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戦後処理

遅くなりました。

自動車学校で失敗した事とWarThunderで遊べなくなったことでモチベーション駄々下がりですががんばって更新していきます。

皇紀二六九一年、インフェンドナ共和国に比較的近い凪諸島にて日印講和条約が締結された。

 条約の内容は。

 ・インフェンドナ共和国は日本に賠償金20兆円支払う。返済期間は20年。

 ・インフェンドナ共和国は日本に市場を開放する。

 ・今後10年、インフェンドナ共和国は以下の項目に反する軍備を有してはならない。

 1.排水量3000トンを超える軍艦の建造、保有。

 2.国産兵器の設計、製造の禁止。

 3.保有数は航空機300機、軍艦総排水量3万トン、戦車100両までとし、これを超えてはならない。

 領土の割譲こそなかったが、中々厳しい内容だった。

 元々ほとんど無い戦車はともかく、航空機の更新は日本頼りとなり、重巡洋艦はおろか巡洋艦の配備すらできなくなった。

 更に制限が解放されても20兆円という賠償金がつきまとう。

 転移前の日本からすれば国家予算の3分の1に相当する額である。いくら20年の時間があるとはいえ、小国に過ぎないインフェンドナ共和国には厳しいものがあった。

 もちろん日本の投資もあるし、日本の進んだ採掘機材で掘り出した資源を輸出すれば結構な儲けになる。

 それに日本は増え続ける新領土の開発に人を必要としている。そこに国民を出稼ぎに送り込めば日本からの印象も良くなり、外貨獲得にもなる。

 そう考えたインフェンドナ共和国政府は前向きに日本製兵器の導入と日印戦争の戦訓を元に新しい軍備を整え始めた。

 もっとも最初は日本の要望で海賊、密輸などの取締りを行う海上保安庁的な組織の立ち上げが優先されたが。

 こうしてインフェンドナ共和国は再び歩き出す。






 首相官邸内にある会議室で田村透総理大臣と各大臣は話し合っていた。

 転移という異常事態を乗り切ったあと、日本ではこういった総理と大臣が集まって行う会議(主に国防と経済、予算関係)が増えていた。前世界のように頼りになる同盟国(宗主国)と有力な市場となる国家がいない以上、当然といえば当然だった。

 「インフェンドナ共和国からの兵器輸入打診の件だが、どう思う?」

 田村の発言に浅沼防衛大臣が答える。

 「輸出する物によりますが、輸出用ならば問題ないかと。ただ、彼の国の航空機は水上機が主流なので九七式飛空艇、二式大艇、零式水上観測機、三式水上偵察機瑞雲、二式水上戦闘機が主な輸出兵器となるでしょうが」

 「瑞雲もいいのか?確か瑞雲には自動空戦フラップなどの輸出制限技術法に引っ掛かる技術が使われているはずだが」

 輸出制限技術法とはその名の通り、輸出するのに制限がかかっている技術のことである。技術レベルに上限のあるこの世界で少しでも優位に立つために制定された。

 「もちろん輸出モデルのみです。そちらは電子機器などを撤去したものですので問題ありません」

 田村は納得したように頷く。

 「なるほど。分かった、輸出は許可しても大丈夫だろう」

 石島は話を続ける。

 「はい、それと船舶の委託建造も打診されていますが、そちらは?」

 「条約に反しないものならいいだろう。インフェンドナ共和国に建造経験がない巡視艇はこちらで造ったほうがいいだろうしな」

 「はっ、ですが機関は彼らが使っているボイラーにしようかと思います」

 「それでいいだろう。彼らにガスタービンなんて維持できないだろうしな」

 こうしてインフェンドナ共和国向けに多数の水上機が輸出され、のちに多くの国で運用されるリンバー級巡視艇、フラワー級駆逐艦が建造されることとなる。






 元秋津帝国陸軍工廠。現在では日本の技術研究本部の実験場となっているこの場所では陸軍の新型戦車のお披露目が行われていた。

 「これが新型戦車か?」

 「はい、車体の大部分を秋津州の技術でも生産可能なように設計された九一式戦車です」

 音無陸軍大尉の視線の先にはソ連のT-34・1941年型にそっくりの戦車があった。

 当初、日本はグレムリンの影響が少ない旧式戦闘車両(74式、61式など)の部品を使った寄せ集め感漂う車両を配備していたが、現場からグレムリンの影響が一切無い兵器が欲しいという声が大きくなったことで新型兵器開発へ踏み切った。

 財務省は生産効率が高い物とすること、秋津州でも生産できる物にすることを条件に予算を認めた。ついでに空軍機の開発予算も勝ち取った。

 そうして始まった新兵器開発計画は順調に進み、皇紀二六九一年3月に完成、こうしてお披露目が行われた。

 「ディーゼルエンジンを採用し、サスペンションも信頼性のあるトーションバーにしました。主砲は海軍の62口径76ミリ砲を流用したもので、秋津州の技術力でも何とか生産できるものです」

 「それは結構だが、装甲はどうなんだ?バカスカ抜かれては堪らんぞ」

 音無は熱に浮かされたような技術者、高梨を睨む。旧陸軍のように現場を理解しない連中が図上での議論と算盤勘定で出した結論で決められるわけにはいかない。

 さらに彼は最近海軍が新しい転移国家、それもドイツに似た国と接触したという情報を得ていた。他にも日本に遅れて転移してきた国家が現れている以上、慢心は出来なかった。

「問題ありません。装甲は74式戦車と同じ防弾鋼板、そのうえ装甲も厚くしてありますので、70ミリ程度ならば抜かれることはまずないでしょう」

 高梨の言う通り、九一式戦車の装甲は基としたT-34以上にに厚い。 

 正面装甲90ミリ、側面70ミリ、背面45ミリと旧陸軍の戦車兵が聞いたら血涙を流して羨ましがるほど充実している。

 「……分かった。それで次に開発する中戦車は……」

 「当然、T-34の改良型です」

 「やはりか。ティーガーはともかくパンターでは駄目なのか?」

 「生産効率が違いすぎます。それにこの状況で第2次大戦中最良の戦車であるT-34を開発しない理由はありません」

 「では何故、九一式はその1941年型を基にしたんだ?最初から後期型を基にすれば良いじゃないか」

 音無の問いに高梨は首を振って答える。

 「秋津州の技術力不足で無理でした。あと、どうもソ連戦車の導入に反感を持つ人間が多いようです」

 「まあ、敵国の戦車だし、当然かも知れんな……」

 高梨は嘆かわしい、といった表情をする。

 「重戦車もソ連式にする予定なんですから理解していただきたいのですが……」

「……ちなみに何を参考にするつもりだ?」

 「KV-1・ZIS-5です」

 音無は頭痛を堪えるように眉間を揉む。

 「一応聞くが、理由は?」

 「九一式との共通部品が多いのでコストを抑えることができるので」

 憂鬱そうな顔にする音無。常識人には少々ショックだったらしい。高梨は慌てて言い訳する。

 「重戦車はKV-1に決まっていますが、次の重戦車はソ連式と決まったわけでは有りません。それに軽戦車はアメリカですので、安心してください」

 「?アメリカの軽戦車ということはM24か」

 音無はかつて陸上自衛隊の黎明期に機甲戦力を担った戦車の名を挙げる。

 が、またしても高梨は首を振る。

 「T92軽戦車です」

 「……確かその戦車は試作のみで終わってなかったか?」

 「車高が低く、主砲も中、重戦車と共通にできますので。それに重量が軽く、泥濘地帯でも運用できることが開発決定の理由となりました」

 「……そうか」

 もはや悟った表情で答える音無。彼の憂鬱を嘲笑うように、九一式戦車の主砲が雄々しく輝いていた。





 

 日本、三沢基地。空軍基地があるここでジェット戦闘機が発進準備をしていた。

 「こちらザラマンダー。管制塔、発進する」

 「ラジャー、試験飛行で墜ちるなよ」

 管制官の軽口に鼻を鳴らして、柊空軍中尉はスロットルレバーを前に倒す。

 ターボジェットエンジンが咆哮する。機体が前進し、滑走路を駆ける。

 離陸可能速度に達した機体が空へ向けて離陸し、機体は高度8000メートルまで上昇する。

 柊は後方に振り向く。視界に入るエンジンに異常は見られない。新型戦闘機の試験飛行は順調に進んでいる。

 XJF-1。日本が開発したこの世界でも使える単発ジェット戦闘機。

 最初はMe262に似た戦闘機を開発していたのだが、双発故に機動性、コスト面に問題があったためにハイ・ローミックスのローを担う安価な単発ジェット戦闘機の開発も始まったのだ。

 そうして作られた試作機がXJF-1である。He162A-1を参考に作られたこの機体は史実のような事故を起こしやすい戦闘機ではなく、軽快な運動性と高い生産性を併せ持つ高性能機に仕上がっている。

 量産型のスペックは主武装に機首装備の30ミリ機関砲2門160発。胴体下に燃料タンクを搭載可能。

 転移国家との接触が増えてきているため、日本の国力と技術力の誇示、そして万が一戦争になった場合、優位に立つために資源が優先的に回され遠からず実用化される予定である。

 「来るなら来い。B-29だろうが撃墜してやるよ」

 まだ見ぬ敵の思い浮かべながら柊は呟く。

 実際、XJF-1はB-29も撃墜可能な性能を有している。史実のように工業地帯をほぼ一方的に爆撃されることはないだろう。

 まあ日本本土は平成技術が使えるのでXJF-1の出番は無いかもしれないが。

 このXJF-1はのちに友好国にも輸出され、安価で高性能なことから世界中で使われることとなる。

次回は残った兵器と惑星の説明。民間のお話のあとに戦争へ。

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