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初の戦争は淡々と

時間がちょくちょく飛びます。その上短いです。

戦闘描写があっさりしすぎているような気も……、つまり相変わらずの駄文です。

それでもよろしい方のみお進みください。

 船団護衛に十分な艦艇を揃えた日本は周辺地域への干渉を進めていった。

 しかし理由は不明だが、それらの地域には人が居なかったために開発と入植は順調だったが、交易する相手が居ないために経済界は満足しなかった。

 結局、無人地域の獲得と開発をしながら、日本は他国との接触に急ぐことになる。






 10年後、日本の横須賀。ここには転移後、建造された新型空母が配備されていた。

 「これがエセックス級空母を参考に作られた轟龍型空母轟龍か……」

 巨大な空母の前で1人の男が佇んでいる。彼は海軍の軍服を着込んでいた。

 彼、白瀬少将はこの正規空母の艦長となる予定だった。

 日本初の正規空母である鳳翔型空母での経験を経て作られたこの空母は非常に完成度の高い空母だった。

 20ミリ、40ミリ機関砲を多数搭載し、装甲化された甲板を有するために防御力も高い。

 搭載機数は基となったエセックス級と同じ常用、予備併せて100機。カタパルトもグレムリンの影響を受けずにすんだ蒸気カタパルトのために双発機も発艦可能である。

 電子機器もグレムリンの影響を受けない中で最高の物を搭載している。

 近々編成されると言われている第1機動部隊の中核となる空母に相応しい艦。白瀬はそう考えていた。

 「白瀬少将、こちらでしたか」

 「高穂参謀」

 いつの間にか白瀬の隣に彼の部下となる高穂大佐がいた。

 「どうしましたか?」

 「いやな、自分の乗る艦を見ておきたくてな」

 「なるほど。しかし轟龍はいい艦ですが、艦載機は大丈夫でしょうか?」

 「数は確保できるだろう。本土にあった零戦二二型を参考に魔改造した零戦五二型丙を本土だけでなく秋津州でも生産されているしな」

 「しかし零戦は格闘戦は強いですが、高高度性能が低いです。もしB-29クラスが出てきたら厳しいのでは?」

 「零戦五二型丙はスーパーチャージャーを装備している、大丈夫だ。それに秋津帝国を基準に考えたら、同じ複葉機、単翼機にしても全金属製の機体はないだろう」

 「しかし油断は禁物です。グレムリンのことを考えればF-15などはいないでしょうが、黎明期のジェットくらいは出てきてもおかしくありません」

 「まあ、それくらいの相手が出てきたら今の艦載機では厳しいな。だが和製強化型Me262の開発も始まっているし、黎明期のジェットなら連合軍がやったように離陸時を狙えばいい」

 「……分かりました」

 不安そうな顔を隠さない高穂。そんな彼を見て白瀬はカラカラ笑う。

 「そんな顔をするな。なあにいきなり戦闘になるとは限らん。平和的に事が進む可能性も十分ある」

 白瀬は笑いながら車に戻っていった。






 転移初期に手に入れた島の中でもそこそこ広い島。新島(にいじま)

 この島では日本を支えるために農業、畜産が行われており、高い食糧生産率を誇っている。

 当然この島の重要度は高く、大規模飛行場を含む基地が建設された。

 新島飛行場。3個飛行隊が配備されている空軍基地だ。

 今、日本空軍は零戦を配備しているが、それは予算の都合で一式戦闘機三型を開発できなかったからである。

 そして、この基地では新しい仲間を迎えようとしていた。

 「そろそろか」

 零式艦上戦闘機五二型丙のコックピック内で高尾大尉は呟く。

 彼らは今回、新たに配備される部隊の出迎えを命じられた。日秋戦争では秋津帝国の複葉戦闘機を迎撃した歴史がある新島飛行隊だが、今後敵艦船が現れた場合に備えて爆撃機が配備されることになったのだ。

 なお零戦五二型丙が開発された年が皇紀二六八〇年なのに零式なのは、日本では史実にあった日本機に近い機体、もしくは参考にした機体はそれと同じ名称で呼ぶことにしているからである。

 当然ながらオリジナルは今の皇紀に沿った名称を与えられる。

 「ん?」

 高尾の視界にキラリと光る何かが入った。

 「来たか」

 高尾は機を光が見えた方へ向ける。

 やがて緑色の塗装の双発機が見えてきた。

 「一式陸上攻撃機、か。ワンショットライターじゃなきゃいいが」

 期待の新型機は、史実では異常な着火率からワンショットライターと揶揄された機体であった。

 高尾は表情を険しくするが、すぐにフッと緩める。

 「財務省の連中がケチったって話は聞かないし、大丈夫だろう」

 高尾の言うとおり、一式陸攻の開発には金が掛けられている。

 零戦にも積まれている自動消化装置、自動漏洩防止タンクに防弾板と標準装備に加え、機体の素材もカーボン等の軽量で頑丈なものを使っている。

 一式陸攻がバンクを切る。

 「こちら第12爆撃機隊隊長本田文雄空軍大尉です」

 「こちらは高尾道明空軍大尉だ。貴隊の着任を歓迎する」

 こうして日本は戦力を増強していく。






新島に一式陸攻が配備されてから半年後、ついに日本は待望の他国に出会えた。

 名はインフェンドナ共和国。複数の島嶼からなる転移国家である。

 資源は日本の有する島嶼に比べれば少ないが、充分な量が埋蔵されている。

 近代化も進んでおり、ルノーFT-17似の軽戦車、駆逐艦と巡洋艦、多数の水上機が配備されている。

 なお複葉機以外の陸上機は軍用、民間ともにほとんど無い。理由は飛行場に使える土地があまり無いからである。

 当初は順調に交渉が進んでいたのだが、日本と対等な関係を持つことに不満を持った海軍元帥ホウ・スーチンがクーデターを起こし極右政権が誕生した。

 ホウ首相は日本の交渉団に不平等条約の締結を要求した。

 日本の交渉団はこれを拒否、ホウは交渉団を拘束したが、日本陸軍の特殊部隊が救出した。

 これを受けて日本政府はインフェンドナ共和国に宣戦を布告。日本転移後初のレプシロ機同士の戦いが始まった。






 インフェンドナ共和国海軍航空隊は熱気に包まれていた。

 ニホンという聞いたことも無い国が相手だと聞かされていたが、彼らは自分達の実力に自身を持っていた。

 「ニホンだかなんだか知らないが、すぐにぶっ潰してやるさ」と嘯いていた彼らを待っていたのは正規空母轟龍から発艦した零戦五二型丙だった。

 彼らが乗っていたAD-3水上戦闘機という二式水戦に似た戦闘機は最高速度410キロと秋津帝国の複葉機よりは高速だったが、最高速度640キロを誇る零戦五二型丙の前では鈍足極まりなかった。

 AD-3は零戦の12・7ミリ機銃と20ミリ機関砲に刈り取られていき、60機いたAD-3は戦闘後7機に数を減らしていた。

 空の傘を失った彼らを一式艦上爆撃機彗星三三型と三式艦上攻撃機天山一二甲型が襲い掛かり、五〇〇キロ爆弾で水上機基地と軍港としての機能を奪っていく。

 残弾に余裕のある零戦はPBYカタリナに似た水上機に銃撃を加える。

 1時間後、インフェンドナ共和国海軍の誇る大基地は黒煙を上げていた。

 このことを知ったホウ首相は激怒し、連合艦隊に出撃を命令。駆逐艦24隻、巡洋艦10隻の大艦隊が出撃した。






 日本艦隊を迎撃するために出撃したインフェンドナ共和国連合艦隊だが、日本艦隊を発見できた頃には満身創痍であった。

 まず、量産性を重視した引潮型潜水艦4隻の雷撃で駆逐艦が10隻、巡洋艦は3隻沈んだ。

 次に轟龍から発艦した攻撃隊によって駆逐艦6隻に巡洋艦2隻沈められた。生き残った艦も爆撃で少なからず損傷しており、まともに戦える状態ではなかった。

 そしてようやく日本艦隊との砲雷撃戦となった。艦隊の生き残りはこれまでの鬱憤と屈辱を倍返しにしてやろうと気炎を上げたが、長距離誘導魚雷と電子機器による精密射撃の前ではそれすら適わなかった。

 こうしてインフェンドナ連合艦隊は消滅。インフェンドナ共和国は制海権を完全に喪失した。

 この3日後に行われた艦砲射撃のあと、ホウ首相は暗殺され、解放された前政権の首脳陣は日本に講和を打診。

 日印戦争は終結した。

次回こそ、次回こそは詳しい兵器の説明を……!

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