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終幕

何とか完結……。いい加減な感じがするかもしれませんが、これが限界です。

 皇紀二六九五年4月に決行された鋼鉄の荒鷲作戦によって降伏、分割統治された旧フロイト帝国は東と西で楽園と底辺に分かれていた。東西の行き来は基本的に自由だったため白人のプライドを守るために多くの人が西フロイト王国に流れていった。が、そこでの生活は厳しかった。

経済が低迷しているところで人が一気に流れ込んだために治安が悪化したのだ。原住民と新住人の間で対立が起こり、王侯貴族による搾取と秘密警察による不安因子の弾圧によってさらに治安が悪化するという悪循環に陥っていた。

 困窮する市民たちから毟り取って集めた税金は日本の属国となった東フロイト帝国に対する軍備に消えていったが、装備は宗主国の連合王国から輸入した旧式兵器が大半であり、何とかライセンス生産の許可を取り付けた新型液冷戦闘機も日本が輸出した戦闘機の発展型でしかなかった。

一方で東フロイト共和国は平和と繁栄を傍受していた。日本の梃入れによって軽、重工業が強化され、日本の属国となったため工業製品だけでなくワインなどの特産品なども日本の勢力圏で売れるようになった。雇用も増え、彼らが稼いだ金を落としてさらに経済を活性化させる理想の好循環だった。

軍備も税収が増えたことで余裕を持って行え、日本製兵器のライセンスを取って自国なりにアレンジしたものや日本の技術を使ったオリジナル兵器を配備して日本軍兵士からも高い評価を受けている。特に九一式戦車に装甲を追加し、主砲を88ミリに換装したKpz.9は高い信頼性と火力、機動性を有しており、日本陸軍の九一式戦車改にも劣らぬ戦車であった。

こうして経済と軍事力で差が広がっていくかつては同じ国だった両国。皇紀二七〇〇年8月9日、悲劇は起こった。

 以前から挑発行為を行っていた西フロイト王国国境警備隊はこの日威嚇射撃を実施したのだが、その弾丸が偶然東フロイト共和国の兵士に命中、当たった兵士は即死した。その後両国国境警備隊は戦闘状態に突入、双方多数の死傷者を出した。この事件を西フロイト王国は原因は東フロイト共和国にあるとして多額の賠償金と責任者引き渡し、無償の00経済支援と技術支援を要求した。

 東フロイト共和国は挑発行為を行い先に手を出したのは西フロイト王国であると証拠を提示し、これを拒否。戦時体制への移行を決定し、国境に陸軍機甲師団を配備した。

 西フロイト王国は早々に宗主国であるイングレンド連合王国に泣きつき援軍を派遣してもらい、東フロイト共和国の宗主国である日本との交渉してもらった。が、どう見ても非が西フロイト王国にあることが明らかであり、連合王国の民衆は西フロイト王国のために日本と戦争することに消極的であり、上層部も勝っても負けても損しかしない日本との全面戦争は避けたいと思っていたため西フロイト王国が譲歩する形で手打ちにしようとしたのだが、当の本人がこれに反発して国境で騒ぎ立てた。

 それに刺激された東フロイト共和国も宗主国日本に援軍を要請、連合王国に話を通したうえで同規模の援軍を派遣した。

 馬鹿やった手下を脅して黙らしてようやく穏便に決着がつきそうになったところで、またまた事件は起こった。否、起こした。

 宗主国の決定を不満に思った西フロイト王国がまたやらかしたのだ。日本軍が配備されていなかった戦線に攻撃を開始したのだ。不幸だったのはその戦線に配備されていた部隊は士気の低い急造部隊であったことだった。戦線はあっさりと崩壊し、後方の都市へなだれ込んだ。最終的に駆け付けた日本空陸軍の攻撃で全滅したが、都市では虐殺や性犯罪が多発した上に都市にいた少数の日本人が犠牲となった。

 これによって連合王国はただでさえ不利であった交渉がさらに不利となり、最終的には西フロイト王国を切り捨てること決定。日本には謝罪の意味を含めて西フロイト王国の権益の一部譲渡を約束した。

 宗主国に見捨てられた西フロイト王国は自国民を虐殺されて怒り狂う東フロイト共和国と日本の兵器実験場となった。

 日本空軍の連山改(連山のエンジンを換装したもの)と東フロイト共和国空軍のBC-187(東フロイト共和国の4発重爆撃機。搭載量と防御力では連山に劣るが航続距離では勝っている)が内陸の工場地帯や住宅街に通常爆弾のほか、燃料気化爆弾、クラスター爆弾を用いた無差別爆撃を行った。迎撃機が配備されていた飛行場には九八式誘導弾(和製V1。史実のV1に比べて命中率が向上している)が叩き付けられ大半が滑走路を破壊され使い物にならなくなり、一部の無事だった飛行場から発進した迎撃機も四式戦闘機疾風とDN-8(形状は雷電に近い。日本の疾風を意識して開発された)によって蹴散らされた。

西フロイト王国は無差別爆撃を非人道的だと非難したが、先に非人道的なことをしたのはお前たちだと言い返し、日本と東フロイト共和国は無視した。

 海では潜水艦は日本製対潜兵器(追尾魚雷、高性能爆雷)によって瞬く間に沈められ、虎の子の巡洋艦隊も出撃したその日に日本海軍が誇る轟龍、火龍、水龍、土龍、木龍、金龍から発艦した攻撃隊によって海の藻屑と化したことで制海権を喪失。西フロイト王国領海は日本の海となった。

 空と海がボロ負けしている頃、陸はさらに悲惨な状態となっていた。

 制空権がないため敵の攻撃機からいいように叩かれ、爆弾と一緒に降り注ぐ火砲やロケットを黙らせようにも味方の攻撃機がいないため甘んじて受け続けるしかなく、敵陸上部隊の目の前まで到達するころには壊滅一歩手前まで損害を受けていた。

 その生き残った部隊さえも日東不機甲師団の圧倒的物量と火力の前に溶けていった。西フロイト王国陸軍戦車が搭載する54口径75ミリ砲では九一式戦車改とKpz.9の正面装甲85ミリを抜けず、逆に90ミリ砲と88ミリ砲は西不戦車の70ミリ装甲を易々と貫通した。

 主力部隊が壊滅した事に大混乱に陥った西フロイト王国は自国領土で焦土作戦を実行することを計画した。地雷と麻薬をばらまき、ゲリラを配置して広大な領土で補給線を伸ばし切って、それまで稼いだ時間で作り上げた決戦用部隊で勝利し、条件付き講和を強いる、というシナリオを現実にしようとした。

 これを暗号解析で知った日本は西フロイト王国の湾口すべてに機雷を敷設、工場地帯と油田に加えて農地などの食料生産地も爆撃し始めた。

 難民があふれ返った都市部などに最低限食料の供給を条件に降伏を促し、ゲリラ部隊を赤外線暗視装置を搭載した回転翼機で空から見つけ出し、個別に狩り出すという方法で撃破していき、首都に到達したのち包囲した。

 物資の行き来が封じられ、飢餓と暴動が起こりながら西フロイト王国上層部は戦争を続けようとしたが、飢えと敗北による絶望から国民が反乱を起こした。国民だけでなく兵士も反乱に加わったことで上層部に忠実な手駒だけでは防げなかった。

1人残らず街灯に吊るされたのち樹立した臨時政府は日本と東フロイト共和国に降伏。講和会議で領土を要求しない代わりに多額の賠償金を支払うことが決まり、戦争は終わった。






 この戦争から10年後、経済摩擦が理由で日本とイングレンド連合王国は開戦するのだが、日本の圧勝で終わっている。そのあと経済を徹底的に破壊したため日本に張り合える国家は消滅した。

 日本の繁栄はアメリカ合衆国がこの世界に現れ、全面戦争に突入するまで続くことになる。

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