10話 入学テスト
遂に今回から学園編を始めたいと思います。
まだまだ手探りで書いているのでどんな風に進んでいくかは分かりませんがどうぞよろしくお願いします。
「それではテスト開始!」
俺は今筆記のテストを受けている。テストの主な内容は簡単な算術と文章問題、大まかな歴史についてだ。算術や文章問題については日本の小学生レベルなので特に問題はないんだけれど、歴史はこっちに来てからちょっとかじった程度なので少し不安である。
そんなこんなで筆記テストは終わった。7割ぐらいは取れたんじゃないかな。そして、この後は魔法のテストだ。実はこれがすごい楽しみだったりする。なぜなら、初めて同じ年齢の子が魔法を使うところを見れるからだ。そんなことを思いながら俺は魔法のテスト会場へ向かった。
会場では既に順番にテストを行っていた。
テストの内容は、20メートル離れた場所から魔法を放ち的のできるだけ真ん中を撃ち抜く事だそうだ。評価は10段階で的に当てるだけでも5はもらえるらしい。
俺は列に並びながらテストの様子を見ていた。が正直言ってガッカリだった。どうやら平民の子のほとんどは魔法を的に届かせれば良い方で、貴族の子でも的に当てるのが精一杯のようだ。
恐らく平民の子はあまり魔法の勉強ができず、貴族の子でもよっほどの爵位を持ってる家でないとなかなか良い教師が雇えないのではないかと日本にいたときに読んだラノベを参考にそう思った。
そうこうしてるうちに、今朝話しかけた男の子の番がやって来た。よく分かんないけどすごい注目されてるな。それだけ期待していいのか?
「アイク殿下、準備はよろしいですか。」
「ああ、構わないぞ。では行くぞ!」
そういって、アイクは的に向かい魔法を放った。
「ライトニング!」
ライトニングと呼ばれた魔法は的へまっすぐ向かっていった。そして真ん中から少し外れた場所を撃ち抜いた。
「「「おおー!」」」
周りから歓声や驚きの声が上がる。
その間に教師が的に近づき着弾点を確認する。
「ただいまのテストの評価は8点です‼」
「おい、見たか今の魔法!」、「全く素晴らしいな。」、「私たちも見習わないといけませんわね…」などあちこちで感嘆の声が上がる。
「殿下、素晴らしい魔法でしたね。私、スミスは感動致しました。」
「よせよせ、私は10点を狙っていたのだ。まだまだだな…」
とそんな会話が繰り広げられていた。
ふーん、8点であんなに騒がれるのか。これはどうしたものかな…
ていうか、今殿下っていってた?もしかしてあの人王族なのかな?
周囲が驚いてる中で、ガルスは1人そんなことを思っていた。
その後もテストは進む。殿下?の後はすごいやりずらそうだった。1人だけ女の子が9点を出しとても盛り上がっていた。話を聞いている感じだと現宮廷魔法師の娘らしい。そして今のところその9点が最高評価だ。
そしてついにあの男の番がやって来る。
「それでは次のガルス君お願いします。」
「よろしくお願いしまーす。」
「テスト内容は分かっていますね?」
「大体は分かっていますが…質問良いですか?」
「はい、どうぞ。」
「これは的の真ん中を撃ち抜くというのがテスト内容だと思っています。と言うことは魔法のコントロール力を見ているということになりますよね?なら威力は評価対象に入ってないと言うことですか?」
「えっと…」
ガルスに質問された女性教師は予想外のことを聞かれて戸惑ってしまった。
少しの合間、女性教師が言い淀んでいると、後ろの方から
「ほほほ、良い質問じゃな。わしが代わりに答えよう。」
「理事長!」
その声に周囲の子供たちの視線が集中する。
「お、おい。あれは…」、「ここの理事長と言えばあの伝説の賢者じゃ…」、「賢者マリウスだ!」
という感じですごい盛り上がっている。
いや、俺のテストの時間なんだが…
「少し周りが騒がしいのう…まあいい、質問に答えよう。確かにこのテストは魔法のコントロール力を対象に評価してるのは事実じゃ。しかし、別に魔法の威力を見ていないわけではないぞ。」
「ということは威力もそれなりに見てるというかとですよね?」
「そうとも言うな。しかし面白い質問をする者じゃな。」
「いえ、少し気になったものですから。じゃあどのくらいの威力で撃とうかなぁ。」
「ほほほ、若者よ。手加減なぞ無用じゃ。そなたが撃てる全力で撃ってみよ。」
「え、いいんですか?いろいろ壊して後で文句言われたくないのですが…」
「そなたはなかなかの自信家じゃな。大丈夫じゃ、的の後ろにはわしが万が一のために魔力障壁を張っておる。気にせずに撃ち込めぃ。」
「では遠慮なく行かせていただきます。」
「なんだ、アイツすごい自信だな。」、「賢者様相手に何をほざいているんだアイツは…」
周りからは俺をバカにするような声が聞こえてくる。
テスト当初はあまりに目立つのは嫌だったから7、8点当たりで済ましておこうと思ったけどなんか喧嘩を売られた気分だから本気出しちゃおっと。
ふふふ、後で泣き目を見るなよ、伝説の賢者どの…
「ではいきます。」
俺は一時的に限界突破を使った。一瞬にして体内の魔力が増加していくのがわかる。
さて、何の魔法を使うか…そういえば殿下?はライトニングを使ってたな。ならば俺もそれに乗っかるとするか。
そして俺は、わざわざ言葉を放つ。
「ライトニング」
俺の右手から的に向かって目にも止まらぬ速さで電撃が走る。
ズガァァァァァン!!
「「「「「・・・・・・・・」」」」」
「お、おーい理事長さん?評価はどうなのかな?」
理事長は驚きのあまり固まっている。
「そ、そなたは何者じゃ。わしの障壁を砕くなど…ワイバーンのブレスさえ不正だのじゃぞ…」
いやいや、ワイバーンってそんなたいしたやつじゃないだろ。
「そんなことより評価は?」
「そんなもん10点に決まっておる。」
「おっ、やっぱり。やったね!」
俺はそう言い、その場を去っていった。
「理事長、彼は何者なのでしょう…」
「そんなもん、わしが知りたいわ!しかもあやつは的の中心をきれいに撃ち抜き、わしの障壁を砕いたのじゃ。」
そう、ガルスは的の中心、直径3センチほどの部分をきれいに円形に撃ち抜きかつ障壁を砕いたのだった。ということは、魔法の大きさと威力が釣り合ってないのだ。つまりガルスは障壁を砕ける分だけの魔力を圧縮して放っていたのだ。そしてその技術は賢者と言われるマリウスでも50年ほど掛かってようやくできた技術であった。
「ほ、ほ、ほ、今年は豪華な新入生ばかりだとは思っていたのじゃが、とんでもないやつが紛れておったな。」
マリウスは1人そう呟く。
「おい、スミス!今のを見たか。」
「もちろんでございます。とてつもない魔法の使い手がおりましたね。」
「ああ。是非ともアイツが欲しいな…」
「となりますと、アイツを殿下の部下ということでよろしいですか?」
「出来るならな。あんなやつだ、誰かの下につくなどとあまり考えられん。とりあえずは一度会って話したいものだ。」
「でしたら、明日の入学式の後に予定しておきましょう。」
「スミス、頼む。」
「かしこまりました、殿下。」
こうしてガルスの入学テストは幕を閉じた。
あちこちに波紋を起こして…
ついにガルス無双開始!?(の予定です)
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