3話 空
知らない天井だ。
俺はちょっと言ってみたかったセリフである。どうやら体が赤ん坊だから話すことはできないが...
何はともあれ、俺はあの銀髪の女性に助けられたようである。
ここはあの女性の家だろうか。おそらく、窓から森が見えるので森の中に立っている小屋みたいなものだろう。など思っているとドアが開きあの女性が入ってきた。
「可哀相な人族の子よ。あんなとこに捨てられてしまって。つい、拾ってしまったではないか。」
いやー、マジでありがとうございます。あそこで助けてくれなきゃほんとにヤバかったぜ。
ん?人族の子?やけに固い話し方だな。普通に子供でよくないか?
「拾ってしまったのもなにかの縁だろう。仕方ない...飼ってやるか。」
お、この人が育ててくれるみたいだ。ん?まてよ、今飼うって言ったか?なんかおかしいぞ。
「とりあえず巣に持って帰るか。む?こいつの名前はなんなのだろう?」
そういって女性は俺を抱き上げると、俺の服から紙切れが出てきた。
そして、女性はその紙切れを見てこう言った。
「ふむ、こいつの名前はガルスか。いい名前ではないか。」
へぇー、俺の名前はガルスって言うのか。いかにも異世界って感じだな。
「では、ガルスよ。帰るぞ、我が巣に!」と言って小屋の外に出た。
巣っていうのはここじゃないのか?ていうか、巣って言い方おかしくないか。そんなことを女性に抱えられたまま考えていると、いきなり女性の体が膨らみ始めた。
そして、次の瞬間、俺は空を飛んでいた。
銀色のドラゴンに抱えられて...
その頃、ガルスが捨てられていた森に何人かの怪しい男たちがなにかを探していた。
「おい、そっちはどうだった!」
「いや、見つからなかった。」
「くそ、見つからないとあのバカが上に立ってしまうぞ。」
「おい、そんなこと滅多に言うもんじゃないぞ。なにをされたもんか分からない。」
男たちのリーダー格が言う。
「仕方ない。これ以上の捜索は断念するしかあるまい。」
そういって男たちは引き上げて行った。