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僕が異世界常駐でゲームのデバッグをさせられた件  作者: s_stein
第一章 異世界にもVRゲームがあった
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日本のカルチャーを積極的に取り入れる異世界

 僕がHMDをかぶり直すと、画面の中で女生徒が僕の手を握ろうとしている。

 すかさず『ポーズ』と念じる。

 すると、画面がポーズ状態になった。


 さっそく、チャットである。

『DBT>山田さん。このデバッグ室の外は日本ですか?』

 かなりしばらく待ったが、返事がない。ガン無視か?


 ならば、ズバリと言ってみる。

『DBT>異世界常駐でデバッグなんて、聞いていないのですが』

『DBT>このゲームもHMDも異世界で販売する用ですか?』


 誰もレスしない。

 バレたから固唾をのんでいるのか?


 そこで、証拠を突きつけてみる。

『DBT>今、アンジェリーナと名乗る女の子がそばに来ています』

 これで察しがつくだろうと思い、細かいことを書かなかった。


 すると、すぐにわさわさとレスが届く。

『イカヤ>あら、アンジェちゃんいるの? おひさ』

『センダ>そちらに遊びに行かれたと伺いましたが、もう到着なさったのですね』

『カケホ>アンジェをからかうと面白いっす』

 そういう問題じゃないだろ。


 僕が異世界に連れてこられたことが当然かのように無視されて、アンジェリーナの話題にすり替えられている。

 特に、肝心の御大が返事をしないのが気に入らない。


 少し揺さぶってみよう。

『DBT>皆様も日本人じゃありませんね』


 反応がない。

 きっとそうだろう。

 さっきアンジェリーナが言っていた『ローテンシュタイン』だっけ、なんだっけ。そんな国の技術者のはずだ。


『DBT>でもチャットは日本語ですね。とても日本語がお上手です』

 これには長々とレスが書き込まれた。

『イイン>こちらの世界とそちらの世界とは、昔から交流があったのです』

『イイン>日本とは今でも交流があります。日本語もたくさん学びました』

『イイン>そのおかげで、ゲームも盛んです』


『イイン>こちらでは、日本のゲームソフトをプレイするマニアが結構います』

『イイン>プレイヤーはみんなゲームをしたいために日本語を学び、読み書きもできます』


『ノシマ>日本の秋葉原みたいのがこちらにもできているってことで』

『ノシマ>日本マニアの聖地ってことで』


 ほほう。そんなことが。

 少し話に乗っかってみよう。何か聞き出せそうだ。


『DBT>日本の文化はこちらでもかなり入っているのですか?』

『イイン>かなり入っていますね。こちらの世界は良いものを見習う人が多いので、日本の文化であふれています』


 見習うを言い換えると、まねする、だ。

 昔の日本が外国のものを積極的に取り入れ、まねしているとまで言われたが、こちらの世界も同じなのだろう。


『DBT>登場人物がセーラー服ですが、実際の学校も?』

『イイン>こちらの世界では、女生徒は全員セーラー服です』


『DBT>男子は学ラン?』

『イイン>学ランってなんでしょう?』

『DBT>主人公の袖がそういう服なので』

『イイン>ああ、これが学ランですか。勉強になりました』


『DBT>良いものだから、まねたのですか?』

『イイン>そうです』

『カケホ>文化財団のお偉いさんの趣味じゃね?』

 ナイス突っ込み。それ、あり得るかも。


『DBT>このゲームのタイトルは日本語ですね』

『イイン>その方が受けがいいので』

『DBT>読めるのですか?』

『イイン>マニアは読めます。一般の人は無理ですが、見た目が格好いいと言う人がたくさんいます』

 見た目が格好いいって、僕の世界で外人が漢字のTシャツを着るようなものだ。


『イイン>でも、ゲーム中の言葉や文字はこちらのものです。一部、プログラムの流用で英語が混じっていますが』

『イイン>そろそろ、マニアからコンシューマ向けにするため、全部こちらの言葉と文字に置き換えようとも検討しています』

『DBT>だから、ロゴの文字が僕が読めない文字だったのですね』


『DBT>『翼をあげるね』って、僕が昼間にやっていたゲームですよ』

『イイン>それは、こちらでも人気があるのですよ。でも、日本語がわかる人にしか買ってもらえない』

『ノシマ>で、外伝を作ってしまったってことで』

『ノシマ>登場人物を大学生からこっちの世界の学生に置き換えたってことで』

 ってことは、オープニングで見た女生徒は、塩味(しおみ)リノをこっちの世界の学生に置き換えたんだ。


『DBT>こっちの世界では何年生?』

『ノシマ>後期3年生。こっちの世界は前期6年、中期3年、後期3年ってなっていて、最終学年ってことで』

 ギムナジウムみたいだな。


『DBT>年齢は?』

『ノシマ>18ってことで』

 ということは、僕の世界では高校三年生か。


『DBT>そうそう。『翼をあげるね』の登場人物の名前のトリビア知っていますか?』

『イイン>雑学のことですね? 何でしょう?』

『DBT>甘味(あまあじ)アミ』

『DBT>渋味(しぶあじ)シズ』

『DBT>香味(こうあじ)マイ』

『DBT>辛味(しんあじ)ヒロ』

『DBT>塩味(しおみ)リノ』

『DBT>縦方向に最後の文字を拾うと、『水色の』になる。最後から2番目の文字を拾うと『足参り』になる』

『イイン>ああ、ファンなら知っていますよ。タイトルのライトブルー・コンチェルトもそこから来ています』

『DBT>やっぱりそうでしたか』


 さすが、異世界でもファンは侮れない。



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