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僕が異世界常駐でゲームのデバッグをさせられた件  作者: s_stein
第一章 異世界にもVRゲームがあった
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トイレはどうする?

 途中休憩したい場合の方法を聞いてみた。

「トイレに行きたいときは?」

「普通にHMDを外してください。なお、これからプレイしていただくゲームは、トイレのドアがあるので開けてみてください」


「何が起こるのですか? そこに便器があって用を足せるとか?」

「さすがにそれは無理です」

「ですよねー」

「その辺が水浸しになります」

「ハハハ」

「ハハハ」

 お互い、初めて意見が一致した。


 山田さんは、またまじめモードの顔に戻る。

「食べるのもそうですが、こういう生理現象はまだ制御できません」

 『まだ』なんて、この人、本気で尿意を制御しようとしているのだろうか。

 恐ろしい話である。


「じゃ、ゲーム内のトイレはどうなっているのですか?」

「それは……ゲーム中に開けてみていただければ」

 またか。

 どうなるかも伝えず、やってみろと。


「やってみればと言われましても、仕様がわからないとデバッグできませんが」

「……仕方ないですね。このゲームの場合、トイレのドアを開けると、HMDの前に今自分の目の前にある光景が現れます。ルームビューみたいに画面にオーバーレイされます。これで、HMDをつけたまま自宅のトイレに行けることになります」


「そんな格好で家の中を歩き回る人はいないと思いますが」

「良いか悪いかは、実際にやっていただいて、ご意見をお聞かせください」

 やっぱり、実験台じゃないか。

 いい加減、はっきり言えばいいのに。


「トイレが終わったら?」

「右下に『戻る』の表示が出ているので、コントローラを使ってそこを選択するか、そこに視線を一定時間向ければ、トイレのドアの前まで場面が戻ります」

「なるほど」


「本当は、それをどうやってプレイヤーが見つけ出すのか、初めての人に試してもらって知りたかったのですが」

 ついに、婉曲で実験台と白状したよ。

「すみません。でも、それってデバッグじゃないですよね?」

「……」

 実験台という単語が喉から出かかったが、ここは大人の対応をする。



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