17話 任命式後
謁見の間へ入っていくと前回初めて行った時よりも人が集まっていて少し驚いた。
謁見の間へ入って前回同様進んでいく。そして、玉座の前で跪く。すると、ユリウスの父にあたるサリウス宰相が文章を読み上げた。
「この者、ガルスをアイク・フォン・バトリシア王太子殿下の直属の騎士として任命する!なお、これは王命である!」
「謹んで拝命致します。」
俺がそう言うとアイクが剣を持ちながら前に出てきた。そして、その剣を俺の両肩にトントンと当てて俺に渡す。それから俺がその剣でアイクに向かい誓いの言葉を述べる。これでおしまいだ。
「私、ガルスは主をいかなる場面でも守り遂げることを違います。」
実はこの文は俺が作りスミスに修正してもらったものだ。
本来なら王族の護衛にでもなるともともとが騎士の者から選ぶためわざわざ任命式を行わないそうだが、俺の場合は何の役職がないため箔付けのために行っているようなものらしい…
やらなくてもよくね?
まあ、色々と思うところはあったけれど昨日のマルティンさんとの模擬戦のおかげか何事もなく任命式は終わった。
任命式の後はアレックス国王に誘われてお茶会となった。今後のことについて話すらしい。
この場にいるのはアレックス国王、ミーシャ王妃、アイシャ王女、ナーニャ王女、アイク、サリウス宰相、マルティン近衛騎士団長、スミスだ。
「ガルス君、式お疲れ様。なかなかない体験だ、疲れただろう?」
「はい、あんな大勢の前で式を行ったことはないので疲れました。」
「うむ。そうであろう。ところでこれからの生活についてだが…」
「父上、これは私から説明致します。」
アイクが口を挟んだ。
アレックス国王は頷いた。
「ガルスは一応私の騎士となったが特に仕事はない。あると言えば、私を守ってくれればいい。それ以外はまだ同じ学院に通う学友みたいなものだ。」
「アイクの言うとおりだ。よって王城に住んでもらうが遠慮はしないでよいぞ。」
「あ、ありがとうございます。護衛ということですが一日中アイクについていれば良いのですか?」
「まあ、王城内ならばそんなに気を使う必要はないと思うが基本はアイクに従ってくれ。」
「ということだ。ガルスよろしく頼むぞ。」
そんな感じで頼まれ俺が暮らす部屋など細かい話をした。
ちなみに俺の部屋は王城の外にある近衛騎士団の宿舎があるそうでその一室を借りることになった。その部屋で寝て朝にアイクの部屋に向かうことになった。
こうして事務的な話を終えた俺たちは雑談に移っていく。
「そういえば…ガルス、私が渡した剣をどこにやった?」
アイクに尋ねられた。
「任命式の時のか?手に持つのめんどいからしまった。」
「しまった…?」
ああ、まさか空間収納を知らないのか?
「ほら、ここに」
そう言って俺は空間から先ほどの剣を出した。
「「「「なっ!?」」」」
「これは時空魔法の一種ですね。」
大勢が驚いてるなか一人冷静にマルティンさんが説明する。
「さすがはマルティンさん。時空魔法を知っているんですね。」
「ええ、どんな相手と対峙していいように備えていますからね。」
丁寧な喋り方だなぁと思っているとアイクは思わず立ち上がり「時空魔法だと!?過去にも発言したのはほんの数人としか聞かない伝説級の魔法だぞ!」
「ん?そうなのか?まあ確かに便利な魔法だよな。」
「便利とかそんな次元じゃないぞ!!まさか瞬間移動ができたりしないよな!?」
「長距離は無理だけど短距離なら出来る。」
これを聞いたアイクはあまりの衝撃によろよろとしてイスに倒れこんだ。
「ま、まあなんというか、ガルス君がアイクの騎士で良かったな、ハハハ…」
アレックス国王もこの調子だ。
俺は話しにならないと思い一つ気になっていたことをマルティンさんに聞いてみた。
「マルティンさん、任命式で貰った剣ではなく自前の剣を使ってはダメなんですか?」
「ガルス君は自前の剣を持っているのかい?それがどんなものかによるけれども…」
「これになるんですけど…」
そういって俺は師匠に創って貰ったヴァランダルを出し、マルティンに手渡した。
すると、マルティンはヴァランダルを確かめる。
「とてもいい剣だね。装飾も派手すぎず帯剣しても問題ないだろうね。ちなみにこれはどんな素材で誰に打って貰ったんだい?」
「師匠の素材で師匠に打ってもらいました。これでもいいのかぁ。ならこれを使うか。」
「うんうん、使うといいよ。……ん?師匠の素材で?」
すると、復活したアイクが
「まさかその師匠ってあのドラゴンか?」
「ド!?ドラゴン!?」
マルティンは驚く。
「いや、師匠は母さんじゃなくて竜神様だ。」
「「「「「……………竜神?」」」」」
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次回はもう少しお茶会続く予定です。
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