で呼んでくれない? 距離を感じる」

「晴、君」

「よくできました。じゃあね美夢。また明日」

後書き・・・読んでくださり、ありがとうございました! 次回は蒼井真ノ介さんです

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