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現実《リアルワールド》オンライン  作者: 消砂 深風陽
【ミカミ編】四章 成長編
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能力の見直し

 今日のリーシャとローリーの会話のこともあるので、能力を少し見直すことにした。

 全員まだ起きているので、スマホを使わず頭の中でシステムを展開する。

 使ってみたい能力はいくつかある。とりあえず弓を基準に考えるのであれば、メンバー全員が遠距離攻撃特化――リーシャは短剣で前衛にも立てるらしいが――なので、とりあえず最善は敵が接近できないようにすることだ。次点で、俺が前衛に出れるように短刀スキルなどを鍛えること。この両方は両立できれば最高だが、どうだろう。

 システムや魔法を見直し、使えそうな能力をピックアップしてみることにする。


【狙撃者】クラスレベル8

 ○スキル[精密照準]

 ○スキル[時間照準]


 まずはこれだ。

 以前選択を保留したのだが、昨日整理したので存在を思い出した。

 精密照準も気になるのだが、これは多分文字通り、精密に照準するというだけのものかと推測する。

 なら、時間照準とは何だろうか。時間を照準するのか、時間を使って照準するのか……その意味合いは全く異なる。

 まぁ、昨日これを見てからどっちにするかは悩みに悩んだので、正直な話どっちにするかは決めてはいるのだが、それでも優柔不断がひょっこりと顔を出すので、やや躊躇してしまうのも事実だ。【残りCP:202.72】とあるので、おそらく150か200かを持っていかれ、残りはほとんどないだろうと予想する。

 精密照準は、すでにある程度命中率の高い俺には必要ないように思えたせいもあるし、そもそもそこまで精密に射つ必要性は感じないからだ。敵には当たればいいので、要求難易度はそんなに高くはない。


 ●スキル[時間照準]


 となると、精密照準はいらないという判断になり、結果こっちという結論なのだが、本当にいらないのかどうかという点で不安になると、自動的に優柔不断の餌食となってしまうわけだ。これで【残りCP:2.72】。200だったか。

 まぁもう選んでしまったので引き返せない。試しに精密照準にもチェックを入れてみるが、やっぱりというか何というか、チェックは入らなかった。


「ミカミンさん、ちょっと出かけて来ますよ」

「わかった」

「とりあえず売れなさそうなものは固めて置いておきます」

 色々と確実に売れないものもあるとのことで、テーブルの上にはいくつかのドロップが置かれている。一緒にローリーも出かけるそうで、ふたりは情報屋を探しに行くついでに、ドロップ品を売って来るとのことだ。

「あぁ、わかった」

 上の空な俺の返事に苦笑しながら、リーシャはそれでも「行って来ます」と声をかけて出かけて行った。


 さて次に、と注目するのは魔法だ。


【肉体操作系列】

習熟Lv14

 痒み(イッチ)

 引き攣り(クランプ)

 痛み(ペイン)

 朦朧(ディム)

 不器用(アークワード)

 素早さ(ニンブルネス)

 体力賦与(フィジカルギブ)

 生命力賦与(バイタルギブ)

 体力回復(バイタルリカバリ)

 治癒(ヒール)

習熟Lv10

 小治癒(リトルヒール)

習熟Lv9

 大治癒(ラージヒール)


【植物系列】

習熟Lv14

 植物理解 (プラントアンダスタン)

 成長(グロウ)

 植物操作 (コントロールツリー)


 今更ながらに思ったのだが、以前やった足での【植物操作】(コントロールツリー)も有効だし、【成長(グロウ)】で何かの種から一気に成長させてみるとか。

 あと、肉体操作系列の魔法も色々と使えそうなものはある。

 ミンラビで使ったように、痛み(ペイン)引き攣り(クランプ)痒み(イッチ)などを与えて悶えさせ、動きが鈍ったり悶絶したりしている間に攻撃というのも可能だろう。

 それに、素早さ(ニンブルネス)で自分の動きを素早くすることができるのもいいものではないだろうか。今のところ人型のモンスターは出ていないが、今後出て来たら不器用(アークワード)を使うという手もある。


 それから、浪漫的な意味で使いたいスキルがひとつ。


○見識者 [スキル:スキルコピー]

 [スキルコピー]

 発動しているスキルの使用者に触れることで使用。

 対象のスキルは使用すると消滅する。

 パッシブスキルはコピー不可。


 以前使い勝手が悪いなと思ったが、考えてみれば発動中に触れていればいいわけで、そう考えればそこまで使い勝手が悪いというわけでもないような気がする。前にも考えたが、味方のスキルならコピーし放題ということだからな。



 ちょっと試しにということで、種を買いに行くことにした。

「ミカミさまミカミさま」

 ぱたぱたとルナが寄って来るので、「どうした」と振り返ると、ルナがドロップの石――ツインヘッドドッグのドロップのやつだ――を持っていた。

「これ、いただいてもいいですか?」

 確かこれ、ギルドではほとんど捨て値でしか売れないとか言われてたやつだ。

 確か名前はトロナ石。何か装備の鍛錬に使えるわけでもないので、リーシャたちも売らずに置いてったやつだな。確か色々なモンスターから出るはずだ。

「何に使うのか知ってるのか?」

「えっと、フィアさんが砕いて粉にして、水に溶かしてお掃除に使ってました」

「……研磨剤の類か」

 ん?いや待て。どこかで聞いたことのある使い方だな。まぁ少しくらいなら使ってもいいか。また出るかもしれないしな。

「砕くのは少しでいいのか?」

「はい、このあたりの出っ張ってるところを少しだけでいいです」

 あぁ、何か尖ってて危ないし一石二鳥だな。

「使って良し」

「ありがとうございます!気を付けていってらっしゃいませ!」

 気のせいだろうか。ルナの上に音符マークが見えた気がした。



 そういえば植物の種はどこで売ってるのだろう、とそれすら知らないことを思い出した。そもそもいくらくらいするのかも知らないな。ルナにでも聞けば良かったのかもしれないが、今更戻り辛いな。戻って一度聞くかとも思ったが、ここまで来てしまうと戻る方が面倒臭いな。

 まぁとりあえず雑貨屋か花屋かその辺を探すことにした。とりあえずこの前の夜に見付けた雑貨屋から行ってみるか、と、当たりを付けつつゆっくりと歩き出した。



「あぁ、ここにはないねぇ」

 適当に買い物をしながら聞いてみると、雑貨屋のご老体が呟いた。まぁ見た感じ、本当に雑貨屋って感じなので期待はしていなかったが。

「売ってるところを知らないか」

「……うぅん、ちょっと待っておくれ」

 言うと、老体は「オイ婆さん!ちょっと!」と大声を上げる。どこからこんな大声が出るのかというくらいの声だったので――というのも失礼だが――聞こえたのか、奥から腰を曲げた老婆がゆっくりと歩いて来た。

「何だねはしたないね」

「この年ではしたないもクソもないわ、うはははは!」

 言いながら座る老婆に、ご老体が豪快に笑う。まぁこんな軽口も長年連れ添っているからこそなのだろう。老婆も苦笑するのみで、悪い雰囲気ではない。

「そこのニィちゃんがな、この辺で種か何か売ってないかっちゅぅんじゃ」

「――種、ねぇ」

 ちらりとこっちを振り返ると、老婆は少しだけこっちに体を向けた。

「それで、何の種が欲しいんですか?」

「……できれば、蔦状に成長するような植物がいい。あとは数を集めたいから安めで、大量に入荷できるものがいいな」

 とりあえず希望は言うだけ言ってみることにする。

 老人ふたりは顔を見合わせ、ぷっと吹き出して笑い出した。


「あぁ、……あるね」

「あるなぁ。ウチにもやまほど」


 笑い出す老人ふたりに、言っている意味がわからず困惑するのであった。

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