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番外編 和歌山恵美の少し長い夢 後編

しかし、楽しい時間と言うものはあっという間に過ぎ去るもので、

時計の針は12時を回ろうとしている、

二人は泊まりなどと言う選択肢がまだ無く、互いに帰路を辿ることとなった。

そこで和歌山恵美の夢は覚めてしまう、

「なんで、私の夢に、太一くんが?」

もう二度と恋などしないと、他人を傷つけてしまうなら、好きでもない相手を傷つけてしまったから、私に恋をする資格なんか無いからと胸のうちに塞ぎ混んでいた思いは、まるで沸騰点を越えたお湯のように、瞬間的に沸き上がり、夢となる。

「きっと、気のせいだ」

しかしそれを自分の言葉で冷却させ、誤魔化し、

そしてそれこそが自分であると是にして布団を畳んで起き上がる、だが一度沸き上がったお湯は表面でこそ冷えきっていてこそあれど、奥の底ではまだほんのりと温かくあり、

古市太一を自然と意識せざるを得ないようにふとその温かさを見せる。

「古市…く、いや、鹿児島くん、お願いするわ」

鹿児島との関係は修復されており、

それにかこつけ古市から距離を取ろうとする、

嫌いになってもいないのに、そしてそうする度に胸の奥がじんと痛んでくるのに。


「私はなんなのよ、いったい何がしたいのよ!」

そうなると、家でひとり酒になるが、家にいても気持ちは変わらない。

和歌山恵美の中で、何かは崩れようとしていた、

それを本人が肯定しないだけで、認めてしまえば、あっという間のような、そんな程度に。

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