七つの動物。会話する。
地の文が少しも無いとはこれいかに。
~アダラカム地方『ヴェノム村』~
「父さ~ん!畑仕事おわったよ~!」
「おお、ハブル!相変わらず仕事が早いなぁ!」
「当然でしょ!だって俺だもん!」
「ハハハッ!」
『あなた~!ハブル~!ご飯ができたわ~!』
「おう、今行くぞ!……よし、じゃあ行くか。」
「うん!」
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「ただいまー!」
「今帰ったぞ。」
「おかえりなさい。ご飯は並べてあるわよ。ささ、早く席についてね。」
「はー……い」
「ハハッ、眠いのか?飯くって風呂はいったらしっかり寝るんだぞ。」
「わかって……る……よ……」
バタッ
「どうじた!?ハブル!?おいハブル!おいメーナ!村の医者を!」
「え、ええ……」
「早く!」
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『少年!そこの少年君!そう、君だよ!君のことだよ!』
「え、ええと……」
『はぁ……貴様、そんなことしかいえないのか……坊主。貴様は我らに選ばれたのだ。』
『ライオン、テメェもダメダメじゃねぇかよ。狼ちゃんに色々言える立場なんですかねぇ?』
『山羊!ダメダメとはなんだ!!』
『おお?やんのか?』
『二人ともぉ、良く疲れないねぇ……』
『無駄に元気なだけよ』
「あ、あの……」
『ガツガツ…ゴクン。ごめんね、ハブル君。』
「ぶ、豚さん、なんで俺の名前を?」
『ムグッ?……ゴクン。えっとね、僕達はいわゆる、守護動物っていうかなんていうか……そんな存在なんだよ。』
「守護……動物……?それって凄いことじゃないんですか?」
『モグモグ……ゴクン。それで…ムグッ…ぷはっ!それで、そこの狼さんが暇だからなんか面白いことしようっていってね、それが、人間の中から一人選んで、その一人にみんなで取り憑こうってことなんだよ。』
「取り憑くって……俺、どうなっちゃうの?」
『はいはーい!その質問には僕が答えるよ!僕らが取り憑いても君は生き残れるよ!君は僕達を呼び起こすって言う方がわかりやすのかもね!好きな時に呼び、用がなくなったらかえってもらう!っていうわけさ!』
『それってなんか卑猥だよな』
『山羊は黙ってた方が良いわよ……なんでそんな考えばかりでるのかしら。脳内お花畑なのね。羨ましい。』
「よ、呼び起こすって…目覚めてもできるの?」
『できるはずですよぉ……あ、でもぉ、私は呼ばないでくださいねぇ……』
「よ、呼ばないでって……」
『熊さんは面倒くさがりなんだよ!でも、自分がやりたいって思う物はとことんやるんだよ!』
「そうなんですか……それで-」
『おやおや?もう時間みたいだよ!それじゃあ、私達は一旦いなくなるんだよ!君はいきなり倒れちゃったから、言い訳とか考えた方が絶対良いんだよ!それじゃあねぇ!!』
「あの、ちょっと!」
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「ハブル!目を覚ましてくれ!」
「医者さん!ハブルは、ハブルは大丈夫なんですか!?」
「一番良い薬草をすりつぶして飲ませましたが、回復の兆しがありません……。」
「それって……まさか……」
「まて!さっきまでハブルは元気に畑仕事をしてたんだぞ!」
「そ、そうよね……」
『先生!ハブル君が目を覚ましました!』
「それは本当か!?」
「ハブル!!」
「ちょっ、父さん、母さん……苦しいって!」
「無茶を言うな!お前が、お前がもう目を覚まさないのかと!」
「ハブル!とりあえず今日は休んでいなさい!何かほしい物とかある?お母さん、持ってくるわよ!」
「あ……それなら……」
「何がほしいんだ!」
「夜ご飯が食べたいなぁ。」
「全く……お前ったら……」
「……わかったわ。持って来るからね。」