08.主人公最強
以下は、あくまでも個人の見解です。
絶対的にそうだという保証はありませんので悪しからず。
また、今回のお題で語っていることは、なろうの中で見かけたことが主になっています。そして、もちろん全てを見たわけではありませんので、あらかじめご了承ください。
「べ、別に読んでほしくて書いてるんじゃないからねっ!」
てな感じで書いております、第八回『ラノベあるある辞典』。
今回は以前、witteさんから頂いたお題【主人公最強の弱点】です。
ちなみに今回は、基本的に主人公最強設定を否定する内容となっておりますので、あらかじめご了承くださいませ。
さて今回は、第四回のオンラインゲームに続きまして、なろうで流行の設定を考えてみよう第二弾。こちらも多くの方が使ってらっしゃる設定『主人公最強』を取り上げたいと思います。
しかし、多く使われている一方で、苦手とされている方も多いのではないでしょうか?
実のところ、私もあまり得意ではありません。何故なら、主人公最強設定は多くの矛盾・弱点を含んでいるからです。
では、具体的にどういった弱点があるのか?
今回はそれについて、大きく三つに分けて解説させてもらいます。
また、くどいようですが、今回は主人公最強設定を否定する内容ですので、肯定・推進派の方はこれ以上読まないことをオススメします。
①能力的な問題
十億円は、無人島ではただの紙切れ。
つまり、どれだけ価値があろうとも、それを発揮できる状況でなければ無意味だということです。
そして、それは能力も同じことです。最強に等しい能力を持っていても、それを有効に使える状況でなければ、無能と同じということになります。
例えば、最強の攻撃力・防御力(あるいは不死)を持つ主人公がいるとしましょう。誰が何人がかりで戦いを挑んでも、決して勝てません。
ですが、そんな彼も『戦えない状況』に置かれれば無能です。
海の底に沈められる、地中深くに埋められる、異次元に飛ばされるなどなど、いわゆる封印系の作戦を敵に取られた場合、どれだけ強くても意味がありません。「最強だから、その方向にも強い」とか言われても、少々ご都合が過ぎる気もしますしね(苦笑)
しかし主人公最強設定で、そのような戦略が取られている展開はほぼ見かけない(少なくとも私は)。まともな敵であれば、真っ先に思い付きそうなことなのですが……。
②政治的な問題
主人公最強設定とセットになっているのをよく見るのが、異世界モノです。そして、その世界には国が存在していることが、ほとんどだと思います。
して、国があるということは、政治が行われているということです。
ではそこに、最強の存在が現れたらどうなるか?
当然、その力を政治的利用する者が出てくるでしょう。
例えば、いかにも善人という人物に「○○国が戦争を仕掛けようとしているので、先に倒してください。ただし、向こうの言うことは全て嘘なので気をつけてください」と頼まれたら、主人公はどう判断するでしょうか? 「最強だから嘘も見破れる」なんて言われても、これもやはりご都合に見えてしまいますよね?
また、力を直接使わずとも、最強の存在が味方にいるという威嚇は、様々なことを優位に進められます。現代社会で例えるところの、核兵器を持っている国が強い、みたいなことです。
ですが、そんな風に主人公を懐柔しようとする人物も現れない。それもまた、主人公最強設定で矛盾と感じてしまうポイントです。
③ストーリー的な問題
例えば、新作RPGの主人公がレベルMAX・フルステータス・全アイテム所持だったら、どうでしょうか?
レベル上げやレアアイテム入手など、楽しみが半減してしまいますよね。また、敵に苦戦するということもないから、操作技術の向上も必要ない。
では、そんなゲームで残された楽しみは何か?
それは、ストーリー(キャラクター性も含まれます)です。RPGは、半分以上はその要素で出来ていると言っても過言ではないでしょう。そしてストーリーが面白くなかったら、このゲームは面白くないということになってしまいます。
そして、主人公最強設定も同じことが言えます。主人公の成長や困難がない以上、あとはストーリーで勝負するしかない。
つまり、この設定を使うということは、自分でストーリーの質のハードルを上げ、それだけで勝負していかなければならないということなのです。
と、以上三つの矛盾・弱点を挙げましたが、これらを克服している主人公最強設定の作品も数多くあります。
そしてそのような作品には、能力が一方向に集中していたり、ストーリー展開が飽きさせないなど、たくさんの創意工夫が盛り込まれています。
主人公が最初から最強だというのは、様々な面倒を省ける魅力的な設定です。しかしその代わりに、他の問題も抱えるモノでもあります。最強の設定も、最強の作者も、現実には存在しないのですから。
なので、主人公最強設定を使おうとしている方、あるいは使っている方には、そういった点に注意してもらいたいと思います。
ではまた次回、お会いできれば。
ご意見・ご要望などなど、心よりお待ちしてます。