表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕が異世界常駐でゲームのデバッグをさせられた件  作者: s_stein
第一章 異世界にもVRゲームがあった
13/34

世にも不思議なHMD

 山田さんは、一呼吸おいてから説明を始める。

「このHMDを装着するとですねぇ」

 そして、驚かないでくださいよ、と言いたそうな表情で、僕の目をジーッと見る。

 まるで、僕の驚きの表情を一瞬たりとも見逃さないように。


「コンテンツが見えて音が聞こえるだけではなく」

「ええ」

「触ったり触られたりという皮膚を通じた感触まで体験できます」

「……!」

「さらには、熱い冷たいという温度も感じます」

「……!!」

「ツルツルやザラザラの感触も伝わります。匂いまで嗅げたりします」

「……!!!」

 いきなり不思議なことを言い出す彼に、僕は言葉を失う。


「残念ですが、まだ味覚や食感、口の中に入れて飲み込む感覚や満腹感までは再現できていません。つまり、食事系はできません」

「……?」

 当たり前だろ。


 僕の耳がおかしいのか? 気でもふれたか?

 いや、そんなはずはない。

 僕はいたって正気だ。


 山田さん、何、冗談みたいなことを言い出すのだろう。

 そんな馬鹿なことができるはずがないではないか。

 HMDをかぶって、見えているものが触れる?

 熱も感じる??

 匂いも嗅げる???


 いきなり全否定するのは悪いので、僕はちょっと驚いてみせた。

「えっ? 普通は視覚や聴覚だけに訴えると思っていましたが」

 それを聞いた彼は、少しもったいぶった言い方をする。

「いいえ、これは、それを超越したHMDなのです」


 あり得ない。

 感覚は神経の伝達信号。

 装着するだけで脳細胞と直結するHMDなのか?

 そんなことをしたら、脳細胞が破壊されかねないだろう。


 おお!? だから、僕が実験台なのか??


 僕は、思わず吹き出しそうになるのをこらえた。

 そして、徐々に核心に触れる言い方をして、相手の矛盾を突くように試みる。

「となると、このHMDを装着すると五感のうち味覚以外に働きかけるのですね?」

「はい」


「食べる感覚は再現できないと」

「ええ」

「実際に物を食べるわけではないですから、そりゃ再現できませんよね?」

「……」

「感覚は筋肉から脳へ伝わる電気信号ですから、HMDが全身の皮膚や筋肉に作用できないと思うので、頭蓋骨の障壁を越えて脳細胞に働きかけると」

「……」


「どうしてそんなことが、このHMDでできるのですか?」

 すると、彼は平然とした顔をし、口角をキューッと上げる。

「それは企業秘密です」


 出たー! 伝家の宝刀!

 うさんくさいものでも、これを一振り、あら不思議、まともになる。


 そんな粉飾なんか消え失せろ。

 僕はどうにも信じられない。


 ゲームのプレイ前に、僕を催眠術とかで暗示にかけるのだろうか?

 ここはどういう作戦で行くか、考えどころである。

 まあ、嘘に決まっているだろうが、どんなごまかし方をしてくるのか半分興味もあるので、騙されたふりをすることにした。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ