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トカゲ娘の異世界闊歩  作者: おーしゃん
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★アイ アム トカゲ

 目が覚めた…「うーん今日もいい天気」と思ったがいつもと様子が違う。

 「あれ、なんか体に違和感が…」と思い体を動かそうとしたがうまく動かない。すると突然、ヒョイっと体が持ち上がった。突然のことに頭が大混乱する。

かすかに目から入る光の中に誰かが見える、だが顔の形が変なような気がする。

よく見ようとするが全身と同じで目にもうまく力が入らず開ききらない。何かを 話しているようだが何を言っているのかうまく聞き取れない。

 突然眠くなり私の意識はブラックアウトした。




 私の名前は 宮瀬(みやせ) (あかね)

み、みみ三十路手前の一般ピーポーだ。

 そこそこの学校を出てそこそこの大学に入り、そこそこの企業に勤めている。いわゆるOLである。得意なことは上司へのお茶くみとコピー取りだ。

 仕事のほうはお世辞にもいいとはいえない。生来怠け者な私はまあなんと楽ちん、仕事なんて適当適当!と何年もぐーたら人生を歩んでいた。

…そんな矢先。

 上司に「この部署もIT化進めることになったから、君なら最適だと思う。他の人にも指導できるようMOTの資格とっとてくれよ。」と半ば強制される。えーー超めんどくさいんですけどー!ヤダー!!!

 おかげで仕事でもプライベードでもパソコンに毎日向き合う毎日だ。

大好きなショッピングも合コンも婚活もやる暇ねーーーーっ!!

 昔から甘やかされて育ってきた私にそんなサービス残業奴隷が務まるはずもなかった。ついに私のストレスメーターは核弾頭のようなキノコ雲をあげてしまった。

 「やってられっかあの糞ハゲオヤジが!やーめたやめた明日辞表出そう!」

 一人暮らしのアパートのリビンのコタツに入りながら赤ワインをがぶ飲みする。やはりワインはいい…嫌な事をすべて忘れさせてくれる。

 ボトルを1本空け2本空け、フラフラしてきた…構うもんか会社とおさらば祝いじゃ!とことん飲むべー…ヒック!

 さらにガンガン流し込み…とその時強烈な悪寒が襲ってきてコタツに突っ伏してしまう。大音量で流してたはずのテレビの音がどんどん小さくなっていき目も霞んでくる。あれ…目の前に白いのが…泡?…あれ?体動かない…。

 コタツの温度も感じなくなった私の目の前はだんだん暗くなり暗転した。





 「なんじゃあこりゃああああ!」

 小さな湖の前で私は叫んでいた。まあストレスが溜まっていればしょうがない…ではなく!

 水に映っていた私の顔は…《蜥蜴》だったのだ。どう見ても爬虫類ですありがとうございます。肩幅は広く緑の鱗がびっしりと付き、口を開くとまだ小さいながらも鋭い歯が並んでいた。

 おかしいと思っていたのだ。というよりあれからちょっとしたら立てるようになって目も開いて、それで飛び込んできた風景を見ておかしく思わないやつがいたら正気を疑う。

 『こんなところにいたのね。さあ戻るわよオチビちゃん』

現れたのは大きなトカゲさん。そう、この人…じゃなくてトカゲの制止を振り切ってここまで来たのだ。

 私はまたヒョイっと抱き上げられ村の方へ戻されたのだった。


 村の建物の中に入れられる。そこにはたくさんの小さいトカゲ。そして卵の殻。

 「はーいみんな揃ったわね。言葉を覚えたり色々しなきゃならいないだろうけど頑張ろうねあとで族長がくるからねーごはんもねー」

 ほう、族長さんがいるのね。ってか私なんで言葉を理解できているのだろうとつい冷静になってしまう。というより言葉が理解できるできない云々よりももっとこうツッコミが追いつかないというかなんというか…。

 そんなこんなで族長らしき特別でっかいトカゲが来て『男は強い戦士!女はとりあえず産めよ』というありがたいご高説を垂れていきおった。とにかく疲れてどうでもよくなってきた…。




 あれから数年たった。幼馴染も今では村の大人たちと変わらないぐらいに成長した。どうやら私の種族は成長が早いらしい。ともかく色々と分析をしてみた。

手は2本、足も2本。ただ指は4本だけ。これじゃタイピングが難しそうだ。

挿絵(By みてみん)

 あとトカゲの頭に鱗びっしりの胴体があって二足歩行。そして極めつけは尻尾がある。ようするにトカゲ人間である。主食は虫…そう 《虫》 である!!

見たことも無いような虫を大量に乗っけた食器を持ってこられたときは思わず発狂した。

 まあ今はもう慣れた。慣れってすごい。昔テレビで女性リポーターが虫食べてたのを気持ち悪いと思ってたけど今は尊敬している。

 あと男と女の見た目の違いはほぼない。そう女性は乳房がないのだ!なんてこった、巨乳という私の武器がアイデンティティが…。この姿になってあの邪魔だったけどそれなりに有効活用できた乳房がきれいさっぱり無いのだ。成長したらできるかと思ってたけどそんなことなかったぜ!現にこの村の女性に乳房というものはない。男も女も隠しているのは下だけである。だが胸を隠さないというのがどうにも我慢なら無くて私は胸は隠している。お陰で変わり者呼ばわりである。もうこればっかは価値観の違いないので我慢してもらいたい。

 虫は許しても胸をさらけ出して歩くのは絶対に許さん。


 あと おしっこ と うんち の穴が同じなのだ。というか穴が一つしかない…。これはあのー、ナニするときもここに突っ込むんですかね?ナニってナニだよ。これはいつか来る日のためにトイレの後は丹念に掃除することにします。そうします。


 「おーいテギル、ここにいたの!」

 あそこから来るのは幼馴染の アルギちゃん。顔のブルーラインがチャームポイントな女子である。最近は何人かとつるんで暇なときに女子会である。この村の女性はとにかく仕事をしなきゃいけない。主に雑用、男のために。

 男性は若いうちから戦士として訓練され、女性は料理洗濯等の家事全般である。基本的に男尊女卑な感じを私は受けた。村には時折モンスターが現れることもあるのでそのためだ。村の習い事で教わるのはモンスター怖い、人間怖い、族長偉い。程度しか教わらなかった。あとは簡単な数の数え方や部族の掟等である。教育水準は高いとはいえないだろう。


 「それでさー、誰がいい?」

アルギが聞いてくる。この誰がいいとはいわゆるセックス相手の事だ。この村では年に1度乱交祭りなるものがあってそこで子供を授かるのだ。そして一同に卵を産み、卵は卵小屋に保管される。

 生まれた子には父とか母とかの概念がなく、村の全員で子供を育てる、という感じだ。だから私も本当の父や母というのは知らない。体の模様とかから探せないかとも思ったがアルギの顔に入っている綺麗なブルーラインを見るとそうでもなさそうだ。こんな模様の人アルギ以外にいない。しかも私はこれといって特徴的な模様もない。とても探すことは難しいだろう。まあ今はそんなことはどうでもいいんだ。


 とにかく今は乱交祭りなるものをどうするかである。いや誰とするかとかではなく。いかにその祭りからさりげなく退散できるかである。祭りは酒盛りから始まってその後解散という名の乱交が始まる。

 正直長年暮らして男と女の違いは見ただけでも声を聞いただけでもわかるようになったが美醜が今だにわからない。人間だった頃の感覚が残っているのか、誰を見てもトカゲという印象しか受けない。


 「グラエルなんかいいよねー超イケメン」

 わからないそれが私にはわからないよアルギちゃん!

 ん、待てよ。この世界たぶんファンタジーな感じだしもしかしたらイケメンなエルフとかいるかもしれない。そうだ、大人になったら村をでてイケメンエルフと結婚しようそうしよう。

 やっと私にも夢が出来たぞやったねテギル!ファイト!


 「おい女ども!早く洗濯物とりこめ!」

上級戦士の怒号が響く。私たちは蜘蛛の子を散らすように持ち場に戻ったのだった。

 祭りまでもう時間が無い。何かいい手はないものか…。

初投稿です。

至らないところあるかもしれませんがよろしくお願いします。

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