トカゲ ブイエス ドラゴン3
ケモミミとエルノールの情事中に突如乱入するドラゴン
砂の地面から飛び出した巨大な芋虫。え、ドラゴン?またまたご冗談を。どう見ても釣りで使うワームだかゴカイだかその辺りにしか見えません…見えるだけで十数mあるのをのぞいて…。うわあこっち見たあ!!
「テギル!水を守れ!脱出だ!!」
エルノールの声が響き私は水樽を背負う。ああそうだ、ワイン樽も…。が、ワイン樽に近づこうとしたときその巨大釣り餌の頭がテントに激突した。はじけるワイン樽、飛び散る赤い液体…ぎゃああああ私のワインがああああああああああ!?
「走れ!…おいナオト離れろ!!」エルノールの股間にいまだぶら下がるナオトちゃん。それよりもこいつワインを…私の神の雫を砂にぶち撒けやがった許せん!!
私はエルノールから前もって受け取っていた魔石を飲み込み盛大にブレスを吹きかける。十数mは放たれたその青いモヤのブレスはその巨大釣り餌の頭を凍りつかせた。途端に荒れ狂う巨大釣り餌…芋虫ドラゴン。私は遠くに走って行くエルノールに続いて走り出す。
丘を登り切って振り返ると芋虫ドラゴンの頭の氷がみるみるうちに溶けていく。うーん乾燥してるしこの暑さだからなあ、炎の方がよかったか?その芋虫ドラゴンは頭を砂の地面に突っ込み潜っていき…最後には見えなくなった。
『しゃべるな…私の声が聞こえるか?しゃべるなよ。』頭に声が響く。直感でエルノールだとわかった。エルノールを見ると杖の先を光らせたエルノールが私達の方を見ていた。
『え、エルノール?』
『心の中の声を通じ合わせる魔法だ。いいか、あのドラゴンは音に反応する。ここからは忍び足で離れるぞ。』
『テント壊れちゃったけどーこの先大丈夫なのー?』これはモリュケちゃんの声だな。
『マスター…クンカクンカ。』ナオトちゃんいつまでエルノールの股間に顔埋めてるのかね君は。エルノールが杖の先でナオトちゃんの頭を小突きナオトちゃんは正気に戻る。
『テントは仕方ない。順調にいけば次の朝日が登るまでには町に着ける。それまでの辛抱だ。』
うーん、まだ日が昇ってるなあ、超暑い。ローブで直射日光を防いでも(ローブがちっちゃいので下半身出てる)暑いものは暑い。テントが無くなった以上早く次の町にいかなければ焼きトカゲになってしまう。私達は抜き足差し足で先に進み出した。
ひいひい、前が…霞んできた。時折地面が揺れてドラゴンが地中を這いずっているのがわかる。そのたんびに私達は息を潜ませる事になる。だが今の問題は…私が日が沈むまで持ちそうに無いことだ。
『エルノール…もう無理…休ませて…。』心で話しかける。
『私もこの暑さは…無理い~。』モリュケちゃんだ。蛇の足で抜き足差し足ってどういう状態?
『くっ…残念だが日陰になるような物はない。仕方ない、水でも飲め。』
私は音を立てないように水樽を開ける。もう水は殆ど残ってなかった。あんなに消費するんじゃなかったよ。誰だよ私に好き勝手飲ました馬鹿は!
私は水を手のひらで掬い飲む。モリュケちゃんも水樽に胴体を突っ込む。ちょっと…膝に載せてるんで重いんですけど!ついでに掬った水を全身に塗っていく。こうすれば少しは…塗った側から蒸発していく水。なんじゃこりゃあもう砂漠いやあああ!そんなこんなしていると…水が無くなった。
揺れる地面…あの芋虫ドラゴンがまだ私達を探しているようだ。息を潜めやりすごす。揺れの元凶は遠ざかっていく。
『この調子だともたない。テギル、樽をそのまま動かすなよ。』エルノールが杖の先を樽に突っ込み唸る。杖の先から白い粘液が出て樽の中で蠢いている。樽の壁にクモの糸のようなものを何本も伸ばして浮かぶ何か蓮コラのような変な丸いグロい物が出来た。まるで心臓のようにドクンドクンと波打っている。なにこれ?
『テギル、合図でその樽をあの丘から下に転がせ。同時にあの方向に全速力だ。』エルノールが前方の高い砂の丘へ杖を向ける。エルノールのことだからなにか考えがあるのでしょう。私は樽を持って近くの丘の上に立つ。
「今だ!!」
エルノールの声と共に私は樽を下へ向かって転がす。地下の音が樽を追いかけているのがわかった。3人は走りだし、私も続いて全速力。ヒュー、エルノールくん遅いですねー追い抜いちゃいますよー。横を見るといつになく必死な口元のエルノール。やっぱりエルノールもドラゴンは怖いn…。
突如、樽の方から強烈な光が。振り返ると大きなキノコ雲…え、なにあれ?そのキノコ雲は100mはあろうかというぐらいの巨大さ。その直後、地面を刳りながら空気が迫って来た。砂を巻き上げながら私達を巻き込むと共にすさまじい轟音。巻き上げられた砂で前が見えない…ってか風圧パネエ!私は吹き飛ばされないように地面に腕と尻尾を突き立て不動明王の如し。嵐が過ぎ去るのを待つ。
しばらくすると砂がいまだ舞っているが風圧は無くなった。巻き上げられた砂が日光を遮ってくれるのはありがたい。だがみんなはどこだ?
『エルノール…聞こえる?エルノール!』心で呼びかけたが応答はなかった。しかたなく声に出し、呼ぶ。しかし声はない。すると右側から何かの気配を感じた。身構えると舞う砂の合間から下半身蛇の姿が…モリュケちゃんだ。
「モリュケ、無事?」
「ええ、なんとかねー。ナオトはあっちにいるねー。エルノールはどこだろー?」
私はモリュケが指さした方へ走る。そこには地面に這いつくばるナオトちゃんがいた。
「ひ…ひい、死ぬかと思った…。」私達を見つけてホッとするナオトちゃん。私はナオトちゃんに肩を貸し立たせる。しかしエルノールの気配がない…まあいつも気配のない奴だったけどいったいぜんたいどこに…。
「もしかしたらさっきの風圧で飛ばされちゃったのかな?」
「まああの男の筋力じゃーその可能性大だねー。たぶんあっちの方に飛ばされたんじゃなーい?」
「マスターを探さないと!そしてセックスしないと!」ナオトちゃんそれどころじゃないから。エルノールがいないと次の町に入ろうとしても人外パーティじゃ追い返されるのが目に見えている。エルノールは私がイケメンエルフと結婚するための礎になってもらわねばならんのだ!あと新しいワインも…というわけで探すぞ!
私はエルノールが飛ばされたであろう方角に向かって走る。まだ砂が舞っていて視界が悪い。あの爆発で芋虫ドラゴンもさすがに死んだだろう。もう大丈夫だ。私達だと思って喰い付いた先で大爆発ってわけか…あれは大爆発の魔法か何かかな?色々隠し球持ってるなエルノール。
私は丘の上に登りキョロキョロとあたりを見渡す。すると遠くに建物の並び立つ姿が見えた。町だ!!あの距離ならもうすぐってとこだ。
「見えたー、あっちに倒れてるよーテギル!」隣からモリュケちゃんの声。モリュケちゃんが砂の舞う空間を指さす。さっそく丘から飛び降り全速力。しかしさっきの爆風かなり強かったからなあ…人間ってアレ耐えられるか…いやいやエルノール死んでたらヤバイヤバイ、とにかく助けないと。
舞う砂の切れ目に倒れるローブ姿。間違いないエルノールだ。大事そうに杖を胸に抱いて倒れている。死んだか!?いやいや生きてますかーおーい!
私は素早くエルノールの側へかけよる。エルノールは微動だにしない。恐る恐るエルノールの体に両手を当てる…ドクンドクンという規則正しい音と空気の流れる感覚を覚える。これは、人工呼吸の必要はなさそうですね、チェ…じゃなくて生きてましたバンザーイ!
「エルノール!町が見えたよ。ドラゴンも倒したねー起きて!」私はエルノールの体をユサユサ揺する。するとエルノールの持つ杖の先が怪しく赤く光り始める。
「……し……に……は……」エルノールは口をパクパクさせながら何かを言おうとしているようだ。ん、どうしたんだろう。持っている杖の光も段々強くなってきている。
「エルノール、大丈夫大丈夫。次の町まで私がおぶってあげるから。」
「うし……だ……ドラ……」
「え、何?大丈夫みんなも無事だから。」
「後ろだ…ドラゴンが…早く…!」
「え?」
地面が揺れ始める。何かが…地中から私に迫ってくる。同時に横の地面から砂柱が立ち十数m近い巨大な姿を表わす。私が驚く間もなくその飛び出した先っぽが私の方を向いて直上から急降下してきた…。




