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進化する太陽

短いです。それと今回はまだ戦争はありません。説明、準備回です。

この世界に転移してから1年、日本は異常現象の原因を発見した。

 グレムリンと命名されたその微生物は日本国内(転移後獲得した領土は除く)を除く全ての地域に存在しており、日本国内に入るとすぐ死滅してしまう。

 そして基準は不明だが先端科学技術の産物を破壊する。

 急速に劣化させる以外にも、部品の間に入り込み接着剤のように固まったり、配線などに張り付いて電気を遮断したりと方法は様々だが確実に使い物にならなくする。

 日本はグレムリンに劣化、破壊されない物を調べ上げ、国外ではそれらを使っていくことを決定した。

 質は大幅に下がるが、仕方が無かった。アメリカならばともかく、日本にそれらをティッシュのような感覚で使う力は無かったのだから。






 日本、防衛省。日秋戦争の後に行われた憲法改正とともに自衛隊は国防軍となり、この世界に合ったドクトリンと兵器をどうするかで「42時間、働けますか?」状態となっていた場所。

 現在では急激に拡大した領土の防衛とそのための戦力、特に兵器に悩んでいる。

石島忠明防衛大臣は部屋に集まった各参謀長に質問する。

 「さて、グレムリンの反応はどうか?」

 最初に陸軍参謀長が答える。

 「74式戦車は駄目でした。倉庫で埃を被っていた61式戦車も何とか動かせるようにして国外に出しましたが、それすらグレムリンの反応が確認されました」

 「ふむ……」

 石島は頭痛を憶える。自分達の使っている兵器が事実上使えなくなったのだ。

 日本は高価な現代兵器を使い捨てに出来る国力はない。

 「ですが、少し気になる事が……」

 「何だ?」

 「劣化した兵器ですが、兵器の全てが劣化するわけではないようです」

 「?どういうことだ?」

 陸軍参謀長のよく分からない言葉に石島が聞き返す。

 「秋津大陸に派遣されていた74式戦車の調べたとき分かったことなのですが、電子機器は全滅していましたが、砲身とエンジンにグレムリンが原因と思われる劣化は確認されませんでした」

 「何だと?」

 「更に10式と61式の劣化速度を比べたところ、10式に比べ61式は劣化が遅れていました。それと89式小銃は劣化現象そのものが確認されませんでした」

 この2つの報告に海軍参謀長と空軍参謀長も発言する。

 「海軍もこんごう型の艦砲、エンジンは無事でした」

 「空軍も同様です。F-15Jの電子機器は劣化しましたが、ショックアブソーバーに劣化は見られませんでした。またターボジェットは無事に動きました」

 3軍の参謀長が揃って同じ事を言っているのだから間違いないだろう。

 グレムリンの基準が分からないことには変わらない。しかし、現代兵器そのものは使えないが、部分部分は使える物があることが分かっただけでもましだった。

 「秋津帝国から奪った技術、それと国外でも使える技術を組み合わせて新しい兵器を作るしかないか」

 石島の言葉に統合参謀長を含めた4人が頷く。

 石島はため息をついて。

 「……つまりレプシロ、ターボジェットエンジン搭載軍用機、複合装甲無しの戦車、ミサイルを搭載しない軍艦……、第2次大戦時の兵器を魔改造したような兵器群が生まれそうだが、いくら予算が掛かる事やら……」

 「「「……お願いします」」」

 こうして石島の財政難の状況で予算獲得のための戦いが始まる。






 それから2年、日本は憲法改正、ドクトリンの変更、新兵器の設計などの異世界への適応を終わらせた。

 秋津帝国を併合したことで経済は衰退したが、この世界で国家の維持に必要な技術を他国に依存する事態にならずに済んだ。

 秋津州(元秋津帝国)を始めとする新領土のあちこちに次々と工場、造船所が建てられ、稼動していった。

 また農業、畜産、水産関係はもちろん鉱山、海底資源の開発も盛んとなった。

 何せ秋津州は日本の本州の3倍近い面積を誇るのだ。開発する場所はいくらでもあった。

 また日本人と秋津人の同化政策も進められた。これは両者に違いがほとんど無かったこともあってか順調に進んだ。

 日本は秋津帝国という人工国家の残滓も遺産も喰らいながら発展していった。






 そして日本は秋津州や島々の外に目を向け始める。更なる発展のために。たとえ血を流すことになろうとも。

次回には兵器の説明と戦争を始められたらなぁ、と考えています。

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