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長い尾と触手

作者: 風連

恒星の周りを幾つかの惑星が周り、星の群れを、形造って行く。

その引力は、気ままに星々を引っ張ってるように見える。

膨張する宇宙で、恒星の光は、伸びていくばかり。

楕円軌道で、外宇宙を旅する彗星は、時間の目撃者となり、虚ろいの中をガスの尾を引きながら、進む。

ハレー彗星が、久々に近づいてきていた。

「皆さん、75年に、一度のハレー彗星ですよ。

一生に2回、見られる人は稀です。

しっかり観察しましょうね。」

担任の喜久田きくた先生は、英語担当だか、趣味が高じて、天文クラブの顧問をしている。

75〜6年毎に現れる彗星は、無駄に先生のテンションを上げていて、迷惑な話だ。

その上、担任を持ってるこのクラスには、天文クラブのやつが1人もいないから、なおさらシラケる。

ハレー彗星より、月の基地から、木星に飛んで行った、JAXAの有人ロケット、飛翔ひしょうの方が気になる。

先生は、黒板に尾長星と書き、彗星の尾の話をしている。

早く、チャイムが鳴り、出席簿と一緒に引っ込んでほしい。

1限目から、数学の田代の授業。

こいつも、脱線して、ハレー彗星の話を、50分していった。

「ヤバいぞ。二組の長澤ながさわが、高橋先生に、殴られたぞ。」

昼休みは、騒然とした。

体育館で、高橋先生が、ハレー彗星の話を永遠とし、バスケ部キャプテンの長澤が、授業してほしいと、言った事が発端で、暴力ざたになったのだ。

「変じゃないか。」

「長澤が、正しいしょ。」

皆んな同じ意見で、校長室に、直談判に向かう事になった。

授業をしない先生達。

勉強したい生徒。

教室に残った者達も、落ち着かなかった。

長澤は、病院に行き、午後は休校に、なった。

高橋先生の姿は、無い。

この後、学校から帰った彼らは、家にいる大人達に、ハレー彗星の話を、されるのだが。

歳をとればとるほど、その傾向は、酷かった。

トイレに逃げても、戸の前で、念仏のように、唱える。

「ぶっ壊れてるぞ、大人。」

子供達のメールが、電脳の世界で飛び交っていた。

江戸時代のええじゃないかに、なぞられて、ハレーじゃないかって、名が付けられた、彗星熱は、日増しに、大人達を侵食していった。

「ボーダラインは、25才だ。」

にいちゃんの二人いる長谷部はせべが、ため息をついた。

「うちは、爺ちゃん、婆ちゃん、親父、お袋、25の兄貴と24の年子の兄貴が居るからさ。」

同情するしか無いが、母子家庭だって、大人が、1人はいる。

ハレー彗星が、太陽系に入った途端、ハレーじゃないか熱は、冷めた。

熱病に侵されなかった子供達は、ホッとした。

太陽に、近づく、彗星。

太陽は、長いフレアの先を、彗星に、伸ばし、その中の水を、動かした。

軌道が狂った彗星は、すんなり、地球の脇を過ぎていく。

どんなに接近したくても、ハレー彗星は、地球には、ぶつからない。

何故なら、地球を喰らうのは、太陽なのだから。

その日まで、後何回、ハレー彗星は、地球を観に、訪れるのだろうか。

今はここまで。

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