20話 騎士としての初日 後半
今回、あまり上手くまとめられた気がしないので読みにくいかもしれません。
ごめんなさい。
先生の終わりの一言目が聞こえた瞬間に生徒の半分近くが教室を飛び出して言った。
俺はその光景を見て呆気に取られていた。
「ア、アイク…?これはどういうことだ!?」
俺はとりあえずアイクに聞いてみた。
「これは王立学院名物の昼の席取りだ。食堂の席は全員分はないから先に座った者勝ちなんだよ。」
そう言うと今度は教室を見回して、
「学院の食堂はタダだからあまり余裕のない平民の子達に取ってはオアシスのようなものなのさ。逆に余裕がある者達は有料のカフェがあるからそこで食べることもあるそうだ。」
だそうだ。
「それで、ここでゆっくりしているお前は余裕のあるってことでいいのか?」
「そうだ。と言いたいところだが国民の税で贅沢するわけにはいかないからな。食堂を使うぞ。」
「でも走ってないじゃないか。どうするんだ?」
俺は疑問を持った。
「そんなの決まっているだろ。もはや人外の力を持つお前が取りに行くんだよ。今日は知らなかったから仕方ないがな。」
だとよ…
「はぁぁ!?俺が行くのか?え、これも騎士としての仕事?いや、絶対嘘だろ。これじゃただのパシりじゃんか。」
はい、俺の仕事でした…まあ場所さえ分かれば時空魔法の瞬間移動で余裕なんだけどな。そんな長距離でも無いだろうし。
「分かったよ。明日から取ればいいんだな。けど、今日はどうするんだ?さすがに飯抜きは嫌だぞ!」
「今日は誠に遺憾だが裏ワザを使う…」
裏ワザ…??
とりあえず、食堂に向かうとのことで俺とアイクは食堂に向かった。
食堂に着くと本当に人がたくさんいて俺は唖然とした。
恐らく学院の生徒のほとんどが来ているのだろう。
「それで?どうすんだ?」
アイクに裏ワザというものを聞いた。
「あぁ、自分の立場を使っているようで気が引けるが適当にその辺を歩いて相席していいか聞く…」
おおっと、ここで王太子という地位をフルに使って相席を試みるようだ。いいぞ、そういうやり方キライじゃない。
ということで、俺とアイクは並んで歩いて席を探す素振りをし始めた。するとすでに席に座っている人たちがソワソワし始めた。
恐らく彼らは、
「お、おい!殿下が席を探しているぞ!ど、どうする?声掛けるか?」
みたいな感じで…
ただ、やはり王太子という身分のアイクに話しかけられる肝の座った者はいなく皆が遠慮しあっていると言う感じだ。
「おい、アイク…距離取られてるぞ…」
「だ、だな…まさかここまで話し掛けづらい人間だったのだな。」
そういうわけではないと思うけどなかなか掛けづらいよな。
と思って食堂を三周回り始めた時、
「殿下~お昼ご一緒しませんか~?」
という声が聞こえるではないか。俺は空間把握をフルに使いその声の出所を探す。
「見つけた!アイク、行くぞ。」
声を掛けてくれたのは同じSクラスのエミリーという女の子だった。謁見の時に出会ったピーター軍務大臣の二女だという。ちなみにメーガス伯爵家という家名らしい。
あと二人知らない子がいる。
「オーバン子爵家が長女イアルです。」
「ゴート男爵家が長女アンです。」
だそうだ。この二人はSクラスではないがエミリーと学院に来るまえからの知り合いらしくこうしてお昼を食べていたらしい。
そして、急にエミリーがアイクという王族を呼んだからか緊張でロボットのような動きになっている。
何はともあれ席を確保できたところで俺は気づいた。
「おい、アイク。スミスはどこ行ったんだ?」
そうスミスがいないのだ。よく考えればお昼になったときにすでに居なかった気がする。
「スミスには別の仕事をいま出している。次の授業までには戻ってくるだろう。」
別の仕事か…俺も近いうちにそうやって仕事を出されたりするのかな。
こうして俺たちは昼飯を食べながら色々な話をして仲を深めたのであった。ちなみに昼飯はオムライスのようなものでとても美味しかった。
午後の授業の一発目は訓練場で実技訓練だった。とはいってもガチガチに武器を振るったり、魔法を放ったりするわけではなく体力や魔力がどのくらいあるのかと自分の弱点を見つけようといった主旨の授業だったのだが…
「ガルス君?無理しなくて大丈夫なんだよ?ほら皆もうギブアップしてるし…え、まだ二割も減ってない?」
というような会話ばかりしていた気がする。
結局計測不可といった感じで打ち切られた。まぁ知りたかったら鑑定すればいいだけなんだけどさ。
本日最後の四時間目は選択授業という事でガイダンスが始まった。
先生が教室にやって来ると手のひらサイズの水晶を持ってきた。
「この時間は選択授業となりますがまずこの水晶で自分の適正を知ってもらって選んでもらおうと思います。」とのこと。
持ってきた水晶はこの国の地下に存在するという最高難易度のダンジョンから持ち帰られた水晶でその製法は未知らしい。
この水晶から分かることは召還術の適正らしい。
その話がされると皆が沸き立つ。
なぜなら召還術の適正者はとても稀で簡単な術であってもいろんなところに好待遇を受けられるのだという。特にスパイ活動と言ったものだが…
そんな大盛り上がりの中、水晶での適正チェックが始まったが次第にその盛り上がりは沈黙へとなっていった。なぜなら水晶がうんともすんとも言わないからだ。
適正のあるものが魔力を通すとそれに適する分だけ水晶が光るらしい。
毎年一人か二人が引っかかるらしいが居ない年が多いそうだ。
皆があきらめムードになってきたその時、
「イヤァァァァァァ!!」
悲鳴なのか喜びなのかといった奇声を上げた子がいた。
「あ、さっき昼飯一緒に食べたアンじゃないか?」
アイクに聞いてみる。
「ん?おお、ほんとだな。すごいぞ。水晶が輝いているからかなりの適正なんじゃないか?」
いいなぁ、俺も適正無いかなー
当の本人のアンは驚きと喜びが入り交じった表情で腰砕けになっている。あ、この適正検査は一年生全体でしてるからアンがいるんだ。
ついに1人目が出たことによってまた皆の期待が高まっているようだ。
そして、Sクラスの検査の番になった。これは単に適正なので優秀なものでも使えないことがある。五十音順で検査しているのだが俺は一番最後にされた…
ついに俺の番が来た!
ちなみにアイクとスミスは何もなかったし他のSクラスのメンバーも何もなかった。
俺は前に行き水晶に手をかざして魔力を流す。
すると、次の瞬間水晶が砕け散った。
「「「「………………………ハアッッ!?」」」」
「また、このパターンかよ…」
俺はため息をついたのだった。
読んで頂きありがとうございます。
よろしければ、評価やブクマなどお願いします!
また、何かありましたら感想にお願いします!
やはりガルスにも適正があったとのことです。
次回はガルスの召還術に注目したいところです。
ではお楽しみに!