共痛感覚
掲載日:2026/09/17
とある学校では、いじめ対策として「痛み共有システム」が導入された。
誰かに与えた痛みは、そのまま自分へ返る。
殴れば自分も痛み、悪口を言えば自分の心にも同じ傷が返る仕組みだった。
導入当初、生徒たちは半信半疑だった。
しかし効果はすぐに現れる。
暴力はなくなり、陰口を叩くグループは自然と壊れ、誰かを笑い者にして盛り上がる空気も消えていった。
導入前は「怖いシステム」と思われていたが、次第に「これが入学の時からあればよかったのに」
と口にする生徒も増え始める。
勿論、問題がすべて消えたわけではない。
人間関係のすれ違いや孤独は残る。
それでも「誰かを傷つけても平気なままではいられない」
というだけで、学校は以前よりずっと静かで安全な場所になっていた。
YouTubeでは、専門家たちが議論を続けている。
「感情に罰を与える社会は正しいのか」
「これは教育なのか、管理なのか」
けれど教室の後ろで、その番組を眺めていた生徒が小さく呟く。
「でも前より、生きやすいよ」
窓際では去年まで不登校だった生徒が、何事もなかったように友達と笑っていた。
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